第46話 狼達の亀裂
「ルフ様遅すぎない?、私ちょっと様子見てくるよ」
「イヴに任せるのは悪いし、ここは俺が行くよ」
「………ええっと、女子トイレに入るつもりなの?」
「ば、バカッッッッ、そんなわけないだろうがッッッ!!!、じ、人狼は人間には聞こえない特殊な声で意思疎通ができるんだ!!」
「え?、そんな便利なモノがあるの?、よかった~てっきりルー君が変態になっちゃったかと思ったよ」
「だからルー君やめろ\\\」
私がルフ様の様子を見てくると言うと、ルーガスはそれなら自分が行くと言ってくる、しかしルフ様がいるのは女子トイレ、軽く引きかける私、しかし、ルーガスはトイレに入らなくても意思疎通ができるという、自分の早とちりだったみたいだ、ルー君呼びに顔を赤くしながらトイレへ小走りで移動するルーガス。
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sideルーガス
「あ、ルフ……あんまり遅いから様子見に来たぞ」
「……………」
トイレまで移動し、外に備え付けてある手洗い場にルフはいた、丁度、終わったところだったのだろう。
「ほら、イヴが待ってるから早く行こうぜ」
「………やだ」
「え?」
「ヤダって言ったの」
「な、何で?」
「…………あの女にデレデレしちゃって、いやらしいのよアンタ」
「………デレデレなんかしてない」
「いーや、デレデレしてる」
「…………どうした?、お前今日おかしいぞ、急に不機嫌になって………」
流石に脈絡なさすぎる煽り、いつもと調子が違うので、感情的にならないよう、彼女の機嫌を損ねないよう気をつけながら彼女の不機嫌の理由を問う。
「不機嫌になんかなってない」
「………不機嫌じゃないならなんなんだよ、何がそんなに気にいらないんだ?」
「…………もういい、先に宿屋に帰る」
「え?」
「宿屋に帰るって言ったのよ」
「いや、だけどお前を一人にするわけにはいかないだろ?」
「アンタなんか居ても居なくても一緒よ」
不機嫌の理由を聞くも、さらに不機嫌にしてしまったようだ、今度は宿屋に帰ると言い出す………いくら休みとはいえ、王女のルフを一人宿屋に帰らせるわけにはいかない、そう発言すると、ルフは暗に俺が役に立たないと言ってくる。
「………それ、本気で言ってんのか?」
「…………」
「……わかった、もういい勝手にしろよ………」
「…………」
………人の休みに勝手についてきてこの自分勝手すぎる発言の連発には俺の堪忍袋も限界だった……俺の一欠片の理性が彼女に問いを投げかける、訂正の機会をルフに与えた、しかし彼女は黙ったまま俯いている…………その沈黙を俺は肯定と受け取り、彼女に背を向けイヴの方へと戻る。
「………ルーガスのバカ」
……俺の聴こえるギリギリの距離と音量でルフが呟いた。
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「ルフ様どうだったん?」
「宿屋に帰るって………」
「え?、何で?」
「……体調が悪いんだってよ」
「そうなんだ………それじゃあここでお開きにしとく?、近くに誰かいた方がいいでしょ?」
「……いや今は人と一緒にいたくないらしい、一人じゃ何だし、よかったら暇つぶしに付き合ってくれないか?」
「そっか………私は暇だから全然良いよ」
ルフ様は体調が悪く帰ったという、ならここで解散にするかと提案するが、断られる……本人が近くにいてほしくないと言っているなら一度距離をおいた方が得策だろう。
「おじさん、焼きそば二つお願いね」
「お?、カップルかい?、アツいね~」
「アハハハ、違う違う、そういうじゃーーー」
「ーーーーち、違うッッッッッ!!!\\\\\」
小腹を空かせた私達は何か適当に食う事にした、英雄の像が立っている広場には出店がチラホラあるので、適当に一番近くの焼きそばの出店に立ち寄り、焼きそばを二つ頼む、そうすると袖を捲って焼きそばを作ってるおじさんが私達2人を見て、カップルと茶化してくる、笑って否定しようとしたら隣のルーガスが力強く否定した。
「………えーと………」
「………わ、悪かったなボウズ……」
「へッッッ、あ、いや、その……お、俺の方こそすみません、いきなり大声出して………\\\\」
「代わりといっちゃ何だが、二つとも大盛りにしとくぜ」
「あ、ありがとうございます、アハハハ」
顔を真っ赤にしたルーガスの勢いに微妙な空気が流れる、これ以上は藪蛇だと悟った屋台のおじさんはそれ以上揶揄うのはやめて謝る。
「ほら姉ちゃん」
「あ、どうも」
「ボウズも」
「あ、はい」
「……ボウズ、お前の歳だと恥ずかしいのもわかるが、後悔したくねぇなら勇気を出した方が良いぜ」
「なッッッッッだ、だからーーー」
「ん?、どうしたの?」
「~~~な、何でもない………\\\」
店のおじさんは焼きそばを手渡してくる、ルーガスに渡す時、何か耳元で呟いたようだ、再び顔を真っ赤に染めたルーガスが声を荒げかける、しかし私が声をかけると、口を閉ざすルーガス。
「うん、美味い」
「……そうだな」
花壇に腰をかけて焼きそばを食う私達………。
「ご馳走様」
「お粗末様です……って私が作ったわけじゃないんだけど」
ルーガスが食べ終わった後、行儀良く私に手を合わせる、私は適当に返事を返す。
「んじゃあ次はベビーカステラ買うか」
「……あんまり食べてばっかだと太るぞ」
「いやいや、私が食べるじゃなくてルフ様の分だよ、お土産あった方がいいでしょ?」
「え……ああ、そ、そうだな………」
「ってか女子に太るとか言わないでよ~」
私達は次にベビーカステラを売っている屋台へと移動する。
「おにいさん、ベビーカステラ一つお願いします」
「あいよ、お?、アンタはあの時の姉ちゃんじゃねーか」
「あ、どうも」
「あれ?、今日は隣にいるのはあの時のあんちゃんじゃねぇな……男を取っ替え引っ替えしてるっていうのはあんまり関心しねぇな」
ベビーカステラを注文するとロイ様とデートした時の人がいた、あちらもこちらを覚えているらしく、適当に雑談する、その後、私の隣が変装したロイ様でないことに気づき、悪女扱いしてくるが、慌てて否定する私。
「違う違う、ルーガスはただの友達だって」
「それならよかった、ウチの店のベビーカステラ食ったら破局するなんて噂が流れたら商売あがったりだ、ガハハハハハハ、よし、お得意様だから今日も半額にしといてやる」
「お、サンキュ~」
「ほら出来たぞ」
「んっ、ありがとうございます」
ベビーカステラを手渡された後、感謝を述べた後、屋台から離れる私達。
「………さっきのあんちゃんって誰の事だ?」
「うん?………まぁ、ルーガスには言ってもいいか………実は私、ロイ様と婚約しててね」
「ーーーえ?………ロイ様って、あの時一緒にいた王子か?」
「うん、そう、で、色々あってロイ様と変装しながらデートをしたんだ、その時に立ち寄ったのがさっきの店……ああ、するとは思わないけど、変装しながらデートしてたって言いふらさらないでね」
「あ、ああ……もちろん、わかってる……」
ルーガスから口を開くのは珍しいな、彼はシャイなのでそうそう自分から口を開くことはないのだが……さっきの『あんちゃん』が気になっているようだ、少し悩んだが、ルーガスになら話してもいいと思い、話すと、急に顔色が暗くなるルーガス……。
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