第9話 笑劇的な事実と茶番♪

笑劇の前回から更に16時間後、無事発掘された機体は京都弁を話す謎の女性?と共に、今は《火星(マーズ)》にある交易基地 《テラ・フォーム》のシークレット・ドックに運ばれチェックを受けていた。

そのチェックの際、内部に生命反応が確認された為琴音は直ぐに上層部に報告をあげたのであった。

※オー!いつになく真面目な展開だ~!


その報告から30分後…

アダムとイヴ、琴音、そしてアーシュに襟首を捕まれ猫の様にぶら下がりながら連れてこられたマ・ザーと折角の休みを潰されて般若顔になったフローラが王室の執務室に集まっていた。


「さてマ・ザー…きっちり説明してもらおうか?」

アダムの真剣な問いかけに、腕を組んでうつ向いていたマ・ザーは、神妙な面持ちで顔をあげ話始めた。

「ん〜実はね、あれはさ…」

この場にいる面々は、珍しく真面目な顔をした彼女の表情を見て、固唾をのんで次の言葉を待った。

「うちの子の《ベビー・ベッド》なの♪テヘ♪♪」

あっけらかんとした告白に全員頭が?になり真っ白になってしまった(笑)!


その後長~~い沈黙の後…

「はぁ~~~~~!?」

ここにいる全員でっかい疑問符が頭の上に浮かんで泳いでいた!

※そりゃそうだ(笑)


「だ・か・らベビー・ベッド♪私の赤ちゃんの為の♪」

流石に全員どこから突っ込みを入れて良いか解らず、いまだ言葉を失っている。


「私この世界に来る前の世界で大恋愛しちゃって〜♪結婚しちゃったんたけど~♪暫くして凄く原始的なんだけど~♪妊娠出産したの~♪」

…なんなんだ?

このノロケに近いこの間延びしたセリフは?


その時である!

「マ・ザー!!」

いきなりマ・ザーにフローラが詰め寄った!

そして!

「産むとき痛かった!?」

あの〜フローラさん…

ここで聞くのはそこじゃないと思う。


「じゃ無かった!マ・ザーてばミルキーと同じバツイチなの!?」

いやいやそこでも無いってば…(汗)


本当に場違いな質問ばかりするフローラを強引にマ・ザーから引き離したアーシュは、改めて彼女に質問した。

「あのね、もう少し解りやすく説明してくれる?」

※偉いぞアーシュ皆もそう思ってる!


「あれ解んない?じゃ〜こっちに来てくれる《レディ》」

マ·ザーがそう呼びかけると、例のアノ《女性》が突然皆の前に現れた。

「お呼びでしょうか?マスター」


※ここで今回は特別にマ・ザーに彼女を紹介していただこうかな(笑)

「え〜彼女の名前は《レディ》♪あの機体…可変型駆動マシン《マリオネット》のサブ・パイロット兼息子の乳母として産み出した《有機生命体(バイオニック・ドール)》なの♪」

「お初にお目にかかります〜~」


…ゴホン!まぁ〜あえて言わせで頂こう…

なぜ京都弁!?

なぜマ・ザーと話す時だけ標準語なの!?


そんなナレーターの疑問を無視しながら…

「でね〜出来ちゃた婚だったから《那由多》…あ!赤ちゃんの名前なんだけどね♪那由多が生まれた後、折角だからレディ同伴で家族で遅めの新婚旅行に出掛けたの〜あの機体で♪」

フムフムそれで?


「だけど途中で……」

途中で?


「この子とはぐれちゃったのよ♪いや〜まいったわ(笑)」

は~あ~!?


そこにすかさずレディがフォローに入った!

「あの〜誤解せんといて下さい…たまたま旅行先の星で凡(ぼん)をうちに預けて、お出掛けなられたんどす。」

フムフムそれからどした?


「暫くして凡が急に泣き出されましてな、その時機体が緊急事態と勘違いして、別次元へ強制転移したんどす!」

「流石は私が作った機体だわ♪セキュリティも完璧♪」

自慢げに無い胸を張るマ・ザー(笑)


「もしかしてだけど…完璧過ぎて見失ったのマ・ザー?」

まさかと思いアーシュが尋ねる。


だが予想通り…

「大当たり~♪」

一同、開いた口が塞がらないとはこの事だ!

「私みたいな宇宙一の天才をもってしても転移先が見つからなかったからさ〜旦那も私も諦めたのよ…あの時は何年も泣いたな~」

わざとあっけらかんと話す中…

しみじみと話すマ・ザーのペースに洗脳されたイヴとフローラはウルウルと泣き出していた(笑)


「それから数十年か経ってさ、旦那も歳をとって亡くなったし〜思いきってこっちの世界に来ちゃったの♪」

「でもね、まさかこっちの世界まで避難して身を隠してる何てさ、いや〜ち~とも気づかなかったわ♪アハハハ♪」


「「「笑い事じゃ無い!」」」

全員で突っ込み!ありがとう♪

「ちょっと待って!赤ちゃんて…まさかあの生命反応って…これってどの位前の話なのよ!」

やっと重要な事に気づいた琴音は慌てて叫んだ。


すると…

「それは心配おまへんえ♪凡はマスターに似て長ごう生きられますさかい、まだまだ幼のうございますよって♪」

するとマ・ザーがわざとらしく畳み掛けて言った?

「ま!まだ寝てるのね♪早速会いに行かなくっちゃだわ♪♪」

もの凄いスピードでマ・ザーは、この場から居なくなった

…残像だけを残して…



「…あ、逃げられた…」

アダムよ、反応が遅いって(汗)

するといつの間にかレディも居なくなっていた。

残されたのはお間抜けな関係者だけ…(笑)

その場には吹く筈のない木枯らしが虚しく皆の身体を撫でていくのであった…



それと余談なのだがレディは逃げた訳ではない。

「あの~ご趣味は~♪」

ハートマークを撒き散らしなが発掘作業が終わったゼロに絶賛言い寄っていたのであった(笑)


…流石マ・ザーの従者である…






そんなマ・ザーのとんでもないサプライズから数日がたった♪


いまだ火星のテラ・フォームに着岸されている可変型駆動マシン《マリオネット》の前で、アダムを巻き込んだ《小劇場》がスポットライトに照らされながら始まろうとしていた(笑)

※アダムも王族の仕事が溜まっているのにね…


「な、那由多ちゃん♪」

ウルウル…(T_T)

「か、母さん!?」

ウルウル…(T_T)

お互いかけよりハグする二人…

何処からともなく桜の花弁が舞ってくる♪


だが断っておくが…

ここは《火星》で《ドックの中》で、辺りには《草木一本生えていない》

だからどっから湧いてきた桜の花弁?


立場上、遠くでこの茶番劇に仕方なく付き合っていたアダムはふと呟いた。

「なんだろう…何故か感動しない…」

《流石は親子だノリがシンクロ》と感心はした。

だが無理矢理付き合わされているこの可哀想な王様は、誰かに早く止めて欲しくてしょうがなかったりする。

あ〜哀れな王よ(笑)♪




まぁ〜いい、話を変えようかな。

「いらっしゃいませ♪」

幼さが残るフローラの、これまた幼い声の応対に、

店のドアを潜るこの常連客は笑顔で挨拶を返していた。

※そろそろ変えるか…このフレーズ…


《グルルルル〜♪》

それよりも何よりも今はお腹が減っていたポトニャーであった(笑)

「アーシュ~特盛カツカレー頂~戴(恥)!」


おもむろにカウンターに座る、空腹で死にかけていそうなこの彼女…

フローラが出した暖かいお茶を飲むと少しは落ち着いた様だ。


相変わらずハイエルフのイメージが雪崩の様に崩れそうになるオーダーに、アーシュはおもわず聞き直してしまった。

「だ、大丈夫…食べれるの?」

返事の変わりににこやかにVサインをしたポトニャー。

「《腹が減ったらクエストできぬ》って言うじゃない♪」

惜しい!ちょっと違うよポトニャーさん(笑)


立ち上がり胸(自己申告書C)をはってそう答える彼女のお腹が再び鳴った♪

「アーシュ〜早くお願い~」

直ぐに力無く座り込むポトニャーに笑いながらアーシュが尋ねた。

「クエストの同行依頼があったんだ」

「うん♪一泊二日で《深緑の森》やダンジョンでの薬花や香草の採取補助」

カツを揚げる素敵な匂いを嗅ぎながら彼女はそう答えた。

ただヨダレは拭いて欲しい(笑)


「な〜んだ、それって《ロマ》さんの依頼?」

「そう♪」

頷きながらポトニャーは目の前に出された特盛カツカレーを嬉しそうに食べ始めた。

「じゃ、サンドイッチのお弁当作ろうか?」

「ほんと?ラッキー♪だったら三人分お願い♪」


「ロマと二人だけじゃないの?」

あれ?と思ったフローラが洗い物をしながら尋ねる。

いつの間にか一気に少なくなった特盛カツカレーの変わり果てた姿をよそに…

「琴音がさ〜何かストレス溜まったから付き合うって」

それを聞いたアーシュとフローラは、二人で顔を見合わせ心の中で呟いた。

『『あ~あれ…(汗)』』


思い当たる伏しがある二人は、頷きながら心の中にその訳をそっとしまったのだった。

そして二人で三人分のサンドイッチを作るのであった…





その頃火星では…

「な、那由多ちゃん♪」

ウルウル…(T_T)

「か、母さん♪」

ウルウル…(T_T)


アレはまだ続いていたらしい…


流石にアダムは…

ありゃ!どうやら律儀に終わるのを待っている様だ(笑)

ちなみに傍らにはアーシュの所から出前してもらった軽食セットがあったりする♪












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