13,炎に包まれた男

 ずっと、アレキサンダーとガブリエリに付き合わされていた。クタクタだ。

「はい次だ!!ニコラスVSウィリアム!」

「はひぃ~」

「分かったから、これを最後にしてくれ」

今は、相撲の稽古だ。この対決は対格差がありすぎるから嫌なんだよ。

終わったと思ったら、次はプロレス練習だ・・・。

アレキサンダーが作った(買った?)プロレスリンクは、もう本物だ。


 終わったぁ~!!やっとのことで終わった~!!大好きなアイドルの指定席の

チケットとれたくらいうれしい!!

「もう一戦やらねぇか」

「ギャッ?!」

声をかけてきたのはアレキサンダーだ。

「無理だぜ。こんなよわっちいのが入ったって時間の無駄だ。それがしの相手ではない」

ガブリエリの言う通りだぞ、アレキサンダー。

「まあ、確かに俺の相手ではないな。一発で首がボキッと行くぜ」

「ヒィィィィィィィ」

自分のことのように、首がボキッという言葉を聞いたニコラスが悲鳴を上げた。

「で、やるか?」

「やんなくていいぜぇ」

「・・・・・やりません・・・・・やるわけないですぅ~」

「そうか」

「ならいいぜぇ」

アレキサンダーとガブリエリはそのまま戦わせておいて、逃げるようにテントへ

入っていった。

「お、来たのか。ちょうどいい」

「何だい?」

「ちょっと、行ってきてほしいところがあるんだ」

「どこ?」

「地図渡しとくから、行ってきて」


 地図を片手に、もう片手にコンパスをもって、がれきの上を歩く。

新しい発見があったけど。その地図で示されている場所とはまさしく、軽油、

ガソリンなどがとれる場所だということだ。

「ハッ、ハッ、ハッ」

普通に歩いているだけなのに、なぜこんなにヒィヒィ言っているのかというと、背中

にあるものが乗っているからだ。でっかいでっかい箱が。ミッシェルじっちゃんが

いるのだ。

「そんなにわしが重いか?」

「重いっす」

「そうか」

オリバーがそのまま放り出すと、心配だからと言って、付いてきてくれた。ただ、

当然箱の中のミッシェルじっちゃんは歩けないので、俺がわざわざ背中に背負って

歩いているというわけだ。


 やっと・・・ついたぁ!!!!!!

「着いたのぅ」

「うんうん!」

「ここに、来てるやつがいるハズなのだが」

「どこ?」

辺りをキョロキョロと見回しても、誰もいない。

「ここから石油がとれるんだ」

この周りにストーブとかサッカーボールとかが落ちてるのは、石油をそこから抽出

するためらしい。

「ほう、ミッシェルじいさんか。背負ってるやつは誰だ?ボボボ」

とんでもない熱気が感じられた。何かが燃えているみたいだ。と、思った矢先、男が

現れた。男の体は燃えている。いや、そうじゃなかった。炎の体を持つ男だった。

「あ、あの僕はキャンプの新入りです・・・」

「本当か?怪しいぜ、ボボボ」

何で、こいつは常に語尾に「ボボボ」というのだろう。奇妙なやつだ。

「こいつの名前はのぉ、『ジェネシス』というんじゃ。この石油の間を管理して

おる。ランタン男という種族らしくてのぉ。あやつは炎をまとった男として沼地を

始め様々な場所で暴れまわっておったらしいぞ」

「だが、人類が滅亡してからは、このキャンプに入ったんだ。ボボボ。暴れるよりも

火の男である俺にはこの石油センターの方が似合ってるぜ。ボボボ」

「はい、質問!!」

「何だい、ボボボ」

「何でいつも語尾に『ボボボ』をつけるんですかー!」

「分からないのだ。ボボボ。先祖も皆『ボボボ』と言っていたらしい、ボボボ」

う~ん、マジで奇妙なやつだ。でも、石油センターにいるらしいから、あまり

関わることはなさそうだな。ボボボ(笑)

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