第35話 虐めてください


「ーーーッッ??!!」


「………最近私を尾け回してるよね、なにが目的なの?」


最近、自分を尾け回してる人物を路地裏に誘い込み、腕を砲身に変えて、そのまま砲身を顔に突きつける、相手が後ずさるも壁があるのでそれ以上、さがれない、追い込んだ、どうやら女性のようだ。


「…………」


「だんまりか、良いよ、平和的なお話が嫌なら、暴力で体に聞くまでだからさ……『歪・鉄屑針鼠ジャンク・メイデン』………」


「ーーーます」


「……やっと喋る気になったか、だけど声が小さすぎて聞こえないな、もう一回言ってくれる?」


私は黙秘を決め込む相手を脅すように武器を体から展開し、無数の武器と砲身を彼女に突きつけると、観念したのか何かを囁く彼女。


「ーーーそのまま私を痛めつけてくださいお願いします!!!!」


「…………はい?」



そのまま話を促す私、しかし彼女の返答は予想外すぎたので間抜けな声を出してしまう。


「ーーーそれで、あの大会で私の攻撃に快感を覚えちゃったってこと?」


「はい!!!」


「うわぁ………」


とりあえず話を聞くため、目に入ったカフェに入る私達、彼女はレベッカ、ロイの婚約者を極めるバトルロイヤルに参加していたらしいのだが、私の攻撃を喰らった時に快感を覚えてしまったらしい、それでまたあの快感を味わえないかと最近尾行をしていたとのこと、ドン引きする私。


「お願いします!!あんなに体を弄ばれたのは生まれて初めてでした!!!、是非またいじめてください!!!」


「……誤解を招く表現やめてくれない?」


大声でやばい事を言い出すレベッカ、オープンスペースで話していたので道ゆく人たちがギョッとした顔で私達を見てくる。


「えぇぇ、イヴさんにそんな趣味が……」


「英雄色を好むか……」


「女同士で……しかもSM……」


「ねぇママ、百合のSMって尊くない?」


「こら!!、どこでそんな言葉覚えたの!!、子供は見ちゃダメよ!!!」


周りの人間がヒソヒソ話し始める……やはりとんでもない誤解をされてしまっている。




「お願いします!!!私を虐めてください!!」


「何の理由も無しに傷つけられないかな」


もはや店員すら営業スマイルが崩れ、苦笑いを浮かべていた、居心地が悪かったのでカフェを出る私達、そのまま私の後をついてくるレベッカ、痛めつけてくれと懇願してくる、もちろん断り続ける。


「じゃあどうしたら私を攻撃してくれますか!!??」


「う~ん、難しいこと聞くね」


珍妙な問答をする私達。


「………ん?」


「どうしました女王様」


「女王様って呼ばないで……また知り合いがアホやってるよ……」


「アホ?」


そのまま道を適当に歩いていると、公園でハルが子供達と話してるのが見える……どうせまたホラを吹いているのだろう、もしかしたらただ遊んでいるだけかもしれないので聞き耳を立てる私。


「ーーーーあれがスーパーコバト人だ」


「あの銀髪になるやつでしょ!!、みたみた!!」


「だが、アイツはスーパーコバト人を超えた変身を後二つ残している………この意味がわかるな?」


「ええ??!!」


「まずスーパーコバト人、その次にスーパーコバト人を超えたスーパーコバト人、スーパーコバト人2ってとこか、そしてさらにそれを越えたスーパーコバト人3だ……」


「あ、あれ以上の変身ができるなんて……」


「す、すげぇ!!」


「み、みたいよ!!!」


「よし、みたいか、ならこのダンスを覚えろ、このダンスを見せればコバトがスーパーコバト人3を見せてくれるはずだ」


「ど、どんなダンスなの!」


「早く教えてよ!!!」


「まず、二人組になって、左右対称で動く、腕の角度と足の角度に気をつけろ!!!カニ歩きで近づいていき、ユニゾンハッッッ!!!、って言いながら手をつなげそうすればお前達は融合戦士になれーーー」


「ーーーー『回転式杭打ち機リボルバンカー』だ・か・ら・な・に・し・て・ん・だ・テ・メ・ェ」


「ーーーギ○スラッシュ??!!」


話を聞くが、またもやホラ話を広めているようなので、後ろから杭打ち機で杭を何発もぶち込んでいく、一応重症にはならないよう手加減はしておいた、ハルは意味不明な悲鳴をあげながら吹っ飛ぶ。


「今のは……五連ってとこか」


「す、すげぇ!!トリ○だ!!!」


「ウォーウォー釘拳♪」


「ゴフッッ、まさか五連とは恐れ入ったよ、あの食材をメインに決めてるだけはあるな……イヴコ」


「誰がイヴコだ誰か」


「ーーー弟子にしてください!!!」


「「「……はい?」」」


私は大人気漫画の主人公、筋肉モリモリの大男の真似をすると子供達は大喜びする、ハルは血反吐を吐きながら毒使いの大男気取りで喋ってくる、そうしているとレベッカがハルに弟子入りをしだす、あまりの事に私を含め、ハル、子供達が異口同音で間抜けな声を晒す。


「どうやったらそんな流れるようにイヴ姉様に虐めてもらえるんですか??!!」


「へ?、き、君、誰?」


「私はレベッカと申します!!!貴方の名前は?」


「俺はハル、ハル・セルリアンだ、よ、よろしく」


「はい!!、よろしくお願いしますハル師匠!!」


「し、師匠???、お、おい、コバト、この子なんか変だぞ、助けてくれ」


「無理」


珍しく目を丸くして、動揺しているハル、助けを求められるが、どうしようもできない私。





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