第4話 レリア・エーズテルド~決行と予想外~ レリア視点(2)
「やけに体格の良い方が、9人も降りてこられましたわね。貴族には見えませんが、突然なんの御用件で――? レイモン様? どうされましたの?」
お隣りへと首を傾げていると、レイモン様はやけにそわそわされていた。
いつも堂々とされていて、常に覇気に満ち満ちていらっしゃる方ですのに。こんなお姿を見るのは、初めてですわ。
(……アイツらは、公安局員だ……。まさか、アレが――いいやっ、考えすぎだ! アレは外部に悟られるはずがない! 何か別件に違いないっ!)
「レイモン様? 今、なんと仰られたのでしょうか?」
「なっ、なんでもない! エインラックっ、ニックス、客人を通してくれ!」
額に汗を掻いていたレイモン様に自信が戻り、門番の方々によって門が開きました。そうして190センチを軽々と超す9名の男性がわたくし達のもとへとやって来て、まずは丁寧な挨拶が――
「レイモン・エーズテルド殿。大切なお話がございます」
えっ? 挨拶が行われない!? 先頭に居た大男はいきなりレイモン様に声をかけ、しかも……。
((殿!?))
レイモン様はもう間もなく侯爵の爵位を受け継ぐ、次期当主なのに! この人達は見るからに平民でっ、目の前にいるのは貴族様、それも上位貴族様っ。雲の上の存在、別次元の生き物なのにっ!
((殿!?))
礼儀がなっていない、そんなレベルではありませんわ! 滅茶苦茶ですわ!!
「失礼ですが、貴方がたは常識が著しく欠落しておりますわ。そんな人間と交わす言葉などございません。最低でも人並みのマナーを身につけてから、いらっしゃってくださいまし――」
「ご夫人。お言葉ですが、我々は常識を持ち合わせております。この者は敬意を表する価値、敬意を受ける資格がない故に、こう振る舞っているのですよ」
「……は? はぁ? はぁ……っ!? なっ、なにを言ってますの!? どういうことですのっ!?」
有力な侯爵家の次期当主っ! あの有名なルナレーズ商会の次期会頭っ! こんなにも稀有な方なのにっ、価値も資格もないですって!?
「わっ、訳が分かりませんわ! 分かるように仰ってくださいまし――分かるように言いなさいっ!!」
「承知いたしました。ではまずは、こちらをご覧ください」
たまらず怒鳴っていると、彼は上等な素材でできた紙を取り出した。そこでソレを見てみると……………………。
「ぇ。た、逮捕状? レイモン様とお義父様とお義母様が、逮捕……⁉」
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