第10話 宇宙一の最強魔導士と会議の結末

ある日の昼下がり…

「いらっしゃいま…♪」

とフローラが言い終わる前に、なんの前触れもなく思いっきり喫茶店のドアが勢い良く開いた。

というかドアもろとも付近の壁が根こそぎ壊されてしまった!



「(;´Д`)ハァハァ…………!」

壊したドアのノブを握りしめたまま《機械生命体(マシンガンナー)であるゼロが、店内に飛び込んできた。

「ゼロ!レッド・カード!」

あの~フローラさん…

開口一番ツッコム所はそこじゃ無いと思う(汗)


「どうしたのゼロ?」

アーシュはそんなフローラのリアクションに呆れながら彼に質問した。

その尋常じゃない慌てぶりに食事をしてた琴音達も思わず箸を止めて振り返っている。


「帰ってくるんです…」

ゼロは背中に絶望のオーラをまといながら叫んだ。

「あの《ドゥモワー》が一年ぶりに帰ってくるんです!!」

「「!!」」

それを聞いた途端、アーシュ夫妻以外その場に入る他のメンバーは青ざめて絶句したのだった!


「だから最近 《ロマ》が朝からストレッチなんかやってたんだ…」

「そういえば私もギルドの鍛錬場で見かけたわ…」

ポトニャーや琴音のそのセリフがこの報告の重大さを物語っている。

おそらくこれからエキサイティングな日常が始めるのだろう…


…楽しみである…♪♪





一方場面は変わってロムトレート王国。

アダムは執務室で通常業務を急いで終わらせ、待ち人が姿を現すのを待ちわびていたのだった。

するとほどなくして遠くから高らかな靴音が鳴り響いてくると、それは次第に執務室に近づいてきた。


すると…

バタン!!

ノックもないまま勢い良くドアが開いた!

そこにはいかにも横暴そうで態度がデカく、そして不適な笑みを見せる長身の美形マッチョが、アダムを前にして仁王立ちしていたのだった!

「おかえりドゥモワー♪貴方の高笑いが聞けなくて寂しかったですよ(笑)」

珍しく皮肉に聞こえそうなそんな言葉をアダムは口にしていた。

「そう思って帰って来てやったぜ〜アダム♪」

【戦友(とも)遠方より帰還】

対峙する二人の間には、そんな空気が流れていたのだった。


それから数時間後…

いつの間にかドアを含む玄関周りの修復が済んだ《喫茶フルート》は、コカトリスが首を絞められたような静けさのなかで営業していた(笑)

当然店内にはお客様は誰もいなかった。


「皆、早々と帰っちゃったね(涙)」

「そうだね」

理由がはっきりしている二人は、ため息だけしか出てこない…


すると…

「おう!久しぶりだなアーシュにフローラ♪」

「ドゥモワー♪」

勢い良く開いた店のドアからは、さっきまでアダムと会っていた筈のドゥモワーが現れたのだ!


彼はニヤリと悪党チックな笑みを浮かべながら店内に入ると、おもむろにカウンターに座り、ふんぞり返りながらおしぼりで顔を拭き始めた。

※どこの中年オヤジだよ!


「ヤッパここに来ると《帰って来た〜》って感じがするな〜アーシュ♪あ、いつもの《Dコーヒー》な♪」

そんなセリフを言うドゥモワー…

悪党顔だが何処か憎め無い表情をする。


すると横から、

「今日は私がいれてあげるわよ♪」

と、フローラが気さくに話しかけてきた。

「お〜じゃ〜頼むぜフローラ♪」

そうオーダーされたフローラは、いつもの《二倍濃縮ドゥモワー専用コーヒー》を入れ始めた。

※だから《D(ドゥモワー)コーヒー》なんだ♪


久しぶりだからなのか、上機嫌のドゥモワーは店内に香りたつコーヒーに安堵感を感じ始めた…


そんな彼…

《ドゥモワー・ディー・イース(通称:D·D)》は、自他共認められる《宇宙一の天才大魔道士》である。

※なんでもそう言わないといじけるらしい(笑)

でもどっかで聞いた事あるフレーズなんだよな〜

作者の気のせいかな?


世間では…

《ド助平、変態、短気、凶悪、傲慢、暴力魔、傍若無人、自己中、自意識過剰、気まぐれ、行き当たりばったり、学習能力が無い》等々、または《俺様系で自己中でいい加減で怠け者でお調子者で女好きで淫乱で浮気者で我が儘でおバカで直ぐムキになる単細胞》等々、およそ人として残念な例え方される人格者である(笑)


だが

何故か憎めないのは確かだ。

その訳は…

それはまぁ〜いずれ解ると思う♪


そんなドゥモワーは転移者である。

というかアダムとイヴが旅の途中で立ち寄った別次元で彼と出会い、意気投合してこちらの世界へスカウトしたのだった。


「ドゥモワー、ロマの所にはまだ顔出してないの?お土産楽しみにしてたわよ」

「あ〜ちょっと先に伝言を頼まれてな(笑)それよりもアーシュ、ちょっといいか?」

フローラからコーヒーを渡されたドゥモワーは、神妙な顔でアーシュに話しかけた。

「アダムから伝言だ…明日の《円卓会議を行う》に出て欲しいそうだ」

「顔…出さなきゃダメなんだ…」

「あー今回は野暮用らしいぜ」

それを聞いてちょっと困った顔になるアーシュ…

フローラはフローラでまたまた明日の休日を潰されて般若顔になっていたのだった…(怖)






そして翌日…

円卓会議が始まる前にちょっと補足したいのだが…


ここロムトレート王国には正規軍の他に《ガーディアン》と呼ばれる王直属の16名の特別な騎士と《ジョーカー》と呼ばれる2名の非合法な騎士が存在している。

ただし《ガーディアン》については、常に16名の騎士が在籍している訳ではない。

いまだ欠番が存在しているのだ。

そしてその騎士の任命については《円卓会議》において、国王を除く四組のガーディアングループのリーダーとジョーカー1名以上の承認が必須となっている。


そして本日…

その任命についての《円卓会議》が王城にて開かれるのであった。

※どうでもいいけど最近シリアスなストーリーが多くてうんざりしている作者だよ〜ん♪


「アダム皆集まったわよ~」

モニター越しにマ・ザーから報告があったアダムは、執務室を出ると円卓へと向かった。

暫く王宮内を歩くと、衛兵もいないドアの前で立ち止まった。

するとアダムは一呼吸置いて、その扉を開いた。

するとそこには各々正装した5名の人物と巨大スクリーンに映し出されたマ・ザーがアダムを出迎えたのだ。


【ガーディアン・ナイト】

《スペーザーA》:ドゥモワー・ディー・イース

《ダイヤリーA》:ポトニャー・テロン

《ハーツA》:ミルキー・ウェンディーネ

《クロハA》:マーズ・ダイン

そして…

【ジョーカー・ナイト】

《ロード》:アンシャード・レミュートン

各自名乗りを挙げると、最後のアーシュの宣誓の後、ゆっくりと着席した。


もうお解りだろう…

彼ら彼女らこそが王直属の騎士なのであった!


「始める前にアーシュ、非常時とはいえ今回召集に応じてくれて礼を言う」

「いえ…今回はマ・ザーが立場上、口をはさめないですし私達とアダムとの約束を違える訳にもいけませんので」

「うむ…では只今より《任命協議》にうつる!ドゥモワー卿」

「おう!今回 《ガーディアン・ナイト》候補に上がっているのは《カムイ·那由多》ってガキだ♪この中にも既に見知っている奴もいるだろうが、マ・ザーの《実子》にあたるって訳だ」

「あ〜だから珍しくマ・ザーじゃなくてアーシュが会議に参加してるんだ」

事情を知らないポトニャーは《成る程》といった表情で納得していた。

「そうですね、流石に血縁者が関わるこの会議に参加できませんですものね♪」

ミルキーも相づちをうって納得している。

「まぁ〜今回ばかりは皆ごめんね♪特にアーシュはごめんね m(_ _)m」

珍しく頭を下げるマ・ザーの姿を見て、一同は明日の天気を心配していた(笑)



余談なのだが、アダム夫妻やマ・ザー、アーシュ夫妻の間には一つの盟約がある…が、その事については、いずれの機会にでもお話しようと思う。


「まだ年齢も16何だが、マ・ザーが製作した《可変型駆動マシン》とか言うやつのメイン・パイロットだそうだ♪因みにそいつは息子以外の認証を受け付けないらしいぜ」

「へ〜つまり《プライベート・マシン》って訳だな」

マーズはあのマ・ザー作のマシンである事にその脅威の程を感じていた。

「しかもだ!当の本人なんだがな、マ・ザーの様な規格外の才能は受け継いでるが、不味い所は受け継いでねえ♪しかも《身体能力(ポテンシャル)》も高いときていやがる」

つまり天才肌で性格も悪くない…(笑)

まるで天使ような人格者という事である♪


「「おーー♪♪」」

皆一同に喜んでいる所を見ると、普段のマ・ザーの《おこない》がいかに酷いか垣間見えるというものだ。


「失礼ね~あんたたち!後で覚悟しなさいよ!」

不貞腐れるマ・ザー…

しかし!

「マ・ザー、発言は慎んで下さい」

アダムがすぐさま釘を指した。

こんなシーン滅多に無いって(笑)

「ま、そんな理由でこいつをガーディアンにぶちこもうと思うんだがな…どうだ?異論があるなら出してくれねぇか?」


「はい、異論じゃないですけど発言してもいいてすか?」

ドゥモワーの言葉にアーシュが挙手をした。

「どうしましたアーシュ?」

「つまりこういう事でしょ…外部から見れば色んな意味で《たった一機》でも存在自体が脅威にもなりかねないって事ですよね?」

「そういうこった♪ある意味アーシュ…おめぇと同類かもな(笑)」

ん、例えが訳解め?

でもそれを聞いた他のメンバーは、深く何度も頷いて納得していた。

アーシュにとっては失礼な話である…


「では異論がなければ、正式にガーディアンとして《カムイ・那由多》を迎えたいと思うのだが皆良いな」

苦笑しながら確認をするアダム。

満場一致で可決したと認識したマ・ザーは、飛び上がって喜び皆に礼を言った。


「皆ありがとう~母親として嬉しいわ~♪」

処で念の為に確認するけど配属先はもう決まってるの?」

すると突然ドゥモワーがニヤニヤし始めると…

「勿論うちのスペーザーで引き取るに決まってんだろ~♪た~ぷり鍛えてやるぜ~マ·ザー♪」

「ア”ー嘘でしょ?勘弁してよ~(涙)!」

マ・ザーは喜びから一転、絶望の嘆きをあげた!


「お願いだからあんたみたいにならないようにしてよね~(涙)」

「マ·ザー♪宣言してやるぜ、その保証はねーってな(笑)!」

アダムを含めその場に入る全員そんな掛け合いを笑いながら見届けていた。

そして…

「では、これにて会議は終了する!皆ご苦労だった♪」

その後アダムのその言葉で今回の《円卓会議》は無事終わったのであった♪





数日後…

ドゥモワーの色んな意味での過酷な教育にも惑わされず、スクスクとマトモな人格の騎士に育つ那由多と、柱の影からその光景をハンカチを噛み締めながら見守るマ·ザーの姿が、暫く王宮の名物になったのは言うまでもないのであった……(笑)










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る