第4話 辺境都市の活気

 行商人の次は俺の番だ。門番がいる場所まで進んでいくと、門番に、


「身分証明書を提示しろ」


 と、やや高圧的な態度で言われた。


 やっぱり、身分証明が出来るものが必要か。


「遠方から来たので、身分を証明できるものを持ってないんです」


 と、俺は説明する。


「ふむ。その黒髪、イースウェルから来たのか。なら身分証明書を持ってなくても仕方ないか」


 身分証を持ってなくても仕方ないとは、イースウェルとはどんな場所なのだろうか。何にしろ今の俺には都合がいい。


「街に入るには、どうすればいいですか?」


「まず、簡易鑑定を受けてもらう。それで問題がなければ、仮の通行書を発行する。街に入ったらギルドで冒険者カードを発行してもらうといい。それが、身分証明書になる。旅人なら、戦闘の心得もあるだろう?」


 門番は、慣れているのか、手短に手順を説明してくれた。


 鑑定を受けるのは少し躊躇われるが、スキル・偽装があるから大丈夫だろう。別に見られて困るわけではないが、無闇に見せびらかすものでもない。この世界のことが分かっていない現状では尚のこと。


 まあ、簡易鑑定なら見られても名前ぐらいだろうし、偽装する必要もないだろう。


「わかりました。街に入る手続きをお願いします」


「おい、少し変わってくれ。ここを離れる」


 俺の担当をしていた門番は、同僚にそう声をかけた。


「了解です」


 同僚に自分の仕事を引き継いだ門番は、俺を門の脇にある受付のような場所に案内した。


 そこには台に置かれた水晶玉があった。


「これに触れ」


 言われた通りに水晶玉に触れる。水晶玉に触れると、水晶玉が青色に発光した。


「名前はトウヤか。水晶玉の色も問題なしだな」


 俺が水晶玉に視線を向けている間に、門番は水晶玉を確認し、紙に何かを記入していた。


「ほら、これが仮の通行証だ」


 門番は記入し終えた紙を渡してきた。


「これで終わりですか?」


「そうだ。さっき触ってもらった水晶玉は、この都市に悪意あるものが触れると、赤く発光するんだ。お前は青色だったから問題ないってことだ。あと、冒険者ギルドは、大通りにある。目立つからすぐにわかるはずだ」


 なるほどそういう仕組みになっていたのか。


 門番に一言礼を言ってから街の中に入っていく。


 まずは、冒険者ギルドに行って、登録をしないと。


 冒険者ギルドを探しながら街の中を散策する。


「活気がある」


 街中は、人で賑わっていた。俺が今歩いている大通りでは路上販売が盛んに行われており、様々な品が販売されている。


 しばらく歩くと、一際大きな建物が見えてきた。


 あれか?


 もう少し近づくと、「冒険者ギルド」と書かれた看板が見えてきた。


 今更だが、普通に言葉が通じるし、文字も読める。そういえば、スキル・言語理解を持っていたな。それが影響しているのだろうか?


 俺は、冒険者ギルドの中に入っていく。

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