10,喋る箱とサイレン
何、どういうことだろう?箱がしゃべってるということか?まるで分らない。
「ほら、わしはここから喋ってるのじゃ」
「あの・・・・・誰ですか・・・・・?」
あり得ない。俺は深呼吸を繰り返し、髪をかき乱した。
「あぁっ!!」
覚悟を決めて、箱を持ってみた。
「やっと気づいてくれたのか・・・」
確かに、おじいちゃんみたいな声ではきはき喋ってる。ビックリ箱かな?
ペッ!!
「うわっ!!」
何か箱の正面から銃弾のように飛んだ。地面を見ると、泡が入っているニュルニュル
したもの――つばだ。
「そろそろわしの正面から見てくれんか。飽きてきたわい」
正面?箱を回転させてみると―――
「何もないじゃん・・・」
「まあ、待て待て。もうすぐわかると思うぞ?」
「そうだ。夜まで待つのがいいぜ」
オリバーもそう言ってきた。
「なあ、オリバーが教えてくれればいいのに・・・」
「このキャンプに夜までいろよ?」
「はぁい・・・・・」
しばらくすると・・・。
ウーウーウーウーウーウーウーウーウー
音が爆発したような爆音が耳の中を通過してゆく。
「これって、何だ?!」
「これはくるな・・・もうじき帰ってくるやつだ」
もうじき帰ってくるやつ、また?!
「警報じゃねえの?」
「そうじゃない。これも、俺の仲間の声だ」
けたたましい音が数10分ほど続いた気がするんだけど・・・。
ウーウーウーウーウーゥーゥーゥーゥーゥーゥーゥーゥーゥー
水を差したようにだんだん小さくなってゆくサイレンのような音。
耳の中へなだれ込んで、耳が破裂しそうになったが、耳の中にも余裕ができてた。
「あ?あいつ、どこ行くつもりだ?帰ってくるって言ってたが・・・」
「どうでもいいだろ・・・。うるさかった・・・」
「これも、どうせすぐ帰ってくるんじゃないか?」
「だったらいいがな」
夜———
オリバーと喋る箱に言われたとおり、この瞬間まで、テントに残った、俺。
オリバーは、今何やら刃物を研いでいる。包丁かな?
「お前、今日はここで寝てけ」
「俺のテントはあるのかい?オリバー」
「いつから呼び捨てるようになったんだ?テントは、あそこにあるぜ」
「毛布は?」
「わらで我慢しろ」
「枕は?」
「ねぇよ。そんなもん。この環境で枕なんかあると思うか?!」
「はぁ・・・」
オリバーの強硬な姿勢に押されて、足りないと思いながらも渋々と承諾した。
まず、布団や枕がなかったら、なんでこんなギョッとする程の大きさの立派な
テントがあるんだ?煩わしさが心を横切るも、就寝することにした。
深夜12時ごろ――
「お前、起きろ」
オリバーに起こされると俺は衝撃のところを目撃しちまった。
「起きたか――これがわしの姿じゃ」
箱が開いている。その中には、すました顔で生首がコチラを見ている。
「わしの名前はミッシェルだ。頭だけの腹話術人形じゃ」
は?腹話術人形?わけわかんないんだけど。誰がしゃべってるんだ?それとも、
人形が意志を持っているのか?
「まあ、驚くのも無理はない。これからよろしく」
「ミッシェル、じきになれてくるからあんま気にしなくてもいいぜ」
「そうじゃな、オリバー」
深夜1時ごろ――
しばらく、ミッシェルと会話していると、またまたサイレン音がしてきた。
ウーウーウーウーウー
そこにいたのは、あまりにも風変わりな頭を持っている、やせた全裸の人間。
いや、人間ではないか。サイレンが頭に2つ乗っている。
サイレンヘッド―――
有名な都市伝説の一つらしい。
「ウーウー。僕の名前はニコラスというんだ。君、誰だい?」
そこに、オリバーが駆け寄って、わけを説明しているように、小声でニコラスの
鼓膜に声を通らせている。
「なるほどね。ミッシェルさんの承認もあるらしいからよろしくね」
あまりにも、突然に様々なことが起こるから、脳は限界を迎えたらしい。でも、
これで終わりではない。まだ変なやつとの出会いは続く。
―――――――――――—―――1-2終わり――――――――――――――――
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