15,鱗に覆われた真っ青

 ズズズズズッ

雲はのんびりと流れ、そよ風がパラソルを少しだけ揺らす。そよ風のような性格の

ジョナサンと一緒に、今は優雅なティータイムを過ごしている。

「これは面白いね」

「そうだねぇ。昔っぽいのも悪くないかなぁ」

いつもは、機械が作ってくれる紅茶べにちゃを飲んでいるが、読み仮名が

紅茶こうちゃの時のティーを入れるときに使う、「ティーバッグ」というもの

を体験してみた。機会が作るやつよりもだいぶ長い時間がかかるな。

「でも、こうやって時間が流れる間にいろいろ語れるのは良いかもな」

「それよりもぉ、ゆっくり流れると、飲むときにいい湯加減になるのがいいねぇ」

「湯加減の話かよ。それなら機械でできるだろうが」

「まぁねぇ」

「パンを焼いてきたぞ。ボボボ」

ボボボ君が結構焦げた食パンを持ってきた。母さんがよくこういう風に焦がして

いたな。これも、だいぶ昔の話だけど。

母さんって誰かが問題なんだ。全く覚えてねぇ。

「うわ、コゲコゲだな。母さんと一緒だ」

「元々の料理の才能がな。ボボボ。しかも、俺自体が火だから焦げる。ボボボ」

「まあいいんじゃないかぁ。ねぇ~、最新の機械も使いたいよぉ~」

レトロな感じの方が、俺は好きなんですけど・・・・・。


 ガタガタガタ・・・・・ブーン

「あ、帰ってきたな」

「お、お帰り!」

「ただいま~ウィリ~」

ニコラスは笑顔(歯?)をサイレンから覗かせて降りてきた。ウィリというのは、

ニコラスが勝手に付けた俺のあだ名である。

「お帰り、楽しかったか?」

「だいぶ楽しかったぜ!んじゃ、気分を晴らした時点で、やるぞ!」

「某はこのドライブ、それほど楽しくなかったわ」

「ガブリエリ、そんなことはいいぜ。早く始めようぜ」

「分かったわい。おい、お前らもだぞ!」

「僕もっすか?」

「そうだ、ニコラス。早くしろ!」

「あ、ニコラス、先に行っといてくれ」

「俺も」

「わしも」

「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

目をしょぼしょぼさせたニコラスは、みんなに最期の言葉を残してリンクへと

向かって行った。


 シュシュシュシュシュ

(・・・・・・・?!)

来た。何かが来たっ・・・・・!!

そう、最近変なやつにいっぱい会うようになってから、第六感が敏感になった。

今、何かが来る気配を感じた――

シャーッ!!

「?!?!」

ヘビっ?!ヘビなのか?一度、「毒ヘビの島」があるということは聞いたこと

があるが・・・・・。まさか、とんでもない毒を持ったやつが来るのか?!

「こらこら、リリー。あの子は俺らと同じ属なんだぞ。ほらほら、好けてるのか」

「シュシュシュシュシュ」

「イライジャもやめなさい。ミーは君らのために尽くしてるんだから、ミーが楽に

なるようにしてよねっ?」

こらまたとんでもないやつが来た。体色は、ジョナサンの黒い地味な色ではなく、

ライトブルーだ。皮膚は、トカゲやヘビなどの爬虫類のように鱗に覆われている。

鱗の間からは、CGのような激しい炎を吹いている。ほぼ全裸であるが、又の方

には、布のようなものを巻いている。腹筋は板チョコのようにバキバキに割れて

いる。おそらく、強靭で、チタンのように硬いであろう。そして、腕も石のように

大きなこぶがついている。何よりも、角ばった顔だ。トリケラトプスのような

とがったくちばしがあり、その奥には細かい歯が並んでいる。目はギラギラと太陽

のように光っている。そして、ガブリエリのサイのような太く短い角とは真逆の

アフリカスイギュウのような長い角を2本付けている。

「・・・・・・・おい、お前はみんなの承諾を受けてミーたちのキャンプに入ってる

んだな?!」

さっきの、デレデレな顔とは裏腹に、引っかかれたように鋭い言葉が刺さる。

「そうだけど」

「ずいぶん生意気じゃないか」

そのまま、あの真っ青は歩いていった。

「シュシュシュ?」

「シャー」

リリーとイライジャと呼ばれたヘビも、足跡の上を這っていった。

――――――――——――――――1-3終わり―――――――――――――――

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