第11話 機械娘は恋をする♪そして女医はよからぬ事を考える(笑)

「アーシュ様、フローラ様聞いて頂けますやろか…うちこんなん初めてで…もうどうしたらいいかわからしませんの!」


え〜読者の皆々様、突然何事かと思うでしょうが…

でも解る人には解るはず(笑)

このなぜか京都弁の《有機生命体=メカジョ》…

ご存知マ·ザーをマスターに持つ可哀想な従者レディである。

彼女は真剣な面持ち(実際人が作り出す様な複雑な表情は出せないのだが)で、アイドルタイムの喫茶フルートに飛び込んで来たのだった。


※このいきなり始まる的なオープニングパターンも有だな(作者談)♪


「レディ、ちょっと椅子に座って落ち着つこうか」

まだまだアーシュ達とコミュニケーションが少ない彼女。

そのせいか突然の来店に戸惑う二人だったが、それに気づいたレディはハッとして我にかえっていた。

「あらやだ!うちとしたことが申し訳おまへん…ほな座らせてもらいます」

慌ててカウンター席に座り深呼吸に似た溜息を漏らしたレディは、意を決した様に口を開いた。


「うち…恋をしたみたいなんどす…」

と…

いきなりはにかみながら彼女はそう呟いたのだ!

その瞬間何の脈絡もなく、ましてや誰も呼んでいないのにも関わらず、例の誰かさんが音も無く顔を出してきた!

「もしかしてゼロにかな?」


「「「!!どこから沸いたのマ・ザー!!」」」

咄嗟に皆で同時にツッコミを入れたのだが…

…え?皆…?

あの~ポトニャーさんにシルビーさん、いつ店に来たのかな?


「アーシュも皆も細かい事は気にしないの♪」

マ·ザーってば気にするって…

そしてここから女子会と言う名の井戸端会議が始まるのを感じたアーシュは、黙ってお茶の用意をするのであった(笑)


「うち、初めてゼロ様にお会いした時、突然 《心臓(コア)》が熱なってまいましてな…」

(うん、うんそれで♪※一同)


「こんなん初めてやさかい、故障や思うてマスターにチェックを頼んだんどす」

(フム、フムそしたら♪※一同)


「どこも異常は見つからなかったのよ」

「マ・ザー!横から口を挟まない!」

ナイスなツッコミだシルビー♪


「でも…熱なんたんは確かなんどす!それで悩んでましたらイヴ様が…」

ごくり……

ポトーニャーよ、なぜそこで息を飲む?


「《レディ、それはね《恋》と言うものよ♡》

両肩を掴んでそう言わはったんどす!」

(ほう、ほう、それから♪※一同)


「それで…この国一番のイチャイチャ夫婦(バカップルでも正解♪)と評判のアーシュ様達にアドバイスして貰おうと思うた次第なんどす」

(誰だ、そんな噂ながしたの!=アーシュ談)

※注:勿論イヴを含むご婦人方達だよ♪。


「どうでっしゃろ!うち…どうすれば…(涙)」

女性陣、なぜか全員もらい泣きしながらアーシュを見つめた(笑)

でも…もしもしフローラさん、貴女もなぜ泣きながらダンナさんを見つめてるの?


その威圧感に思わず半歩下がったアーシュは、話の矛先を変えようとマ・ザーに質問した。

「ちなみにマ・ザー、そんな複雑な感情もデータ化できるの?」

「グスン(T^T)私って天才だから♪」

答えになってないって…


もらい泣きしながらもささやかな胸を張って自慢してるマ·ザーのセリフで納得して良いのか悪いのか疑問だか…

まぁ〜確かに相手のゼロは《機械生命体》だから感情はある。

レディ自身もあのマ・ザーが産み出した《有機生命体》…

だから、限りなく人と同じ感情が産まれてもおかしくはない。


ないけどさ〜

「とりあえず、勇気を出して《ご趣味》だけはお聞きしたんどすが…」

凄いよその行動力(驚)

流石恋する乙女!


「え〜と、それでゼロはなんて言ってたのかな?」

「え!そんな彼だなんて♪」

言ってないって…

おっと、だんだん会話が変になってきたぞレディさん。

「あの、あの、その、彼…ご趣味は《お昼寝》だそうどす(照)♪」

ゼロ…君ももしかして免疫がないのかな?

なんだろう…

この『アオハル』的な展開は…?

※作者は身体中かゆくなっている。


「だったら散歩とかピクニックとかに誘ってみたらどうかなレディ?穏やかな日差しの中で《木陰でお昼寝》とかいいかも」

「あ、それいいかも♪案外二人の距離が縮まるかもね♪」

フローラ♪ナイスフォロー!

「それ!それどす!!」

勢いよく立ち上がったレディは、アーシュにお礼を言うと足早に店を後にした。

つまり嵐は、去っていったのだ(笑)


そんなレディの姿を見たマ·ザーは、

「あ~あ、こんなんじゃ子供なんて夢のまた夢だわね」

え、なんですと?子供?

マ・ザーの何気ない一言にここにいる全員が《?》となった。


「子供!!って可能なの!嘘でしょう!!」

ポトーニャーよ、その驚きと疑問は正しい(笑)

「フフ~ン♪私を誰だと思ってるの♪宇宙一の天………ウォっと?」

ここにいる全員がマ·ザーに詰め寄った!


「そんな事はどうでもいいの!子供の件、詳しく聞かせて貰いましょうか!」

シルビーはマ・ザーの口を塞ぎ本題に入らせた。

さぁ〜18歳未満お断りのアダルティーな二次会に突入である(´-ω-`)。

(こうなると長いぞ~♪)

アーシュは心の中でそう思い、再びお茶の準備を始めるのであった…


因みに、フローラよ

なぜ話の輪にいるの?

仕事しようよ…




さて、そんな盛り上がりがあった次の日の事である。


「よう、お二人さん!元気にしてたかい?」

「あら、《J(ジェイ)》じゃない♪ドゥモワーと一緒に帰ってたんだ」

円卓会議から数日たったある日の午後、フローラから《J(ジェイ)》と呼ばれたこのちょっと影のある男性は、いつもの優しい微笑みを二人に投げ掛けながら喫茶店に入ってきた。


「いや、昨日までミルキーの所でやっかいになってたよ」

それを聞いたアーシュは、ちょっとビックリして聞き返した。

「え、ミルキーの所で?」

「ちょっと野暮用ができてね(笑)途中でドゥモワーと別行動になってたんだ」

Jは笑いながらカウンターに座ると、いつもの濃い目のコーヒーをフローラに注文していた。


「もしかしていつものやつ?今回は早い時期に出たね」

アーシュは注文されたコーヒーをカウンター越しに出しながら尋ねた。


「まぁ~な、しかも前回よりも数が多かったよ」

ご苦労様と労いの言葉をかけながら、アーシュとJはたわいもない話に華を咲かせていったのだった。




所で二人が話していた《いつものやつ》…

実はミルキーが居を構える海王星には、周期的に《氷角兎(ラビー)》と呼ばれるモンスターが突如大量に発生するのだ。


この額に角を持つラビー…

繁殖力が非常に高く好戦的で、しかも主食が鉱石類である為、放置すると地表に多大な悪影響を与えるのでJが定期的に駆除を依頼されているのである。


因みに何故Jなのか?

それはこのラビー、魔法耐性が強く《物理的攻撃》以外の方法ではなかなか駆除できないからである。




そのJの事なのだが…

《J(ジェイ)》は転生者である。

勿論本名ではない。

前世で《傭兵》を生業にしていた頃のコード・ネームだ。

本名は《南雲凌馬(なぐもりょうま)》

国籍が日本だった為、周りから《J(ジェイ)》呼ばれていたらしい。

只その事を知っているのは、彼の転生前の仲間とアダムやイヴだけである。


彼の所属していたチームが《C国の麻薬工場壊滅及び首謀者の捕獲》のミッション中、仲間の裏切りによりその任務を失敗。

次々と仲間を失いながらの撤退中、生き残った仲間を逃がす為、彼自身が囮になり死亡した。


筈だったのだが…

目覚めた時には《影法師(シャドー・マスター)》のスキルと前世の姿、記憶・能力を残したまま人属として転生していたのであった。


それ故に前世において銃火器の扱いやサバイバル術に長けていた彼の能力が、物理的攻撃以外通じないラビーにとって効果的な為、いつもミルキーに指名依頼され、それを受けていたのである。

※ん〜本当にそれだけなのかいな?と作者は勘ぐってしまう今日この頃(笑)


ま、いいか♪


「じゃあミルキーも大量に薬の素材や毛皮が手に入って喜んでるんだろうね♪」

アーシュの言う通り、実はラビーの角は回復薬の素材になるのだった。


すると…

「あ、しまった!彼女に頼まれてたんだった!!」

「ど、どうしたの?」

フローラはビックリしてJに尋ねると、

「ヤバい、これ伽羅に渡すの忘れてた…」

懐からみたこともないドリンク瓶が二本…

何でも伽羅がミルキーに依頼していたものらしい。

でもそれってもしかしなくても、ろくでもないものだろうという事を二人は瞬時に察した!


「伽羅ならまだ診察中だろから、今ならまだ間に合うと思うよ」

「そうだな…ちょっと行ってくる!」

慌てて足早にその場を去るJを見送りながら、心の中で二人は思った…

『『多分…伽羅の事だし、精○剤か媚○あたりだろう…マーズ…がんば!』』


哀れる想いで、二人はギルドがある方向に手を合わせたのだった……




ちなみに…

いつの間にかフローラの手の中にもその瓶が一本握られている事はアーシュにはナイショである♡


















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