第2話 異世界にいた。

 転移陣に飲み込まれ、辿り着いた先は、巨大な樹々が立ち並ぶ大森林だった。


「ここは?」


 今まで見たこともない場所に飛ばされた俺は、思わずそうつぶやいた。


 現状を知ろうと、システムコールを使うが、何も反応がない。


 バグ?だとしても何らかの連絡があるはずだ。


「異世界?」


 思わずそんな言葉が出る。普通ならありえない話だが、この状況では、そう考えるのが自然に思えた。


 何せ、地球にもゲームにもこんな景色の場所は存在しない。空には、巨大な鳥が飛んでいて、遠くの方には、巨大な山脈が存在している。山脈の山頂には、黒雲が紫電を走らせながら漂っていて、ここからでは山頂を見ることができない。


 何もかもスケールが違いすぎた。The AnotherWorldは現実に限りなく近かったが、それでも、どこか現実と違う感覚があった。だが、今俺がいるこの場所には、そういった違和感が一切ない。ここは間違いなく現実だ。しかも地球ではないどこか別の世界、異世界だ。


「システムコールは使えない。なら、ステータスは?」


 そう思い、ステータスを確認する。


「ステータス」


 名前:トウヤ

 種族:仙人

 レベル:99

 生命力:7652

 魔力 :7113

 闘気 :7860

 仙力 :5998

 竜気 :10000

 スキル:武術EX 魔術EX 鍛治EX 錬金術EX 料理EX

     闘気法EX 仙法EX 竜の因子LV1 竜気法LV1 etc

 称号 :『万能者』『頂に立つ者』『武芸百般』

     『限界突破』『仙人に至った者』『黄金竜の加護』


「確認できた。それにしても、竜気一万って・・・」


 他にも、生命力や魔力、闘気に仙力まで大幅に上昇していた。


 なるほど、称号『黄金竜の加護』の効果か。


 称号『黄金竜の加護』の効果は、「黄金竜と戦い勝利した証。黄金竜の力を与える」となっている。


 称号『黄金竜の加護』の効果で、生命力、魔力、闘気、仙力はちょうど二千ずつ上昇していた。竜気は元々はなかった力だが、それがいきなり一万もあった。竜気の力や新しく獲得したスキルが気になるが、そのことは後で考えよう。


 今は、ステータスよりも、ゲームの時と同様のことができるのかどうか調べるのが先か。ステータスが表示されたことを考えるとできそうだが・・・


「試してみるか」


 俺は無数にある巨木の一本の前まで進み止まる。そして、技を発動させた。


「初伝・発」


 闘気を纏った拳が巨木に当たる。拳が当たった場所を中心に巨木に衝撃が走った。衝撃に耐えきれず、円周数メートルはあるであろう巨木は音を立てながら倒れた。


「問題なく使える。この感じだと、他のも問題なさそうだな」


 そう呟きながら、倒れた巨木をストレージに収納する。


 勿体無いからな。それに、これだけ立派な原木なら使い道は多い。


 これからどうするか・・・


 とりあえず、この森を抜けて人のいる場所を目指すか。


「スキル・空中歩行」


 地面を蹴り上げ、この森を一望できる場所まで飛び上がる。


「森が開けているのは、あっちの方か」


 森の開けている方に向かって空を駆けていく。


 数分ほど空を駆けると森を抜け、平原に出た。さらに、平原をしばらく進むと、街道に突き当たった。俺は、スキル「空中歩行」を解除して、街道に着地する。

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