第19話 薬味ってうまいよね
大葉、ネギ、ミョウガなどを始めとする「薬味」、おれはこの「薬味」が大好きである。以前、とあるテレビ番組で「好きな野菜ベスト5を挙げたら何になるか」というテーマの議論があったのだが、おれがやってみるとこのような感じになる程度には「薬味」というやつが大好きである。
1位 ネギ(玉ねぎは除く)
2位 にんにく
3位 大葉
4位 しょうが
5位 オクラ
おれにとっての丸亀製麺は「ネギがたくさん食べられるうどん店」だし、CoCo壱番屋は「福神漬をたくさん食べられるカレー屋」である。精進料理の五葷(ごくん)であるにんにく、ネギ、ニラ、玉ねぎ、ラッキョウは「精のつく野菜」とされ、特に曹洞宗などにおいて食べることが禁止されているというが、おれは肉魚などの殺生うんぬんの前にこの五葷(ごくん)なしがキツいので精進料理は無理だろうな〜という、割とレアなタイプかと思っている。
乱暴な言い方をするのであれば、薬味というのは要は「くさい葉っぱなど」なわけだが、おれはこの「くさい葉っぱなど」全般に関して、問題なくおいしく頂けるようになっている。よく挙がる「パクチー」なんかはどうしてもダメという人も多いが、おれは平気だし、むしろ好きだ。ジャスミン茶も好物だし、ソーンフ(インドカレーのお店などで供される、甘い米みたいなやつ。英語だとフェンネルシード)も積極的に食べる。パフェにちょこんと添えられたミントの葉っぱなんかも、パフェとは別の味わいがあって滋味だ。パフェ自体が別腹なのに、おれはさらにもう一つ、薬味で別腹なのもお得感が高い。
薬味の話になると饒舌になり「大葉はもぎたてが一番うまいんだよね」などという感想が普通に出てくるおれだが、それらを人に強要することはしない。薬味はそもそも「薬」だし、風味や食感が嫌いな人も当然居るだろうから、別に食べようが食べまいがそれは自由にどうぞ、というスタンスである。もっとも、家族での食事など、積極的に貰えるタイミングの時は貰うようにしている(というかこちらから催促するまでもなくおれの元に集まってくる)ので、おれ自身は常に薬味をおいしく頂くことに成功しており、QOLが高い。
エビフライとタルタルソースの関係をして「エビフライはタルタルソースを食べるための棒」と表現した人が居たが、おれにとっての薬味もまさにそんな感じだ。そうめんはミョウガ、ネギ、山葵を食べるための細長い麺状のやつだし、その他も主題は基本的に薬味である。
各種レシピにおける薬味となると、普通は補助的な役割しか与えられないが、薬味のおいしさを余すことなく食べられる方法の一例として、山形県の郷土料理でおなじみの「だし」がある。なす、きゅうり、みょうが、青じそをしょうゆで味付けした浅漬けという、まさに「薬味好きのための料理」であり、ご飯にかけても、そのまま食べても普通においしい。作例としてはあまり見かけないが、新鮮な大根を刻んだやつを入れると、ものすごく鮮烈な爽やかさが加わっておいしい。
また、にんにくを青唐辛子入りの味噌で漬けた「青唐にんにくみそ」という商品もある。これはツナギの味噌を考慮しなければ実質薬味だけの「飯トモ」で、当然ながらおいしい。通常、漬物なら表面の味噌は洗わないと食べられないのでは?と思いがちだが、これに関しては味噌を洗わずにそのまま食べられる。コリコリとしたにんにくの食感と風味が青唐辛子の辛さと相まって、気がつくと一瓶空けてしまうことも少なくない。これに刻んだ大葉を足すと、清涼感が加わってますますおいしくなる。
自炊としては、かいわれ大根と青ネギ、青じそを同じ分量刻んで混ぜた「マイ薬味」を作ってタッパーに入れたものを冷蔵庫で保管しておき、必要に応じて味噌汁や納豆、冷奴にトッピングして食べるというのをよくやる。この3つは薬味のド定番なので、だいたいどんな料理にも合う。だいたいの和食はこれで風味が2〜3割増になる(当社比)。
ほか、薬味好きとしてオススメしたい組み合わせがあるとすれば、おれはあまり食べない(理由はまた別な機会に)が「うなぎ」と「ネギ」だろう。蒲焼き・白焼きを問わず、うなぎを食べる機会があったら、ぜひ少量の青ネギ・山葵で食べてみてほしい。うなぎとネギなんていまひとつはっきりしないイメージがあるかもしれないが、これが意外にも合うのだ。うなぎの名店と呼ばれるお店でもたまに供されていることがあるらしい。
まだまだ薬味について書きたいことは山程あるが、全部書くと指輪物語みたいな分量になってしまうので、エッセイではこのぐらいにしておこうと思う。薬味個別の話もいろいろあるので、薬味好きの皆様は是非ご期待下さい(いれば)。
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