闘病日記（仮）

１８日目

　しんどさがやってきました。

　こういうとき、世界の全てが敵に見えます。横の点滴も、うるさいテレビも、他人も。全て僕を騙しているように感じて、逃げ出したくなります。

　昔、まだ病気になる前、よくしていた妄想というか、考えがありました。それは、世界の全てが僕を騙している、というものです。いかにも自意識過剰な考えですが、当時の僕はそれを可能性の一つとして考えていました。

　何者かが僕を監視していて、それをネタにみんなが笑ってる（あるいは研究している）。当時の自分でも意味不明で有り得ない妄想だとは思っていたんですが、その考えがしっくりくるのも事実でした。この世界は僕を見ている。くそ自意識過剰中二被害妄想でした。でもどこかで、今もその考えが脳裏をよぎるときがあります。

　横の点滴は僕を生かすため、テレビはみんなに情報と笑いを届けるため、他人は他人の人生としてそこに存在している。敵ではない。分かってる。自分に言い聞かせて、やっと少し安心します。敵として物や人を見ると、本当に敵になってしまうので。敵は自分の中だけで十分なんです。