第16話 レリアの、2度目の逆恨み。そして 俯瞰視点(3)

「な。ぁ、ぁぁぁ……」

「ぁ、ぁぁ。ぁぁぁぁぁ……」


 相手の隙をつき、完璧なタイミングで走り出したレリアとヤニク。そんな2人の逃走は、わずか5歩で終わりとなってしまいました。

 なぜならば――


「おいおい、どこに行くんだ?」


 ――誰もいなかったはずの進路に、2人の大男が現れてしまったからです。そのためレリアとヤニクは逃げたくても逃げられない状況に陥ってしまい、


「ぁぁあっ⁉」「うああっ⁉」

「これから、ショータイムが始まるんだ。じっとしていろ」


 2人は大男によってあっさりと、後ろ手に拘束されてしまいます。そして――今度は、彼女達の正面にいた男2人、レリアとヤニクが逃げようとしていた男たちが動く番。彼ら2人は懐から鋭利なナイフを取り出し、ゆっくりとレリア達に近づいてきました。


「わっ、わたくしたちをっ、殺すつもりですの!? それで刺すつもりですの!?」

「さっきからお前らを消すと言っていて、コイツを握っているんだからな。そうなるな」

「安心しな。急所を的確に突いて、一撃であの世に送ってやるからよ」

「いやぁああああああああ!! そんなのぉっ、あんしんっ、できなぃぃぃぃぃ!!」

「やめてくれぇぇぇ!! いやだぁぁぁぁぁ!! いやだぁぁぁぁぁぁぁあぁ!!」

「俺達は、主以外の言葉は聞かない。さあ、さよならの時間だ」


 ニヤリ。男2人は、嗜虐的で悪趣味な笑みを――先ほどレリア達が浮かべていた笑みを浮かべて、ナイフを大仰に振り上げます。そして、


「ひぁぁ……。ひぁぁぁぁ……」

「ひぃぃぃ……。ひぃぃぃぃぃぃぃぃ……」


 恐怖により失禁してしまっている、レリアとヤニク。そんな2人の頸動脈目掛けて振り下ろし――


「「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ――ぁ、ぇ………………?」」


 首筋に当たる、僅か1センチ手前。皮や肉を裂く寸前で、ナイフはピタリと止まったのでした。

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