1-2 怪しげなピエロとの出会い

6,誰も眠っていない広場

 駆けてゆく。きっと誰かが眠っている。そうすれば、もうへっちゃらだ。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」

走りながら、まだいるかいないかも確認していないのに、会心の笑みを俺は漏らして

しまった。廿利じゅりも、結愛ゆめも、竜臥りゅうがも、たつみも。絶対いるハズ。絶対寝てる。

ガッ!! ピシッピシッ ダラダラダラ そこらのがれきが俺の足に当たる。

ドロドロと血を流してゆく、俺の足。そんなことどうでもいいぜ。あいつらに会える

んだから。これで話は終わるのだから―—―


 目の前には永眠カプセルがある。不規則に置いてある。いや、置いてあるんじゃ

ない。バラバラだ。そして、ボロボロで、汚れている。

「あぁっ・・・。あっ・・・がっ・・・あぁっ!!」

誰か・・・いないか・・・。

「廿利!竜臥!みんな!!あぁ・・・・・・・。ダメだ・・・」

居るはずだよな?どっかに避難しただけだよな?どこかに・・・。いる・・・。

はずだ・・・。いる・・・。いる・・・。いる・・・はず・・・。

「グスッ。あぁ・・・あぁ・・・あぁ・・・あぁ・・・あぁ・・・あぁ・・・」

しっかりしろ、俺。絶対いるんだよ?何を心配してるんだ俺。そんなマイナス思考で

いいのかよ?プラス思考だ、プラス思考。避難して、どこかで俺を待ってるんだ。

なぁ―—―――?

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁあぁっ・・・あぁっ・・・うぅっ・・・・・」

ダメだよ・・・プラス思考したいけどできないよ・・・。だってこの悲惨な光景

見ろよ。がれきだらけだぜ?ガスが爆発してたりしてたもの。第一アース広場は

跡形もなく消えていたし、商店街につってあるでっかい“戦闘機”と“機関銃”も

落ちていた。強力な“ケーブル”でこの2つを吊るとともに、電気を流して、

光らせたり、音を出したりしていた。それももう分からない・・・。鮭の生首だって

あったんだよ。


 覗いてみた。カプセルの中をのぞいてみた。何か手掛かりがあるかもしれないと

思ったからだ。実際、俺はお守りのためにお気に入りの

「PCペーパー(従来のPCやスマホの役割をするアルミホイルよりも薄い紙)」を

入れておいた。そのペーパーはポケットの中に入ってる。起きて、外を見て、どう

なったのか調べようと思ったけど、ダメだった。が少し破れていた。

空には雲がかかっていて、その時に、とてつもない絶望感が襲ってきたのだ。

まず、1機目。ガサゴソガサゴソガサゴソ。ん?何かある。ヒトイン(ヒットイン)

したか?

「よっ?あっ?」

そこに入っていたのは・・・・・花香煙草かこうえんそう。花香煙草とは、花の香りがする煙草の

こと。ってことは、おっさんが寝てたんだな?ここは何やら足の臭いがする。

2機目。ガサゴソ。ここは無かった。

3機目・・・4期目・・・5機目・・・6機目・・・7機目・・・8機目・・・。

・・・・・・ガサゴソガサゴソガサゴソガサゴソガサゴソガサゴソ・・・・・・

ここにあった、30機をすべて探し終えました!それでは、成果物を発表!

まずは、1機目に入っていた花香煙草。ついでに、だいぶ臭う真っ黒の靴下。

5機目には、俺と同じように、PCペーパー。これは、真ん中に穴が開いていて、

濡れている。これは、わざわざ起動しなくても使えないと確定できるものだった。

24機目に、誰だか知らんが、楽しそうなカップルの「京華5000tower(東京、

京都にそれぞれオープンしたのタワー)」で撮った写真。多分女性。

28機目に、「スマホ(PCペーパーの前身。だいぶ厚く、重い)」というものが

入っていた。これは、どうするのか全く分かんねぇから捨てておこう。と思った

けど、念のため取っておくことにした。

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