第34話 天使と悪魔の小競り合い
「うん、確かに天使の翼も気持ち良かったけど、バリエーション豊かなのは七大罪の方だね、私が選ぶのは悪魔達の方ーーーー」
「ま、待ってください!!!、い、イヴ様は今何か欲しいものはありますか??!!」
「ん?、喉が渇いたから水が欲しいかな」
「そういう時便利なのが、忠義の徳ザドギエルの『絶対命令権』!!、イヴ様に力を貸したので水にこっちまで来いと命令してみてください!!!」
「み、水よ……こっちに来い?……おお、こっち来た……」
「ど、どうですか!!」
「面白いし、楽かも」
悪魔達のモフモフ天国の誘惑に負けた私は七大罪の方へと決めようとすると、天使が慌てて聞いてくる、水が欲しいというと、ふわふわと水が浮かんできて、私の口の中へと収まる、そのまま飲み干す。
「忠義の私の持つ力は『絶対命令権』、この世の万物全てに命令をすることができます!!、欠点は生物には使えないことです!!」
「結構すごい能力じゃないそれ?」
「驚くのはまだまだ、台所はこちらですか?」
「うん」
「スポンジ、洗剤よ、皿を洗え!!!!!」
「ーーーッッッ??!!」
かなりすごい能力を商品販売員のような口調でアピールしてくるのに違和感を覚える私、台所へと移動した天使改ザドギエルは皿に命令するとスポンジは一人でに洗剤をつけた後、皿を次々洗っていく、あっという間になくなる。
「す、すげぇ……」
「フフフ、どうですか、これが私達天使の力です!!!更に応用すれば洗濯物達に好きな時間に畳んで引き出しに戻れと命令しておけば勝手に入っていきます!!」
「マジで??!!!」
「はい、マジです!!」
それじゃあ毎日面倒臭い家事洗濯がほぼ全自動ということか、それは魅力的だ。
「さらにさらに、材料さえ揃ってさえいれば料理すら全自動です!!」
「マジで!!??」
「マジです、そしてこれはまだ一個めの特典です!!」
「え?、もしかして後6個、そんな感じの能力が使えるようになるの?」
「はい!!」
これだけ至れつくせりなのに、更に6個の特典がついてくるという、これは天使もありだな。
「うーん、貴方達悪魔は家事とか…できないよね」
全員顔を背けて口笛を噴き出す悪魔達。
「モフモフも最低限あるし、ほぼ家事全自動なのは魅力的だな、よし、決めた、私は天使の主人にーーー」
「…………」
「………えっと、そんな目でこっち見ないで……」
天使に決めようとすると七匹の動物がつぶらな瞳で見つめてくる、無言の重圧、まるで捨てられたペットのような目に押し黙ってしまう私。
「イヴ様、最近何か困った事はありますか!!??」
「うん?、そういや最近、人によく絡まれるかな、「イヴ・ペンドラゴンさんですか~?」って、だから変装でもしないと気楽に外も出られないのが結構めんどくさいんだよね~」
「そんな貴方におすすめなのが嫉妬の俺、レヴィアタン・マーヴィーの能力、『
天使の方へと傾いた瞬間、悪魔の一人、柴犬が慌てて質問してくる、適当に答える私。
「
「貴女に私の能力を貸しました、なりたい顔を想像してください」
「んじゃ適当に王宮の使用人さんの顔………」
「鏡をご覧ください!」
「お、おおお、すげぇ……」
鏡を見ると、想像通りの顔をした私がいる。
「これが私の力です!!、これがあればどんなところにも潜入可能!!、さらにさらに慣れてくれば性別はおろか、種族すら変えることができます!!果ては無機物にだってなることが可能です!!」
「マジで??!!」
「マジです!!そしてさらにさらに今すぐご契約してくれるのなら、さらに後六つの能力もついてくる大出血サービス!!」
「う~ん、悩むなぁ~」
悪魔の方もなんか販売員みたいなトークを始める、悩む私。
「ーーーんん?、お客さんか……ちょっと貴方達、待ってて」
「「わかりました!」」
「………くれぐれも喧嘩しないでね」
呼び鈴が鳴る、どうやらお客さまのようだ、とりあえず私は玄関に向かう、移動する前に悪魔と天使達に釘を刺す、喧嘩をするなと。
「はい……って、ハルかよ」
「おっす、コバト、近く寄ったから顔見に来たぜ~」
「ちょっと今取り込んでるから後にして」
「そっか~、そりゃ残念、お前の大好きな店のモンブラン買ってきたんだけどなあ~」
「上がって」
どうやら来客とはハルだったようだ、今はアホに付き合ってる余裕はないのでさっさと帰るように言うが、よくよく考えてみるとハルといえど門前払いで返すのは人としてダメな気がしてきたので上がらせる。
「お邪魔しま~………す?、お、おいコバトなんかすごい人口密度だけどどういうことだこれ?」
「モンブラン寄越してくれたら話してあげるよ」
ハルは部屋の中にいる天使と悪魔を見るとポカーンと面食らう、その隙にモンブランを回収しようとする私。
「ーーーってことよ」
「なるほどねぇ~」
事の経緯をハルに説明する私、理解するハル。
「私が決めようとすると違う方がアピールしてきてイタチごっこなんだよね~どうしたもんか………」
「あのさ、一つ聞いて良いか?」
「ん?、何?」
「両方の主人にはなれないのか?」
「………あ~………」
ハルは頭をポリポリ掻いた後、疑問を一つぶつけてくる、すなわち両方の主人にはなれないのかと、どちらかを選べと言われていたから気が付かなかった、無意識のうちにその選択肢を排除してしまっていたのだ。
「ねぇねぇ、ザドギエル」
「なんでしょうかイヴ様」
「悪魔と天使両方の主人ってなれるの?」
「ーーーええ??!!あんな穢らわしい奴らと一緒の職場ですと??!!そんな事想像もーーー」
「ーーー七つの大罪の皆さん、私は貴方達を選びーーー」
「あああああ!!??、か、可能か不可能かでいえば可能だと思われます!!!」
ザドギエルに質問してみると、すごく嫌そうな顔で長話をしそうだったので、こいつらに対しての切り札を即切る私、案の定、すぐに返答するザドギエル。
「そっか、なら私は両方の主人になるよ」
そう言うと、嬉しいけどお前らと一緒かよ~みたいな空気が流れる。
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