第73話 サプライズ
ジンはとある人に呼ばれてガオンとミシェルを連れ、城まで来ていた。
「隊長、これどこに向かってるんですか?」
「ん?まぁ着いたらわかる」
ジンは門番に送られてきた手紙を渡すと門番は慌ててジンを城に通す。
そのやりとりを見ていたガオンとミシェルは少し、これから合うであろう人物に不安を覚える。
ジン達はある一室に通される。そこには机を中心に幾つかの椅子が置かれた円卓だった。
「ここでお待ちください」
ジンは案内してくれたメイドにお礼を言うと椅子に腰掛ける。ミシェルとガオンはその後ろに立つ。
「マジで誰が来るんだ」
「私お城なんて初めて、ちょっと怖い」
「大丈夫だって」
ジンは二人が安心するように笑うとちょうど部屋の扉が開く。
「待たせたか?」
そこに入ってきたのはロイだった。
ガオンとミシェルはロイの顔など見たことがないので誰だろうと首を傾げるが、ジンはいつものように自然体であるため特に礼を尽くすことなくその場に立ち続ける。
「おお、そんな待ってねーよ」
ジンは首だけロイの方に向けてそう言うとロイはそうかと一言言ってジンと向かい合う席に着く。
ロイは誰も伴わず部屋に入ってきたため一人だ。
「そいじゃ先に。お前らに紹介しておく、ロイスタス殿下だ」
「はぁ、殿下......え!!」
「!?!?!?」
ガオンは驚いて大きな声をあげるとロイとジンを交互に見て震え出す。
ミシェルなんかは意味が分からず硬直してしまう。
なんとか再起動したガオンとミシェルは慌ててその場に跪くと頭を地面に擦り付ける勢いで下げる。
「大変失礼致しました!殿下だとは
「失礼しました!」
「そう畏まるな、今日はジンの友人としてここにいる」
「いや、でも、しかし」
まだ混乱が完全に抜けていない二人はどうすればいいか答えが出ない。
「かかか」
それをジンが面白そうに笑うため二人はジンを睨むしかできなかった。
「面をあげよ、私は不要だと言った」
「は、はい」
二人は立ち上がると尚も混乱した頭で先程のようにジンの後ろに立つ。
「ふむ、全くジン、これでは彼等が可哀想だぞ」
「ちょっとしたサプライズだよ。まさかここまでとは」
「はぁ、それで今日はお前だけを呼んだつもりだがどうして彼等を?」
「ああ、それは二つ頼みがあってこいつらを連れてきた」
「頼み?おまえが俺に?」
「ああ、それでそっちの要件は?」
「いや、それを話す前にジンの頼みを聞こう。お前が俺に頼みなど珍しいからな」
どこか嬉しそうに言うロイになんで嬉しそうなんだ?と疑問を持ったジンだったが聞いてくれるならいいかと口を開く。
「これから二年半俺は師匠の元にもう一度鍛え直しに行って来る。そこでだ、ここにいる二人をお前の伝で鍛えてやってほしい」
「俺の伝?」
「ああ、俺が師匠のところにこいつらを連れてったところで今から瞬刃流をやれせるのは中途半端になるからさ」
「それはそうかもしれんが」
瞬刃流は他の流派と違い幼少から学ばねば身につくことが困難と言われる部類だ。幼少から脳のリミッターを
「そこでだ、俺がこっちに帰って来るまでの二年半ガイルを
「ふむ、その者らはお前の」
「臣下だな」
ガイルとミシェルは声には出さなかったがジンの言葉に驚く。
自分たちは私兵にはしてほしいと言ったが臣下にして欲しいとは言わなかった。正確にはなれないと思っていたが正しいが、ジンの武勇は言わずもがな策略と言った面でも今回の戦争を見るに非凡な才がある。そんなジンの臣下には自分たちはなれないとどこかで思っていたからだ。
「そうか......わかった。早速二人を今から貰い受けても?」
「ああ、構わないよな?」
「「はい!!」」
ジンの期待に応えるために、二人は頷く。
ガオンに至っては暗がどう言った所なのかまったくもってわからなかったが頷くのだった。
「そうか、では」
ロイがそう言うと直ぐに部屋がノックされてドアが開く。
そこには執事服に身を包んだ壮年の男が立っていた。
セバスチャンである。
「彼らを案内してやれ、それと彼らは私の友人の臣下だ、そのことも伝えておけ」
「はい、ではおふたりともこちらへ」
ガオン達は一礼するとその男性の後に続く。ジンは二人に頑張れよ〜と気の抜けた声で送り出すのだった。
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