1-4 怪物メンバーの登場②

16,ペットは、火を噴く犬

 ザッザッザッ

真っ青が1人で歩いてくる。ヘビはどこにいるのだろう。

あいつは、だいぶアヤシイやつだ。特に何にも喋んない。自分のこともアメリカ風に

「ミー」というし。何よりも、ペットのリリー&イライジャにはデレデレで気持ち

悪いほどなのに、俺には、探るようにしつこく語りかけてくる。

ザッザッザッザッザッ

早歩きになった気がする。下半身の先端ではなく、上半身の先に目を向ける。

黄色い水晶のようにピカピカと光沢を放つ目は、感情が読み取れない。口や仕草を

見ても、特にこれというものはなく、何をしたいのかはわからない。

ザッザッザッザッザッザ

さらに早くなったんじゃねぇか。

ザッザッザッザッザッ

俺は、急いで逃げるように歩く。

「おい」

「?・・・・・?!・・・・・!!」

どういうことだぁー?!真っ青は、バッタのように開いていた8mほどを0.7秒

ほどで飛んできたいうことか?

「何逃げようとしたんだ?」

「いや、逃げようとなんてしてねぇよ」

「ミーを見るまで石に腰かけてたくせに」

「・・・・・プッ」

「何で笑うんだ?」

だって、こんなウザいやつがこんなに距離を取って責めてるときに「ミー」だもの。

「いや、ニコラスが何で服を着ないかを聞いた時に帰ってきた答えを思い出して」

「・・・・・・・」


 ダダダダダダダダダダダダダダダダダッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!

「うわ、何だ?!」

そこに飛び出してきたのは・・・・・ジョナサンだった。

「おぉい、スカイラー!!今日は当番だろぉ」

「そうか。ミーか」

「あのぉ、ジョナサン。真っ青は何の当番なんだい?」

「真っ青ってスカイラーのことぉ?この真っ青君は、スカイラーっていうんだぁ」

「へえ」

「こう見えて、女なんだよ」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっ?!?!?!?!?!」

自分が宝くじの最高額に当たったような驚愕のリアクション。

「そうだ。ミーは女だ。証を見せてほしいか?」

「いい」

真っ青、いや、スカイラーが女だったなんて・・・・・。

「早くいくぞぉ。“多分”賢くお座りして待ってると思うけどなぁ」

「わかった」


 サイの角、いや、ガブリエリの角のような形の先がとがった三角形のテントの中に

3人は入ってゆく。

「グルルルルルルルルル」

唸り声が聞こえる。

「なあ、もしかして、遠くに猛獣でもいるのか?」

「何言ってんだこいつ」

「猛獣なんていないよぉ」

「ハァー!!!!」

メチャクチャデカい溜め息のような音が響いた。

ボボボボボボボボボ

「ん?ボボボ君、いんのか?」

ボボボボボボボボボボボボボ

「ボボボ君?」

「読んだかい?ボボボ」

すると、テントのチャックが開かれた。炎に包まれた男、ジェネシスが立っていた。「ボボボ君じゃないのか」

「そうだが」

「ギャンギャンギャンギャン!!!!」

「!!!!!!」

分かったぞ。これは、犬の鳴き声だ。多分。

「ほらほら、出ておいで~。ミーがエサあげるよ~」

やっぱこいつ、動物に対しては彼女とセ〇クスをするつもりかと思うくらいの気持ち

悪さだ。

「ギャンギャンギャン!!!!」

そこに躍り出てきたのは、真っ黒の犬であった。しかも、黒いだけでなく、

キラキラと光っている。歯は普通の犬よりもだいぶ鋭い。この歯にかかれば

ダイヤモンドでも切れるんじゃないのかと思ってしまう。耳はだらんと垂れており、

目は紫・・・・・かな。そして、一番怖いのが口だ。その口からは、炎が出ている。

ボボボといったのは、こいつの口から出る炎の音だったのだ。

「はい、シュンバー(バーナーの進化形。瞬間で炙れる)と、高級肉」

それを見た黒犬は、自分でシュンバーをもって、肉を焼き、あっという間に1㎏ほど

あった肉を食べほした。そして、眠そうにまぶたを閉じ、炎ではなく、ゲップを出した。

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