第6話 2週間後 レリア視点
「っっ! 今日も、まだ同じっ!! どうなってますの!?」
帰国してから随分と時間が経った日の夜。もうまもなく午前0時をさす時計を指さし、わたくしは食堂で目を吊り上げていた。
なんでっ!? どうしてっ!?
「一通も、招待状が届きませんの……!? 誰からもっ、声が掛かりませんの……!?」
わたくしがこの国に戻ってから、13日も――たった今14日も経過したのに、一切招待されない!
婚約をする前は、ちゃんと頻繁に招待状が届いていたのに。なにがどうなってますの!?
「お父様っ! 訳が分かりませんわっ!! 理由が分かりませんわっ!?」
「う、う~む……。どうなっているのだろうな……?」
対面にいたお父様はわたくしの前にカモミールティーを置いたあと、髭をたっぷり生やした顎に手を添える。そうして俯きがちになって頭を捻り、やがて下がっていたお顔が上がりましたわっ。
「お父様っ。何か分かったんですのねっ?」
「ああっ。恐らく周りの者は、遠慮をしているのだろうな」
「? 遠慮……?」
それは、どういう……?
「レリアはあのような形で離婚をする羽目になり、馬鹿どもに翻弄されて帰国をした。事が事だけに、大きなショックを受けていると誰でも想像できるだろう?」
「ええ。そうですわね」
「だから、『今はそっとしておこう』と思っているのだろう。恐らくは帰国後1か月もすれば『もうそろそろいいだろう』と判断し、ぞくぞくと届くはずだ」
あっ、そういうこと、ですのね。
納得ですわっ。その通りですわっ。
「では、もう少しすれば見せびらかせますのね。あと2週間程度で――そこまで待ちたくありませんわ。お父様っ」
「分かっているさ。パーティーを開きたいのだろう?」
さすが、お父様ですわ。
そうっ。待てないから、こっちから動く。『もう大丈夫』と伝えるパーティーを開いて人を集め、楽しい時間を作るんですの。
「よし。出来るだけ早く――1週間後にパーティーを開けるよう、大急ぎで手配をしておこうじゃないか」
「お父様、ありがとうございますわっ。うふふふふ。楽しみ、ですわねぇ」
そうして新しい『お楽しみ』の予定が生まれ、あっという間に一週間が経ちました。今日は、待ちに待ったパーティーの日で――
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