第10話 理不尽~目撃前のやり取り~ レリア視点

「ぁああああああああああ!! ぃぁああぅぁあああああああああああああああ!!」


 お屋敷に帰った直後――わたくしの怒りは、爆発した。パーティー会場に置かれていたテーブルをひっくり返し、お皿やグラスを手当たり次第に叩きつける。

 地面に料理が落ちても、そんなのどうでもいい! とにかく視界に入るもの全てを、力任せに壊してゆく。


「新生活が崩壊したのにっ、もう散々な目に遭ってるのに!! のせいでまともな男は寄って来なくなってるのに!! なのに、まだこれ!! なんなのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 フォークとナイフを芝生に投げ、足元にあったグラスを踏んで割る。それまでも収まらずサンドウィッチごと大皿を叩き落として踏みつけ、ティーポットとティーポットを思い切りぶつけて破壊する。


「ぁあぁあああああああああ!! ぁああああああああああああああああ!!」


 そうして本能の赴くままに暴れ回って、すっかり暗くなったから――1時間くらいは、そうしていたと思う。ようやくある程度怒りが鎮まって、そうすればお父様が近づいてきた。


同行者レーズから、話は聞いている。可哀想に……。なんとも陰湿なやり方だ」

「まったくですわ……っ。その時なにも言わずに、人が弱っている時に叩くだなんて……。あちらこそが、人間の屑ですわよ……!」


 我慢? そんなのウソ、大嘘! どうせ侯爵夫人になるから言えなかっただけ!

 どいつもこいつも、情けないヤツらですわ……っっ!


「でも……。そんな人達も……。わたくしには、必要だった……っ」


 だって他人がいないと、自慢できないし羨ましがられないんですものっ。


 あんな人達と疎遠になってよかった――。せいせいする――。

 疎遠になったのは、よくなかった――。嫌だ元に戻したい――。


 そんな2つが入り混じるようになって、やっぱり、『戻したい』が強くなっていって……。でも、もう絶対にそうはならないから……。

 つらくて、悲しくて……っ。だからまた、怒りが湧いてくる。


「こんな楽しみさえも、……。許せない……!!」


 原因を作ったレイモン。それに、ベルティーユもそう!


「ベルティーユはあの時、ルナレーズ商会について言及していた……っ。どこかで、不正の情報を手に入れていた……っ。だったら……っっ」


 だったら、もっとちゃんと伝えなさいよ!! わたくしは何も知らないんだから、そんな人にも分かるようにしっかり伝えなさいよ!!


「あの時もっと詳しく説明してくれていたら、わたくしは信じたのに……っ。わたくしはレイモンとの関係を見直せて、こうはならなかったのに……っ! 手を引くからエンゲージリングも返していて、ロールが言う最後の一線も越えなかったのに……!!」


 そう思ったら、まだ怒りの炎が燃えが上がってきた。どうしても、ベルティーユが許せなくなった。

 だから……っ! お父様に相談をして――

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