9,謎のピエロ
ザッザッザッザッザッザッ・・・
一体いつまでここら辺を徘徊するつもりなんだ?!俺はいつまでここにすわっと
きゃいいんだよ?!そろそろ限界なんですけど・・・。
「見えねえな・・・」
少しでも、相手の姿を見たかった。そうすれば安心感あるから。でも・・・。
見えないところにいる。死角か。これは参ったな。大変だぁ。もし、相手が凶暴な
動物だったら・・・。ライオン?トラ?ホッキョクグマ?ワニ?どっちにしろ、
なんかヤバい気がするんだけど。少なくとも、廿利や竜臥のような親友たち、家族、
知り合いの人はこんなに隠れずにすぐに
「ワッ!!」
ってびっくりさせてきたりして、出てくるんだけど。この仕草は何かおかしい。
ビクッ
突然身震いした。それもそのはず、後ろから冷たい風が首元に吹き付けてきた
からだ。
タッタッタッ
(まずい・・・足音が聞こえてきた)
そのまま、土管とみられるものの中に飛んで行った。
タッタッタッ
(う・・・。まだか・・・?)
タッタッタッ
(大体何でこんなきれいな土管があるんだ?)
タッタッタッ・・・ガッ
(うわ、土管の側面に回り込んだらしい。このまま見過ごして・・・)
グラッ
「うわっ!!」
土管が揺れてる。宙に浮いているのだ・・・。
(声出しっちまった・・・)
海へ向かって土管は向かってゆく。
ドサッ
土管が地面に着いたようだ。
(出よう・・・)
と、土管の外に出ようとした瞬間、ブーツが見えた・・・。
「わっ!!」
グラグラ
土管が再び浮いたようだ。
そのまま、土管の中には、海水が入ってきた――
(マズい)
いっそのこと外に出ようか?いやでも出たら殺されるかも・・・。
ゴボゴボゴボ
もう土管全体が水に浸かった。
バシャッ!!
「ぷはーっ」
脱出成功!で、そこに立っていたのは・・・。
ピエロ。
「ふーやっと出てきたか。生き残りめ」
高めのピエロっぽい声が鼓膜に響いている。
「あの、あなたは・・・」
「黙れ!!」
「はいっ!」
「ついてこい」
そのまま歩くと、テントが張ってあった。
「よし、いいぞ」
「はひぃ・・・・・」
怖い・・・怖い・・・誰・・・?
「俺の名前はオリバーだ。覚えとけ」
このピエロの名前はオリバーというらしい。ピエロのくせに、生意気な喋り方
しやがる。でも、そんなこと生で言ったらヤバい・・・。
「俺は元々こんな喋り方なんだ。我慢しろ」
考え、読まれてた・・・。誰なんだろう?
「あの・・・あなたはどこにすん・・・」
「アメリカから来た」
「なぜ?」
「戦争のためだ」
サーカスではどのような活動をしてたのかが一番気になる。こんな人サーカス団に
いたら俺はやめてるぜ。
「サーカス団には入ってねぇんだよ」
「そうなんすか・・・」
「俺はお前の頭の中でのピエロじゃねぇからな」
「それじゃあどういう?」
「話はここまでだ。じきに話す時が来るだろう・・・」
「教えてくださいよ・・・」
「黙れ!!シャーラップ!!」
「・・・・・・・・・・・・」
嫌な人が生き残ってる。こいつマジで何・・・?
「もうすぐ、エイドリアンが帰ってくるころだな」
「エイドリアンって誰・・・?」
「じきに分かる」
「はぁ」
ピエロかな・・・?
「おーい、オリバー!」
「あ、エイドリアン帰ってきた」
「そうなんですか」
だが、周りを見渡したけど、何もない。と、思ったらさっきにはなかったはずの
箱が置いてあった。
「あんた誰だい?」
俺のことを言ってるらしい。
「まず、どこにいるんですか?あなたは何者?」
「わしはここにいるぞ?」
「え、どこ・・・?」
「ほら、あそこにいるぜ?見てみろ」
オリバーが指さした先には箱が置いてあった。
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