6日目
これを書く前に、今まで書いた日記を読み返したんですが、とても暗いことに気づきました。悲劇のヒロイン(男だけど)面をしているような気がして、それは良くないなと思いました。もっと普通に、日記を書こうと思います。
今日は、少しだけ小説を書きました。窓を開けて、冬の寒さを感じながら頭を捻りました。小説、難しいです。三年前、小説を初めて書くまでは、小説なんて簡単に書けるんじゃね、と思ってました。だって、面白い小説は文章が自然だから。上手い人の小説ほど「これくらい書けそう」という考えになります。だから小説を書こうと思ったんですけど、もちろん上手く書けませんでした。
乙一も綿矢りさもどうやって、あの文章を書いたのか気になります。すげー、と読む度に思います。目の前のスマホに書かれた僕の文章とは、大違いです。それでも僕は書きます。
しばらく書いていると、寒さを感じました。例のやまさんに窓を閉めてもらうと、体がだんだんと体温を取り戻していくのが分かりました。そのとき、乙一の『失はれる物語』を思い出しました。あの物語の主人公は手(指だけでしたっけ?)の感覚しか残っていません。そう考えると、僕はまだ幸せなのかもしれないと思いました。上を見れば上はいるけど、下を見れば下はいます。きっとどこまでいっても、僕たちは頂点にはなれないし、底辺にもなれないんだなと思いました。
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