第17話 聖霊石と逃避と追求と(笑)

「あの~ごめんくださ〜い」

晴天のセフィロト…

フローラと大差替わりない幼声の青年(声変わり終わってんのかな?)の来店は、この店ではかなり珍しい♪


「いらっしゃい♪やっぱり那由多だ♪」

少々緊張気味で店内に入る彼の初々しさ♪

ちょっと危ない趣味の御姉様方(俗に言うおねショタ(笑))には堪らないと思う(笑)


「那由多、遠慮しないでこっちに座りなよ♪」

アーシュが微笑みながら手招きすると、那由多はほっとしたのか一礼してからカウンターに座った。

ん〜何というかこの礼儀正しさ…

本当にマ・ザーの実子なのか疑ってしまいそうである(笑)


「アーシュさんフローラさん、ご挨拶が遅れてしまって…改めていつも母がお世話になっているみたいで…御迷惑ばかりかけてスミマセン」

今度は深々と頭を下げる那由多…

益々 《遺伝子の定説》を疑ってしまいそうだ(笑)


普段こんな丁寧な挨拶に慣れない二人は、直ぐに大人の対応を取れずプチパニックになってしまっている(汗)

そんな二人のリアクションに?マークの那由多なのだが…

「あの~実は今日はお二人に見て頂きたい物があって伺ったんです」

そう言いながら自分がここに来た理由を話し始めると、懐から何かを取り出してアーシュとフローラの前に置いた。



「これなんですが…」

「!!」

二人はそれを見て驚愕し言葉を失った!

「アーシュ!これって《聖霊石》!」

先に言葉を放ったのはフローラだった。

「…やっぱりそうなんですね…」

それを聞いた那由多は何かを確信したのか、そのまま話を続けた。


「那由多…これどうしたの?」

「…実は解らないんです…レディから聞いた話だと

、なんでもあの《強制転移》の後、僕のメディカル・チェックをしようとした時に何故か僕が握り占めていたそうなんです…」

「え、だってその時って赤ちゃんだったし、船内からも出てないんでしょう?」

余りにも不可思議な現象に二人は憶測すら及ばなかった。

「はい…ちなみに母さん達が握らせてもいませんし…そもそも聖霊石の存在自体、当時両親は知らなかったそうなんです」

アーシュとフローラは愕然としたまま聖霊石を見つめた。


それもそのはずである。

この虹色に輝く聖霊石は、この宇宙では二つしか確認されていない。

何故そう断言できるのか?


その理由はアーシュとフローラの体内でしか確認されていないからだ…

もっと詳しく言うならば、アーシュとフローラの体内の《聖霊石》が心臓の変わりになって鼓動し、二人に生命を与えているのだった。

そんな生命体は、この宇宙何処をさがしても現状確認されていない。


余りにも不可思議な事なのだが、そもそも二人はアダム達に保護されるまでこの事実を知るよしもなかったのである。

マ・ザーや伽羅にメディカル・チェックを受けて初めて知ったのであった…

故にこの事実は余りにも人智を越えた事実であるが為に、当事者以外は一部の者しか知らされていないのである。


そんなV.I.P.並の極秘事項に、何故当時赤ん坊でしかも別世界の人間である那由多が絡んでいるのか、二人は検討もつかなかった。


「母さんもお二人と同じ疑問を持ってます…」

那由多は改めて言葉を続けた。

「アーシュさんフローラさん…母さんには了承を貰っています…だからこの聖霊石を貰って頂けませんか?」

「え?」

「これは僕の勘ですが、お二人にこの聖霊石を渡す為に僕はこの世界に転移したんだと思っています」


尚も言葉を続ける那由多…

「《誰》が《何の為》に《どんな思惑》でそうしたのかは僕も知るよしがありませんけど…」

「…うん解った、那由多の提案を受け入れよう…ねぇフローラ、自分も多分それが一番正しいと思うし」

那由多が話を終えた後、暫く思いを巡らせていたアーシュなのだが、思う所があるのか彼の提案を受け入れた。

「ありがとうございます♪」

那由多も安堵しながら改めてアーシュとフローラに聖霊石を渡した。

「じゃ僕はこれで失礼します」

するとそう言って那由多が席を立った瞬間である!


「ちょっと待った!!」

聖霊石をディメンションバッグになおそうとするアーシュの傍らでフローラがいきなり那由多を呼び止めた!

その迫力に那由多は驚いて帰る足を止めて振り返ると…

「那由多ちゃ〜ん♪貴方には他にも聞きたい事があるの♪だからちょ~っと座りなさい♪」

那由多は戸惑いながらも言われるままカウンターの席に座り直した。

「那由多ちゃん♪確かこの間沖田くんと一緒にシルビーの所に行ったわよね~♪」

「はい、三人でダンジョンに入りましたけど…それが何か?」

それを聞いたフローラの目がキラリと光った!


「その時何かあったでしょ~?御姉さんに正直に話してご覧なさい♪」

最近シルビーが乙女チックな変貌を遂げているきっかけが、もしかしてその時かもと推測した彼女の追究だった。

「!!」

すると思い当たる節があったのか、那由多は途端に尋常じゃない汗をかき始めた(笑)

そんなリアクションを見逃さないフローラは、畳み掛ける様に追究の手を休めなかった!


「やっぱりあったんだ〜♪じゃ~そこの所ゆっくり教えて欲しいな~♪那・由・多ちゃん♪」

この手の話題には、年下に対しても容赦ないフローラネェさん(怖)!

那由多…これも大人になる為の試練だと思っておくれ…(笑)

そう思いつつ途中で助けようともしないアーシュなのであった(笑)



そんな追求があっている一方で…


「ミルキーお願い!暫く匿って!」

ここは海王星にある《摩天楼(クリスタル・スクレイパー)》…

そこにある庭園の一つで、新種の薬草の採取をしていたミルキーに詰め寄る我らが《食いしん坊》琴音さん♪


その唇と唇の距離はわずか1cm…

その余りの迫力にタジタジになる我らが《美淑女》は、思わず百合の華でも咲きそうなそんな一コマを描いている♪

すると一緒に採取をしていた女子メンバーは直ぐに物陰に隠れると、ドキドキしながらその後の展開を楽しみにしていた♪

そして全員その光景を食い入る様に見つめながら、イケない妄想を膨らませているのであった(笑)

※そのメンバーの中に前鬼もいるのだが…その周りのリアクションを止める立場の貴女がそっち側には居たらダメでしょうに(´-ω-`)


「ええ…良いですけど先ずは落ち着きましょう?」

ミルキーはたじろぎながらもそんな彼女の頼みを承諾したのだった…



そんでもって所変わって王城の執務室…

アダムとイヴ…そして珍しくマ・ザー(笑)のこの3人は、それこそ珍しく真面目に会議を行っていた♪(イヴとマ・ザーは特に珍しい♪)


「以上がギャラクシー・パトロールから提供された《ノア・アークフォード》に関するデーターよ♪」

「やっぱり面白い人物だわ♪ねぇアダムはどう?」

マ・ザーの報告を聞き改めて感心しているイヴ…


「そうだな…配属以降よくもまぁ〜こんな短期間でこれだけの規律違反や職務違反を犯しているものだ、感心するよ(笑)」

アダムも同じ様に感心していた。

そんな二人を見ながらマ・ザーはニヤリと微笑んだ。

「だ·か·ら·よ(笑)ギャラン長官から見ればこちらの申し出は願ったり叶ったりなの♪」


え〜それは何の事かと言うと…


突然だがここで説明しよう!

※このフレーズ…是非富○敬さんに言って欲しかったな~(T_T)


【ノア・アークフォードの主な職務違反リスト】


・職務遂行の際の制服及び戦闘服(コンバット・スーツ)=全壊298

・宇宙船=全壊4

・その他機動マシン=全壊8

・上司からの命令無視違反=多数

・違法捜査による独房入り=多数

・要人及び犯人への過剰行為=多数

・規律違反による謹慎=多数

・その他服務違反は大小数知れず

まぁ〜以上でかな♪

※ちなみに金額で例えれば米国の軍事予算約57年分に相当したりする(笑)


改めて彼のデータを見てたアダムは…

「これで犯罪検挙率98%か…恐れ入るよ」

「でしょ~♪向こうからしたら厄介払いができて万々歳って訳♪」

マ・ザーは何故かイタズラが成功した子供の様に嬉しそうに話をしている。


「私としてもこんな逸材見過ごす何て勿体ないど思うし~それに開発中の《戦闘服(ウォリアーズ)》の実験体(モルモットでもOK♪)ができて万々歳だし~♪」

あ!悪い顔に変わったぞ!マ・ザー(怖)!


「解った…ではギャラン長官に《ノア・アークフォードの移籍》を正式に申請する事にする!マ・ザー手続きの方は任せる」

「あ!たった今、ギャラン長官から承認の打診が合ったわよ♪♡付きで♪」

マ・ザーの余りの手際のよさに、アダムは目が点になってしまった。

多分はなからそのつもりだったのだろう(笑)


アダムはマ・ザーの手のひらで踊らされた感を感じつつも、別にそれ自体深刻な問題でもない(いつもの事)と気を取り直した。

「では今回の件についての会議を終了する」

以上で一同解散となったのであった。


つまりノアはギャラクシーポリスをクビになったのだ(笑)



では再び舞台を《摩天楼(クリスタル・スクレイパー)》に戻そう…

「成程…それでここに避難したわけね」

客間でお茶出しながら、ミルキーは琴音からノアの鬱陶しさへの愚痴を聞いていた。


「そう!初対面の癖に真顔で《愛してる》って言う軽薄さ!それから顔を合わせる度呪文みたいに《美しい》だの《可憐》だの歯の浮くセリフの大行列!しかもこっちが食事してる時だってお構い無しよ!あーもう!ほんとにもう身体中痒くなるし食事が不味くなるし何とか闇に葬りたいわ!」

ちなみに食事の部分を強調するあたり、そこが重要なんだね琴音…(笑)


こんなに巻くしたてて話す琴音も珍しいと思いミルキーは微笑みながら彼女に尋ねた。

「そんなにひどい男性なの?」

「アイツってば男じゃなくて雄そのものよ雄!スケベで変態で女好きで怠け者で自己中でいい加減でドゥモワーみたいでどうしようもないわ!!」

※オイオイ(汗) 


そんな息切れしながら熱弁する琴音にたじろぎながらミルキーは彼女に質問した。

「でもギャラクシー・ポリスなんでしょ?」

そう彼女に言われ我に返った琴音は、少し冷静になって答えた。

「そうなのよ…正義感はあるみたいだし…まぁ善人だとは思うけど…」

何だかんだ言って、その辺は認めているらしい。


そんな琴音を見てミルキーは微笑みながら答えた。

「解ったわ、とりあえず暫くはここに避難してなさいな♪後の事は…そうね、おいおい考えましょ♪」

「あ〜ありがとう~恩にきるわミルキ~♪」

とにかくこの場を丸く納めたミルキーなのであった。





最後にここ喫茶フルート…

「那由多ちゃん♪それでそこからどうなったの?もっと詳しく御姉さんに教えて♪」

たじろぐ那由多に容赦なくフローラの魔の手が続いていた(笑)

そしてその横には、そろそろ明日の仕込みの準備に取りかかりたいアーシュが、ハリセン片手にフローラの背後に立つ姿が見られたのだった…♡














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