第7話 沖田君登場と伽羅さん登場♪

「いらっしゃいませ♪」

幼さが残るフローラの幼い声の応対に、最近転移してきたばかりのこの青年は、彼女の実年齢を知ってるが故に、そのギャップに今だ戸惑いを隠しきれないでいるのだった。

(おっと、また出だしが微妙に変わったぞ~)


「あれ?久しぶりだね、沖田君がこっちに顔を出すなんて。」

アーシュに《沖田君》と呼ばれた侍衣装のこの青年は、二人に軽く会釈しながらカウンターに腰をおろした。

「はい《伽羅(きゃら)》さんからシルビーさんが回復したと聞いたもんですから。」

「あ!じゃ~もしかして模擬戦の申し込み?」

※彼にとって《模擬戦=デート》だったりする(笑)


「あらあらシルビーってば愛されてるはね~♪」

フローラがお茶とおしぼりを出しながら茶化した。

「はい♪なにぶんお慕いもうしておりますものですから。」

屈託なく笑顔で答える好青年に、アーシュ達も釣られて微笑んでしまった。

※ちなみにこんな純な話の流れに心が洗われる汚心の作者であった(笑)


こんな会話をアーシュ夫妻と交わすこの青年…

皆さん何となく想像がつくと思う。


彼の名前は《沖田宗次郎》

お解かりかもしれないがこれは本来の真名では無い。

幼少時の名前である。

彼はロムトレート王国に転移した際、真名を捨てたのだ。


前世で剣士だった彼は、志半ばで病気を発症。

療養中吐血し死を悟った瞬間、王城の庭園に転移しイヴ王妃に発見されたのである。

その後、医師の治療を受け回復した彼は紆余曲折を経て《鎧羅(がいら)》と呼ばれるアーマーの所有者に選ばれ王都で暮らす事になったのだ。


「じゃ~おにぎりでお弁当でも作ろうか?模擬戦の後にでも二人で食べればいいし♪」

「ハイお心遣い感謝致します♪是非お願いします」

「了解♪」

お弁当ができるまでの間、お茶を飲みながらアーシュ達とたわいもない話しに花を咲かせている沖田君。

その表情には以前の様な儚さは見られないのであった…




一方、読者の皆さんからその後の展開が気になると質問された事について答えよう(笑)


あの日の夜(どの日の夜?)の王城の寝室…

「ダーリン!うち…訳も聞かずに飛び出して御免なさい!」

※勿論 《ダーリン=アダム》の事である(笑)

ちなみにプライベートでは、何時もそう呼ばれている♪


「あのねイヴ…謝る所間違えていると思うよ」

苦笑いをしているアダムの顔にはクッキリと、《縦掻き&横掻き&斜め掻き》された爪痕が顔一杯に刻まれていたりする(笑)


「まぁ~事前に連絡しなかった自分にも落ち度があるし…だからもう仲直りしようね」

その言葉にイヴはウルウルした眼差してアダムに抱きついた。

例のランジェリー・ショップで買いそろえた《新作のセクシー·ランジェリー》にお着替えして…

「ダーリン♪大好き~♪」

※作者として断っておくが彼女は雷撃が得意だったり、梅干しで酔っ払ったり、空を跳んだり、語尾に《だっちゃ》等がついたりとかしないから(汗)


この瞬間今夜の《性なる夜の生け贄》の一人は、確実にアダムに決定した…

只今夜の八時…

蜜月はまだまだこれからである(笑)。


あ、そうだ!

《朝帰り》になった理由なのだが、例のマ・ザーの「ごめんちゃい♪」に対するお説教が長引いたせいだった…




そんでもっていきなりだが次の日になった♪

まぁ~確実に作者の都合である(笑)


穏やかな日差しが身体中を包み込む朝。

今日もコカトリスが目覚めの朝を伝えていた。

本日は《喫茶フルート》の店休日なのである♪


只… 

この日差しを鬱陶しく感じている男女が二人…

まぁ~アーシュとフローラだけどね(笑)

実は本日タイミング悪く《メディカル・チェック》の定期受診日だったのだ!

…しかも自宅で…


「まったく!今日に限ってなんで快晴なのよ!」

最近休みの度に一日中天気が悪く、テンションが下がりまくっていたフローラは、今日のタイミングの悪さに不機嫌MAXになっていた。

先にチェックを終えたアーシュは、そんなフローラのぼやきを聞かないふりして、休憩用の紅茶の準備をしている。

(アーシュは気遣いMAXである)

『さ~てと…どうやって機嫌を直そうか…』

※アーシュ、心の呟き…談


「仕方無いでしょ。店休日ぐらいしか二人ともチェックできないんだから。」

フローラの頭の上に検査用の浮遊機械を浮かべながらモニターでチェックをしている、凶悪なくらいイヤらしオーラとボディラインを見せつける女医。


メディカル&バイオテクノロジー部門のチーフである《伽羅(タフでマッチョな彼氏兼ペット募集中♪)》は、そんなぼやきを聞き流しながらチェックを続けていた。


そんな彼女の名前なのだが、実はフルネームはこの世界では発音が難しい為、仕方なく今はこう呼ばれているのだった。


実は…彼女は外宇宙からの亡命者である。

彼女の医学的スペックを兵器として悪用しようとした祖国から逃亡してきたのだが、逃避行の果てに、この太陽系にたどり着き保護を求めたのである。


余談ではあるが伽羅のスペックを悪用しようとした彼女の祖国は、彼女が亡命した三日後に突如跡形もなく消滅したのだが…

色々勘ぐられると不味いので、それはこの際棚の奥に置いておこう(笑)


「はい、チェック終わったわよ♪お疲れ様フローラ」

ある意味最重要人物である二人の診察は、彼女が直々にチェックをする事になっていた。

と、建前上そうなっているが彼女の本来の目的は、たまには仕事を離れゆっくりお茶したいのが本音である。

「ふ~やっぱり落ち着くわ~♪ここで紅茶ご馳走になるのは♪」

紅茶を一口…

思わず漏れるセリフは彼女の本音だろう。


「だったら、もう少し足を運んだらいいじゃない?」

フローラは、おしぼりを渡しながら尋ねた。

(ナイス!商売人!)


「できたら、ぼやかないわよ(涙)!最近立て続けに精気を吸いとられた患者がいきなり運ばれてくるわ、模擬戦のつもりが熱くなり過ぎちゃって大怪我して運ばれてくるおバカな優男がいるわ、顔中引っ掻き傷だらけの変わり果てた国王が治療しに来るわで、もう大変なんだから(涙)」

…伽羅さん説明ありがとう…作者感謝です♪


というか負けたんだ…沖田君(笑)

て言うか全部間接的・直接的にマ・ザーが絡んでるじゃん((( ;゜Д゜)))!


「あ~どっかにマッチョで色々とタフないい男が落ちてないかしら~」

※色々とタフなモルモットでも正解です♪

皆さ~ん、ここ試験に出ますよ~


おっと、話題を変えよう~

「伽羅さん、診断結果はどうでした?」

ちょっと結果が気になったアーシュが尋ねると、

「全く問題な~し、健康そのものよ♪安心して励みなさいお二人さん♪」

照れるアーシュとガッツポーズのフローラ(笑)

なんだか反応が逆な気がするが…まぁいいか♪


そう言いながら伽羅は、残りの紅茶を飲み干すと気持ちを切り替えた様子で…

「さて!そろそろ行こうかな♪」

「あれ早いね♪もう帰るの?」

アーシュがそう訪ねると、伽羅は不適な笑みを浮かべながら背後にピンク色の炎を燃え上がらせていた!

「まさか!せっかく今からOffなのに、このチャンスを逃してたまりますか♪」


あ!これって獲物を見つけた肉食動物のオーラだ!

「じゃ、行ってきま~す♪《マーズ》待っててね~♪」

そう捨て台詞を残した彼女は、ルンルン気分で店を後にした。


どうやら《ターゲット(生け贄でもOK♪)》は、領主のマーズ・ダインらしい…

※ここも試験に出ますよ~(笑)


確かに彼ならタフでマッチョで意外とウブそうである。

彼なら伽羅にとってとても美味そうな獲物かもしれない…




アーシュ夫妻はお互いそう思いながら、揃って手を合わせ合掌した。

多分彼が彼女から逃げ切る事は、正直不可能だと解っていたからであった……









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