14,コウモリっぽい一つ目
帰り道、俺はミッシェルじっちゃんを背負わずにキャンプへ向かっている。
どうやっているかと言えば、台車にミッシェルじっちゃんを乗せているからだ。
なら、人力車のように俺が頑張っているかって?そういうわけでもねぇよ。俺は、
ミッシェルじっちゃんの隣で風に乗り、ガタガタ道を震えながら走行中だ。
そろそろ分かったやつもいるだろう。そう、俺とミッシェルじっちゃん、そして勝手
についてきたボボボ君、いや、ジェネシス君でドライブしている。エンジン車
だけど。そこらに捨てられてる部品をとある人物(怪物か)の知識により、
組み合わせ、そこに、ボボボ君の力を借りて、ガソリンを注入、見事に荒れ野を
走っているということだ。
「なかなかいいんじゃないか。ボボボ」
「久しぶりじゃのぉ。こんな風を浴びたのは」
「気もっちいぃ~!!」
俺はたった一人で浮かれているのである。まあ、楽しいもん。この状況になって
こんなに楽しかったのは初めてだもの。
ブルルルル・・・・・
「とうちゃーく!!」
「そんなに楽しかったかのぉ?」
水を得た魚のように、水面をはねている俺に、ミッシェルじっちゃんは呆れる。
「楽しかったし、あの人(人じゃないか)やっぱスゲーわ」
「俺のことか?ボボボ」
「ごめん、そうじゃねぇわ」
「チッ。ボボボ」
チッまで語尾に「ボボボ」をつけるのか。マジでボボボ君は面白れぇやつだ。
「おかえり・・・・・うわっ、これすごいね!」
「すごいだろ、これ」
「僕も乗りたくなってきたよ」
「それじゃ、ドライブに行くか、ニコラス」
ニコラスは、もう決定したかのように、台車に乗っている。2つのサイレンの中には
白い歯をむき出しにした分かりづらい笑みを浮かべている。
「行ってきまぁ~す♪」
「ちょっと待てぇ!!」
「
「わわわっっっ!」
エンジン音に反応したのか、アレキサンダーとガブリエリが飛び出してきた。
「うわっとぉ!」
ガブリエリのヤギやサイのようにデカい角にやられかけた俺はふらつく。
「いてぇっ!!」
と、思った矢先、ニコライは角にぶつかったらしい。当然、裸でやせ細った
サイレンヘッドのニコラスには一層痛いな。
「よし、いくぞ!!」
「ラジャー!」
4人はノリノリで、マフラーから出る煙を残して見えなくなっていった。
「お、おかえり。あいつら何を騒いでいたんだ?」
「ああ、それはですねぇ。自動車ができたからだ・・・・・」
「なにぃっ?!」
「わわわっ」
「俺にも乗せろよ!」
「もう、ミッシェルじっちゃんとニコラスとガブリエリ、アレキサンダーがここを
発って、ドライブに行ったばかりだ」
「マジか!」
「へぇ、自動車かぁ。なかなか興味深いねぇ」
「ん?!え?!わっ?!」
そこにいたのは、またまたとんでもないやつだった。今回の形相はなかなかエグイ。
「怖いかい?」
「いや」
「もうだいぶ慣れたみたいだ」
まあ、これまで何度も変なやつにあったんだから、慣れてるわ。でも、今回のは、
見た目が・・・。どんなのかというと、体色が真っ黒で、ニコラスと同じように全裸
でやせている。背中には、コウモリのような翼が生えている。手は別にあって、長く
まっすぐな爪が生えている。口には猫くらいの犬歯が生えていて、目は・・・・・
目はこれまでで初めての形だ。そう、1つ目である。
「おいらの名前はジョナサン。性格に合ってる名前って言われるぅ」
うんうん、納得。「何々だぁ」って感じにゆったりとした感じの喋り方は、まさに、
「ジョナサン」の名前にふさわしい。
「なあ、飛べるのか?」
「この翼のことだねぇ。う~ん、残念ながらポポバワ一族で飛んだのはいないん
だよねぇ。邪魔な翼でしかないよぉ」
「そ、そう」
そよ風みたいないいやつだ。いつか飛んでくれたらいいのになぁと思ってしまった。
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