　「ラーメンや寿司、スイーツ、サラダ、牛タン、うな重、とんかつ定食、鶏の唐揚げ定食、牛丼など多彩なメニューがあり、老若男女だれでも最低限１つはおいしくいただけるファミレス」と言うと何を思い浮かべるだろうか。

　主に東北地方で店舗展開する、株式会社カルラが経営するファミレス「和風レストランまるまつ」がそのうちの一つである。宮城県を中心に９３店舗（２０２１年５月現在）を営業しており、東北地方のファミレスチェーンとしては一定の地位を築いているグループだ。

　全国的に見れば和食のファミレスは「夢庵」「和食さと」「大戸屋」などいくつかあるが、おおむね東北地方となると、実はそれらのチェーン店はそこまで多くない。良くて宮城県に数店舗あるくらいで、和食レストランチェーンは東北地方にはそれほど店舗を構えていない、という事実があったりする。

　これは推測なのだが、東北地方というのは基本的には米どころである。なのでわざわざ「外食で米を食べる」というベクトルに食欲が向きづらいのではないか、というのが、和食レストランの進出がない理由では？と考えていたりする（和食だとそば店が気持ち多いというのもこれを裏付けている）。おれ的には全然そんなことはないので、日本全国の和食レストランチェーンはぜひ東北に大集結してほしい。特に大戸屋、あとレストランではないかもしれないけど、やよい軒。

　話が逸れた、そんな和食レストランのブルーオーシャンである東北地方にザッと派閥を作ったのがこの「まるまつ」なのである。

　まるまつは和食レストランと名打ってこそいるものの、フライドポテト、チキンナゲット、エビグラタン、チーズインハンバーグ、ラーメン（醤油、辛味噌、酸辣湯麺など）、チゲ鍋など、いわゆる「ガチガチの和食」以外のメニューも豊富で、和食だと量や食べごたえが・・・と尻込みしてしまう爆食系のオッサンなどにも嬉しいメニュー構成となっている。

　和食としてはうどん・そば、寿司（握り寿司）、カツ丼、天丼（単品の天ぷらもある）、カレーライス（カレーライスは和食でいいですよね？）、焼魚定食、唐揚げ、さば味噌煮、豚肉の生姜炒め、刺し身と天ぷらがメインの「御膳」、うな重、牛たん（定食もあります）など手広く展開しており、ただ単純に和食と言われても「おっ、結構ガッツリ食えるのあるじゃん」となるメニュー構成が白眉である。

　スイーツはパフェ、コーヒーゼリーサンデー、レモネード、あんみつ、パンケーキ、アイスクリームなど定番のほか、オリジナルの「豆乳甘酒」シリーズが展開されている。コーヒー豆乳、あずき豆乳、いちご豆乳の３つがあり、おそらくだが本社のある宮城県名物の「ずんだ」に着想を得ているのではないかと予測される。

　こうやってメニューを俯瞰してみると、ファミレスというよりかは「定食屋」に近いテイストを感じるが、実際のところ「まるまつ」はロードサイドに店舗を展開しているケースが多く、ドライバーなど運転者の需要を一定数取り込んでいることもあり、定食系のメニューに力を入れているのではないか、ということが伺える。それでいて行きやすく、老若男女だれでも食べられるメニューがある。いわゆる全国チェーンの大手「ファミレス」のような華やかさはないかもしれないが、堅実かつ実直なおもてなしでもって、客の腹を満たしているレストランチェーンである。

　かつては２４時間営業しており、好事家の間では「２４時間いつでも牛たんとラーメンと寿司が同時に食える店」として熱狂的に受け入れられていたのだが、現在は１１：００～２２：００という一般的なファミレスの営業時間になっている。２４時間営業時代は朝飯に利用するのが定番で、おれはよく「ラーメンと握り寿司のセット」を頼んだ。

　今でこそ、かっぱ寿司などの回転寿司チェーンで「ラーメン」があたりまえに提供されているが、自分はこれを見る、あるいは食べるたびに「ラーメン＋寿司の先駆者はまるまつなんだよな、あっちは２４時間で・・・」と、一人で悦に浸ることがあったりする。

　東北地方に足を運ぶ機会があって、周りに行き慣れたファミレスしかないなあというときは、ぜひ「まるまつ」へ行ってみてほしい。コロナ禍でもテイクアウトの丼ぶりメニューなどを展開しているので、今尚「老若男女だれでも最低限１つはおいしくいただけるファミレス」の道を爆進中である。個人的なおすすめは「辛味噌ラーメン」「ビッグチキンかつ定食」「鶏の唐揚げ定食」「にぎわい御膳」など。酒類とツマミもあるので、ちょっと一杯飲みたい人にもおすすめである。