第13話 対象的な日常♪

突然なのだがちょっとだけ補足をしたいと思う…



この世界の地球には、転生者や転移者が数多く暮らしている。

というか、そういった者しか暮らしてはいない。


だが総ての住人が巷でよく耳にするようなユニークで特殊な力やチートなスキル・属性を持っている訳では無い。

長命である事以外は、普通に仕事をして暮らし、家庭を持ち、ゆっくりと…本当にゆっくりと老いを重ね死んで行くのだ。


只、二つだけ特異な事がある。

まず一つは出生率が限りなく0%な事だ。

この件に関しては、マ・ザー他幾多の有識者が考察するのだか、どうしても憶測の域を越えるだけの立証を得られずにいる。


もう一つは、外宇宙からの脅威以外に《アビス(深淵の狭間)》と呼ばれる次元や時空の歪みから時折、悪しき《魔祖(歪みの使徒)》やモンスター達が現れる事だ。

これについても憶測だが、多分この世界に数多くの転生者や転移者現れる為、何らかの《綻び》が偶然生まれているのではないかと言われている。

只これも、憶測の域を越えるだけの立証は得られていない。

そんな実情がこの地球にはあるのだった。


以上…

では本編を進めるとしよう。




本日の喫茶フルートは急遽一時間程の貸し切り状態になってしまった。

原因は店内を見れば一目瞭然満席だからである。

但し、お客様は何時ものメンバーではなく人外ばかりなのだが(笑)

「アーシュごめんね~皆がさ《たまにはここでくつろがせろ!》って言って聞かなくてね〜♪」

ポトニャーが罰が悪そうに謝ってきた。

「ポトニャーよ我らとて時にはここでくつろぎたいのだよ」

「ガウ(その通り)♪」

「まったくよ〜こんな美味しいものがあるなら早く教えて欲しいものだわ♪」

「ピルルル~~(これおいしい〜)♪」

「しかもこんな美味しそうな殿方を隠してるんだから〜ずるいわよ♪」

オイオイ、一部不穏なセリフが見受けられるぞ!


まぁ〜いいか…

では順番に御紹介しようかな♪

まずは〜

《魔界の公爵アスタロト公》に

《神獣フェンリルのアラウ》

《妖蛇ラミアのサラサ》

《魔獣ハーピーのメリット》

《淫鬼サキュバスのシエラ》である。

※セリフ順での紹介で〜す♪


他にも店内にはポトニャーの《友人》達が大勢の押し掛けて各々くつろいでいたのであった。


「気にしないでポトニャー♪皆の言い分も最もだよ~♡」

そう言うフローラは、フェンリルのモフモフ尻尾をスリスリしている。

どうやらそれで懐柔されてしまったらしい(笑)


「モンスター退治のあとなんでしょ?ゆっくりしていきなよ」

そう言いながらアーシュは改めて《獣魔師(フル・テイマー)》であるポトニャーの能力に感心していた。

「ん、どうしたん?アーシュ?」

そんな彼の感心する姿を見て疑問に思ったポトニャーは、紅茶を飲む手を止め質問する。

「いや改めてポトニャーの友達の多さに感心してたんだよ♪」

そんな答えが返ってきた事に彼女は嬉しそうに微笑えんでいた。


え〜ここで語弊が無い様にしておこう。

ポトニャーは決して彼らを使役したりその能力で契約している訳ではない。

(勿論アスタロト公との繋がりは使役や契約等とは違う)


あくまでも《獣魔契約=よかったら友達ならない》とお願いしているだけなのである。

彼らは彼らで魔祖やモンスターの討伐は、あくまでも友達の所に遊びに来たついでに《仕事の手伝い》をしただけの事なのだ。


「所でアーシュ、すまないがこの紅茶の茶葉を少し分けて頂けないかな?《ルシファー》にも飲ませてやりたい」

「了解♪帰りまでに用意しますね」

旧知であるアスタロトの申し出に快く応じたアーシュは、早速ミルキーに貰った紅茶の茶葉を密封容器に入れ用意するのだった。


そんなこんなで色々な種族が大勢でくつろぐ今日の喫茶フルートは、穏やかな陽射しの中でほんわかとした時間が過ぎて行くのであった。


ん?ちょっとまった…

店の隅っこで灰になりかけてる御方がいるんですけど…

誰?

トマトジュースのグラスを握りしめているあの黒マントの青白い顔をした紳士は?

( 」゜Д゜)」オーイ!ポトニャー!!




そして一時間後…

「じゃアーシュ、また来るね♪」

灰になった友達を綺麗に麻袋に積め、上機嫌で帰って行ったポトニャーと入れ違いに、今度は琴音が店に訪れた。


…のだが…

なんだか何時もと雰囲気が違っている。

フローラもその事を感じとったのか、カウンター席に座った琴音におしぼりとお冷やを出しながら声をかけてみた。


「琴音…何かあったの?」

「あ、いや…大したことじゃ……ううん、やっぱり大事な事だわ!」

不意に話しかけられ油断したのか、最初は誤魔化そうとした彼女だが途中で考えを改めた。


「実は朝から凄く悩んでいる事があってさ…アーシュ、フローラ…よかったら相談にのってくれる?」

彼女は思いあぐねた様子だったが、思い切って二人に悩みを打ち明ける決意を固めたらしい。


《ゴクリ…》

琴音のただならぬ様子を感じたアーシュとフローラは、息を飲み告白を待った。


すると…

「実は…お昼 《カツカレー》と《チキンカレー》どちらを食べるか朝から悩みまくってるの!」

真剣な眼差しでそう訴える琴音に、アーシュやフローラはおろか、ナレーターや作者までもが思考停止してしまった!


暫く空白の静けさがBGMの様に流れていく…

その後…

琴音以外の出演者が、全員思いっきりコケた!

それはもう盛大にだ!!

※作者なんかコケた拍子に机の角に小指をぶつけて悶絶したよ!


「アレ、どうしたの?」

…どうしたもこうしたもないでしょう琴音さん…

変な汗をかく全員が思う所は一緒である。

そんななか立ち直りが早いアーシュは、彼女に素敵な提案をした。


「じゃ、じゃ~琴音さん、両方オーダーする?」

流石アーシュ!商売上手である(笑)

それを聞いた彼女は、悟りを開いたかの様に眼を輝かせてアーシュに詰め寄った。

「考えもしなかったわ!それでお願い♪」

途端に舞い上がってはしゃぐ琴音(笑)


そんな彼女のリアクションを見て…

『『今日も平和だな~』』

と、つくづく感じる出演者達なのであった(笑)





一方セフィロトにあるギルドでは…

「ド、Dr伽羅…今日はいかがされたんですか?」

恐る恐る彼女に質問するマーズ。

何故か彼は既に執務室の隅まで追い詰められていた(笑)

ちなみに周りの職員は《諦めて下さい》と言わんばかりに、見てないフリをしながら通常業務に勤しんでいる(汗)


「ウフ♪ねぇ〜マーズ、何でも〜最近ここの近所に《素敵なお店》が出来たらしいじゃない♪ちょっと道案内して欲しな~♪」

《素敵なお店》とは、勿論例の《ランジェリーショップ·エマニエル》である♪

まあ〜さしずめ情報元はイヴ王妃だろう(笑)


「ざ、残念ですが今は職…」

「皆さ〜ん♪ちょ~っと領主様をお借りしてもよろしいかしら〜?」

執務室の職員全員無言で『どうぞ』のリアクション…

まるで女王様に生け贄を捧げるかの様だ(笑)


「決まり〜♪じゃ早速いきましょう♪」

結果、職員に裏切られ魂が抜けた哀れな大鬼は引きずられる様に執務室を後にしたのだった(笑)


そして、もう一箇所…

「ドゥモワー、勿論覚悟はできているわよね♪」

ドゥモワーに対して、これでもかという位菩薩の様な微笑みかけているロマ…

その微笑みに彼は命の危険を感じ怯えていた。

「な、なんの事かな?」

…ドゥモワー駄目だってそのリアクション…


「あら?だって私の《ランジェリー》を全部入れ替えたのは貴方でしょ?」

ロマ最大級の微笑みが続く(笑)

そう…実はドゥモワーは、己の煩悩と私利私欲の為に、例の《エマニエル》で購入したランジェリーと既存のランジェリーを総て入れ換えたのだった!


その煩悩と私利私欲の中身はいたって単純だ。

『下着がなければこれを着るしかない♪」とお馬鹿な理由である(笑)

「こ、これには理由があ…」

「あっても聞く訳無いでしょうが!!」

既にドゥモワー逃亡防止用の多重結界(作:マ・ザー)を張っているロマは、遠慮無くフル・パワーのお仕置きを施すのであった(笑)

「アンギャーーー!!!」


と言う事で〜

皆さん宜しければご一緒にご唱和下さいませ♪


……合掌……




※恐るべしランジェリーショップ《エマニエル》!

何気にかなり繁盛してるのかもしれない(笑)♪












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