第32話 サラダさん

 すみません、正直に言うと、サラダはあまり好きじゃないんです。


 野菜は好きなんです。煮しめとか、カレーライスの具とか、ロールキャベツや扁炉鍋(豚バラと白菜のアレ)とか、春菊の天ぷらとか。具材としての野菜はすごく好きだし、おれはそもそも薬味とかが大好きです。


 ただ、どうしても「サラダ」があまり好きじゃないんです。今回はそれについて書きます。敬語も一旦終わります。


 そもそも、生野菜は本質的にあまりおいしいものではない。ビタミンや食物繊維の摂取という観点であればサラダでなくてもよく、特に根菜などは茹でたり油で炒めることで、より栄養を引き出せるようなやり方があったりする。有名なところだと、人参を生で食べた場合のカロチン吸収率は10%程度だが、油で炒めると80%になったりするのだ。


 人によっては「そんなことないでしょ、サラダおいしいじゃん」という意見もあるかもしれない。おれが思うに、サラダがおいしいと思えるのは、主に鮮度と歯ごたえ、風味やドレッシングによるところが大きいのではないかと思う。新鮮なものはだいたいうまいし、歯ごたえがあるとよりうまいし、風味が立っていると風味でうまいし、ドレッシングはそもそもそれ自体がうまい。


 サラダは間違いなく「冷たいものの美味しさ」しかない料理だ。温野菜や野菜スープなどは「温かいものの美味しさ」を最大限に生かした料理だが、サラダはその真逆である。サラダは基本的に「味付け・盛り付け」だけなので、手間がかからないというメリットはあるが、そのぶん、限定的なおいしさになりがちである。


 おれが一番言いたいことは「サラダはおかずではない」である。デカいボウルにドカンとグリーンサラダが入っており、それを取り分けて食べよう、おかわりもあるよ、と言われても、そもそもそんなに入らない。野菜は1日350g摂取しないと意味がないという言説もあるが、生だとやっぱり大量摂取しづらい。


 洋食店などで出てくる前菜としてのサラダが、一人分の適正量であるとすると、あれ以上のサラダが出てきたら、それはそれで食事のバランスに影響が出てくるにちがいない。そりゃトータルで350gも食べれば栄養面などでは色々良い感じになるのかもしれないが、摂取カロリー減によって代謝が下がる可能性なども否定できないし、食べすぎて低たんぱく症などの危険性もある。


 サラダの最大のメリットは「茹でる際に失われてしまう『水溶性ビタミン』を残したまま食える」というところにあると思うが、逆に言えばそれ以外のメリットを捨てている状況でもあるかと思う。なんでもバランス良く食べられれば多少の好き嫌いはあってもいいと思うが、ことサラダに関しては「サラダ嫌いは人にあらず」とばかりに口撃されるケースが多い。サラダが嫌いというだけなのに、野菜全般が嫌いであると解釈されてしまうのだ。そんなことないよ、おれは薬味も(以下略)。


 そんなこんなで、おれは適正量を超えるサラダのサーブにあまり良いイメージがない。他の野菜料理から栄養を摂るので、サラダはちょっとだけでいい。ちょっとであれば、あまりドレッシングもかけなくていいので、そのぶんより健康であろう。でもだめなんだろうな~。ダメですかねえ、サラダあんまり好きじゃないの。グリーンサラダとか、オリーブオイルと塩かけるとかだけでも結構おいしいので、是非お試し下さい。

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