24日目

 人生は選択の連続だ、とシェイクスピアは言いましたが僕は選択するのが苦手です。なので人生が苦手とも言えます。

 小説を書いていると、いつも分岐点みたいな所で長考してしまい、あっちも捨てがたいし、こっちも……みたいなことが起こります。そういうことが、とても苦痛なんです。これはたぶん、選ばなかった方の未来を考えてしまうからだと思うんですが、それが理想化されてしまうのも原因の一つです。

 あの時そうしていたらの先に、正しい物語があるかもしれない。その考えが、選択した方の物語を書く手を鈍らせる。書けば書くほど、理想から遠ざかっていく。

 人生は選択の連続だから、選ばなかった方の物語を考えている暇は、きっとない。考える前に次の選択肢に向かわなくてはいけない。分かってはいるんです。だから、もっと簡単に、理想を捨てられたらいいんですけど。

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