第47話 たまに食べるとおいしいものオムニバス

 今回はちょっと趣を変えてオムニバスである。趣旨はタイトルの通りだ。


 ・マクドナルドのメニュー


 都会では殆どの鉄道駅近辺にセットとなっており、ある種のインフラと表現しても差し支えない程度には特別感の薄い選択肢かもしれないが、田舎においてはマクドナルドも立派な「外食メニュー」のひとつである。そのため毎日来店するようなことはままならない。ただ、それであるがゆえに、たまに食べる程度でちょうどよく、食べるとそれなりにおいしさを感じることができる。


 自宅と勤務先の間であればマクドナルドが必ずあります、という都市圏在住者からしてみれば「マクドナルドをたまに食べる」というシチュエーション自体が信じられん、というのはあるかもしれない。事実、地方のマクドナルドはロードサイドのファミレスよろしく、駐車場完備の独立店舗だったりすることが少なくない。住宅地に近ければいいが、すべてがそうであるとは限らない。なので「子供だけでマクドナルドへ行く」という行為も、地方ではそれなりに難易度の高い行為となる。


 テイクアウトでもいいが、やはり揚げたてのポテトを店内で喫食するのがもっとも幸福感が高いだろう。ナゲットをあのおもちゃみたいな容器に入ったマスタードにつけて食べるのも、たまにやるとしみじみとおいしい。飲料はお世辞にも濃いとは言えず、ハンバーガーも商材写真と比べてだいぶ大きさやディテールに差があるが、マクドナルドではそういう欺瞞を敢えて楽しむ、というところに侘び寂びがあると思っている、あ、サムライマックめっちゃ好きです、レギュラー化してくれてありがとう(フォロー)。


 子供が生まれてから、それまでなんとなく欲しくても堂々と買うのが恥ずかしかったハッピーセットを堂々と買えるようになったのだが、うちには子供が2人おり、子供の数だけ買わないといけないので、だいたいダブってしまう。買っても遊んで飽きて無くしてしまうのがオチで、サステナビリティの低さは猛省すべきところである。


 ・カステラ


 40歳を過ぎてくると、ただ甘いだけのお菓子などとはやはり疎遠気味になってしまうのだが、カステラだけはたま~に食べたくなるし、食べてみるとやっぱりおいしいと感じる。


 よく「ザラメのところが美味しいんですよね!」と鼻息を荒くする人が居るが、おれはあの部分はあまり好きではない。どちらかというと、きめ細やかに炊かれた黄色いスポンジ部分のほうが重要である。あの部分を口で、できれば歯を使わずに、あむっと食べてそれでやりすごしたいのだ。飲み物は・・・かなり迷うが、おれはカステラは和菓子だと思っているので、やはり熱いお茶をチョイスしたい。


 令和にあっては、ザラメ部分を最初からなかったことにしたジェネリック品の「台湾カステラ」などが台頭しているが、おれはカステラに関しては、やはり従来のカステラがよい。「甘すぎなくておいしい」という評価があまり通じないタイプのジャンルであるが、それでもカステラに関しては、おれはそれでいいと思っている。冷凍したやつをカットして食うとしっとりしているので、自宅でカステラが眠っていると言う人は、ぜひ試して欲しい。生クリームを乗せたりするのも、それはそれで過剰でおいしい。


 ・ホッケ


 肉と魚を比べたとき、魚は少量でもそれなりに満足しやすい、というのがある。


 そこへいくと、初期サイズがそもそもデカい「ホッケ」は一体なんなのかという気持ちになったりするが、それにしてもホッケはおいしい。おれは飲酒もするが、ホッケに関してはやはり「めし」だろう。デカい身を豪快にほぐして醤油・大根おろしをアレし、めしと一緒にいただく。魚でありながら、スナック菓子のような気軽さで摂取できるグルメ、それがホッケである・・・正確には「あった」。


 2022年現在、世界的な需要の高騰による乱獲などが原因で、小さくでも集獲しなければいけないという事情から、ホッケのサイズが小さくなっているらしい。なんとも残念な話だし、おれそこまでホッケめちゃくちゃ食ってるわけじゃないのに・・・という愚痴の一つも出てしまうが、ホッケがアジぐらいのサイズになってしまうようなことがあれば、それこそ悲しいと思う。うまくコントロールして、デカいホッケを食べられれば、こんなに嬉しいことはない。おれ的には鰻よりもうれしい。


 ・タコキムチ


 キムチ自体好きだが、なかでもタコキムチは「一石二鳥」どころか「一石四鳥」ぐらいの味わいがあると思う。


 キムチだけでもおいしいのに、そこにコリコリしたタコとかいうやつが入っているとなれば、これはもうパーセンテージでいうと115%ぐらいおいしい。イカだとなんか違う感じで、やはりタコなのである。おれは夕食にタコ刺しが出てくると、わざわざキムチを動員してセルフタコキムチを造成したりするような人間なので、タコキムチには人一倍の思い入れがある。


 もっといろいろやっていいのであれば、オイキムチ(大根のキムチ)にタコぶつを入れるというのがある。こうすると構成要素の半分以上が「歯ごたえ」というアドバンテージを獲得し、パーセンテージでいうと145%ぐらいのおいしさになる。欠点としては大根とタコであるがゆえに少し水っぽくなってしまうので、適宜白菜キムチを追い入れていくなどするのがよい。塩昆布なども複雑な味わいになって良い。つまみでも飯トモでも戦える、稀代のタッグだと思う。


 ・揚げ餅(ないしはおかき)


 正月も終わってカチカチになった鏡餅に関するアレンジレシピとして、細かく砕いて油で揚げて食うというパターンがある。一般的にどう言うかはわからないが、おれの家では「揚げ餅」と呼んでいる。


 作り方は至ってかんたんで、カチカチになった餅をハンマー等で砕き、おおむね一口大ぐらいになったものを、油で揚げるだけである。揚げたら油をよく切り、しょうゆや塩で味付けする。


 砕いた餅は揚げた段階でほとんど半生になっているので、そこまで厳密に揚げていなくてもそれはそれでおいしい。また一口大に砕いたものをいっぺんに揚げると絶対にお互いがくっついてしまうのだが、これもこれで良い。大きいやつは揚げたら適宜キッチンバサミなどで切れば食べやすくなる。


 揚げたての餅にしょうゆをかけて食べると、おそらくだが世界ランクで考えてもベスト3くらいに入る程度においしい。が、カロリーもまあまああるため、常食はできない。カロリーゼロの油と穀物が発明されたら真っ先にこれを作りたいと考えている程度には好きである。個人的には餅の一番美味しい食べ方は「揚げ」だと思っているが、皆さんはどうか。

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