7,京華5000towerのカップル

 結果物を、持って歩いていた。う~ん、これはどこに直そう?いや、それよりも

人はどこにもいないし、どれも使えないガラクタだけ。京華5000towerの写真

なんか、ビリビリに破いて捨ててやりたかった。こんなに辛い思いをしているのに、

のんきに恋なんかして、ラブラブで「いいだろ~」と言ってるような顔をしている

カップルの写真なんか今生きているもので誰かいるものか。辛い思いをするだけだ。

そんじゃ、怒りをおさめてもう少し探索すると致しましょう。次の目的地は、

「第九アース広場・永眠の間」だ。アース広場は、笑和台市しょうわだいしに15箇所ある広場だ。

俺が住んでいたのは、第一だ。俺の友たちはみんな第一の聖和せいわノヒト中学校に

通っていた。みんなで仲良く暮らしていたあの日が脳裏に次々と蘇ってくる。

「うぅっ・・・あぁ・・・ああ、グスッ」

泣けてくるわ。この京華5000towerの写真に写ってるヤローはこんな日が来る

何てなんも考えてなかった。幸せな日々しか考えられなかったバカなヤロウ。

「くそっ!!!!」

破り捨てた。ビリビリにしてやった。

パラパラパラ・・・虚しくがれきに散ってゆく。俺はそれをがれきに埋めた。もう

二度と日の目を見ないように・・・。

「フフッ・・・ハハハッ。いい気味だぜ」

満面の笑みを浮かべたその瞬間、カップルの様子が浮かんできた。


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 「楽しいね」

「ああ・・・」

目の前には、京華5000towerがある。てっぺんには雲がかかっている。何m

なのか全く分からないけど、神様のようだ。それを登ったら、天国に行けそうだ。

「ここに来てよかったわ。私・・・」

「そうだな」

「もうすぐだね」

先日のでは、両親はすぐに納得してくれた。

「私も尾久麗子おくれいこになるのね」

「僕が乃生光星のうこうせいになってもいいんだよ」

「新しい性でもいいね。付けるとしたら何がいい?」

この時代では、結婚するときは、どちらの性に合わせてもいいし、新しい性を

つけてもいいのだ。

栄成えいせいとかどう?それとか、永夢ながむとか」

「永夢、イイね!そうしよ」

どこかで聞いたことある声だな・・・。

「新しい子供も楽しみ」

「それにしても長かったな」

「ホント、色々あったね・・・」

これまで、2人とも戦争でただただ逃げ回ったり、銃を担いで更新したり、工場で

爆弾のテストをする日々だった。

「もう、こんな幸せな日が永遠に続くんだね」

「そうだ・・・よ・・・」

女の頬に、男の唇が付いた。そして、ドローンを使い、猛スピードで帰っていった。

*************************************


 何でこんなにこのカップルを恨むのだろう。自分だって楽しい家族生活で、こんな

日がずっと続くと思っていたのに・・・。

その時、ズボンの“四次元ポケット”に何か手触りが感じられた。そこには、石が

あった。何の変哲もない石。でも、何か特別な感じがする。その証に、上質な箱に

入っていて、誰かの手書きメッセージが書かれたリボンで結んであった。

「うぅっ・・・」

頭痛い。でも、誰かが見えたような気がした。

「ヒト・・・ダ・・・アァ・・・アァ・・・アァ・・・ダレカ、ミンナァァァ」

その人の手が俺の手を握り、その顔がくっきりと見える前に、俺は意識を失った。

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