第14話 機械生命体(マシン・ガンナー)それと雪の女王について

ちょっとだけ昔話をしよう。

今はもう《死の星》と化した名も無き星の話を…


とある星系にあったその星は、テクノロジーとはまったく無縁の若い星だった。

《人と魔獣》

《剣と魔法》

《くだらない覇権を求める小競り合い》

そんな歴史が刻まれる、いわゆる良くあるリアルファンタジーの世界が繰り広げられる星だったのだ。


だが、そんな歴史を繰り返すこの星にも予期せぬ転換期が訪れる。

それは突然地表に降り注いだ無数の小さな流星群が原因だった。

その結果もたらされた《生物学的被害(バイオハザード)》…


後にマ・ザー曰く、

「学術的な名称をつけるなら《機械化細胞菌(ナノマシンウィルス)》かしらね」

と、そう呼ばれる様になった。

解り易く言えば、そのウィルスが一旦生物の体内に侵入すると、無条件で身体が《機械生命体》化するのである。


ここからこの星の歴史は、滅亡へのカウント・ダウンを刻む事になるのだ。

何故なら…

人はおろか魔獣さえも機械生命体に変貌を遂げてしまう。

その際急速な知的進化も同時に遂げるのだが、その反面理性が追い付かず、その結果最終的には絶える事無い闘争が続く事となったからだ。


その後永遠とも思えたこの争いも、長い年月の間に一部の種を残し滅亡し、気が付けば星自体が死んでしまったのである…


さて、昔話はここまでだが…


この昔話をした時点でお気づきの読者もいらっしゃると思う。

喫茶フルートの側に根付くもみの木の下で《アオハル》的なドラマを展開している《ゼロ》…

実は彼を含むこの太陽系に住む総ての《機械生命体(マシン・ガンナー)》こそ《その一部の種》なのである。


彼らはかつて、マ・ザーが外宇宙を旅している際に偶然出会い、安住の地を提供する対価にこの太陽系を守ってくれるよう取引したのであった。

その後、この太陽系にやってきた彼らは、ゼロチーム以外 《ディフェンサー》《ファランクス》《ヴァルキリィー》の三部隊に分かれこの太陽系の防衛に当たっているのだ。


因みにゼロチーム(正式部隊名 《フリーダム》は、表向きは《何でも屋》裏ではドゥモワー率いる《スペーザー》のメンバーとして活動しているのだが、

そのなかでもゼロは《スペーザーK》の称号を持っており、日夜 《ドゥモワーの尻拭い》に奮闘しているのであった(笑)


話は変わるが、

「どうなの、何か進展はあった?」

「それがね〜今レディが膝枕してるのよ!」

「まぁ!以外と大胆ねあの娘♪」

「マ・ザー!叫んじゃダメ!」

「良い雰囲気じゃないのかしら♪」

「いいな~うちも今夜しよっと♪」

「ハイ、ハイごちそうさま~(怒)」


え~と順に…

イヴにシルビー、マ・ザーにポトーニャー、ミルキーにフローラそして最後にDr伽羅の会話である♪

あの〜皆さん、出来ればそっと見守ってあげては如何だろうか?


と言うか、見守り隊の数増えてない?!

特にイヴ王妃!政務は?

それに伽羅!診察は?

皆も仕事の途中でしょ?

色々アウトだろ皆!!

思わずそんなツッコミを入れたわたくしナレーターであった…(汗)


※ちなみに最後位コメディタッチで終わりたい作者であった(笑)





それともう一つ…

読者諸君はJがラビーの掃討をしたのは覚えているだろうか?

その二日後の午後…

《ミルキー・ウェンディーネ》が居を構える《海王星(ネプチューン)》…

そこには巨大なシールドで囲まれた多数の庭園が存在し、その中心には少ない太陽光でも美しく輝く居城 《摩天楼(クリスタルスクレイパー)》がそびえ立っていた。


セフィロトに転移した当初、ミルキーはアダムと相談の上この居城に一人で住んでいた。

しかし最近では同じ種族の《鬼族》数十名と共に暮らしている。

Jが転移者や転生者のリスト使って探してくれたり他の星を尋ねた際に探しだしてくれたお陰だ。


ちなみに…

「暇だったし、只の気まぐれでやっただけさ♪」

そう言って彼は照れていた。


「姫様♪Jが帰られてお寂しいですか?」

ミルキーは数ある庭園の中でも一番のお気に入りの場所で一人お茶をしていた。

「あら《前鬼》やっぱりそう見えますか?」

おかわり用の紅茶を持参したメイド長に図星をさされた彼女は正直にそう答えた。


「誰が見ても一目瞭然ですよ(笑)♪」

自分の主を少しでも慰めようと、彼女は普段言わない様な軽口で答えた。

「あのね…はしゃぎ過ぎちゃうのよ…Jが来ると」

微笑みながそう答えるミルキーなのだが、直ぐに沈んでうつむいてしまった。

そんな彼女を見て前鬼は返す言葉を失った。


すると、

「今から言う事は内緒よ…前鬼…」

そう言われた前鬼はうつむいたままのミルキーに向かって黙って頷いた。


「彼…Jは別れた旦那様に似ているの…」

ミルキーはそのまま話を紡いだ。

「見た目は全然違うのよ…けど…何気ない仕草とか笑った時の感じとか、ふと見るととても良く似ているの…」

「姫…様…」

前鬼は、ミルキーに気のきいた言葉をかける事ができなかった。

前鬼は彼女の別れた夫とは面識がない。


只、別れた経緯は本人から聞いていた。

ミルキーが前世で《雪女》とか《氷姫》と呼ばれ里の住人から恐れられていた頃、狩人だった青年に恋をした事を…


ある日青年に一目惚れした彼女は季節が変わろうとも故郷帰らず、そっと影から彼を見守り想いを寄せていた…

それで彼女は良かったのだ。


《妖と人とが結ばれる》それは一族の中では《禁忌》だときつく戒められていたから…

だがある吹雪の日、雪山で遭難し凍死寸前の彼を見て、彼女は一族の禁忌を犯してしまった。

青年を死なせたくないばかりに彼と肌を合わせてしまったのだ。


《もう後には戻れない》と覚悟を決めた彼女は自分の素性を隠し、嘘をついて彼の所へ半ば強引に嫁いでいった。

その後貧乏で子供にこそ恵まれなかったが、それでも毎日幸せな日々を送っていた。


だが…それも数十年で終わりを告げる。

彼女は後にそれを《私が犯した罪の報い》と言っていた。

その罪…それは《人と妖の時間の流れの違い》に気付かなかった事である。


最初は里の者達は何も気にはしていなかった。

だが10年…20年と時が経っても変わらない若さの彼女に対して、いつしか里の者達はある疑問を持ち噂をするようになっていた。

「あれは…もしや人ではないのではないか」と…

そんな陰口を知った彼女は、自分のせいで夫に害が及ぶのを恐れ、黙って夫の元から去っていったのだった…


「別の殿方に別れた夫の面影を重ねるなんて…それがどんなに最低な事かだなんて解ってはいるわ…でも…」

更にうつむくミルキーに向かって、前鬼は優しく話しかけた。

「姫様…安心なさって下さい」

「姫様だけではありません…J様にも私達にだってありますよ…迂闊に語れない思い出の一つ位は…でもいつかは笑って話せるようになりますから…ほらだって時間はいくらでもありますから♪」

そう言いながら満面の笑顔を見せる前鬼。

「だから暫くは二人だけの秘密にしましょう…ね、姫様♪」

「ありがとう…前鬼、大好きよ♪」


ミルキーは、顔をあげ前鬼に向かって精一杯元気に微笑んでお礼を言った。

「私達はずっと姫様が大好きですよ♪」

そう言って前鬼は、少し冷めたかもしれない紅茶をあえてカップに注ぐのだった。




こんなにいい雰囲気なのだが…

数時間後、レディとゼロの恋模様を知ったミルキーは、あり得ない早さで喫茶フルートへ向かう為ゲートに足を運ぶのであった(笑)


勿論覗きをする為に(笑)♪









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