第3話 宇宙一の天才悪魔(笑)

突然だが、

この地球の夜空は二つの月が照らしていた。

正確に言えば一つは確かに《月》なのだか、もう一つは衛星都市 《ロムトレート》なのであった。


双子星にも例えられるこの衛星都市は、月を真っ二つにしたような星の大地にオーバーテクノロジーを集約した都市国家を建造していた。


国王である《アダム・フリード・カイザー》は、オーバーテクノロジーによる地球への過度な影響・オーバーロードを防ぐと共に、外宇宙からの干渉・侵略行為等を監視する為に、あえて地上に建国せずこの衛星に建国したのである。


まぁ~裏を返せば《外宇宙から驚異とされるテクノロジーと戦力・要注意人物》がこの太陽系に集積しているという事だ(笑)


以上、では本題に入ろう。

(だってシリアスな解説は頭が痛くなるし~♪)


この国の中心にそびえ立つ城(グランドキャッスル)…

その城の玉座に鎮座するナイスミドル(笑)な国王 《アダム・フリード・カイザー(ちなみに恐妻家)》は珍しく肩肘をつき、ため息を漏らしていた。

端整なイケメン顔に似つかわしくない縦線が無数に流れ、幾分疲れている様に見える。


例えて言うなら、

まるで育児疲れの主婦のように…


原因は科学省から提出された報告書と、ダンジョンマスターである《シルビー》からの苦情てんこ盛りの報告書のせいなのだが…


…特に…

後者が原因なのは確かだったりする(笑)


深いため息の後、意を決してこの原因の元凶であろう人物の名を呼んだ。

おそるおそると…


「マ・ザー!マ・ザーは居ますか?」


その呼び掛けが終わるやいなや、直ぐに彼の目の前にモニター画面が現れると、信じられない様な画像が拡がったのだった!


…《ごめ~んちゃい♪》と大きく手書きされたイラスト入りの画像が…((T_T))


「やはり逃げたか…」

その呟きは、前科がある事を裏付けている。

だが何処に逃げたのかは、アダム自身察しがついていた。


皆さんはもうお気づきだろう…

その逃亡先は勿論 《喫茶フルート》である事を♪

そしてシルビーの苦情の元凶が彼女にある事を…



一方その喫茶フルートの奥にあるキッチンでは…

フローラが真っ黒に焦がしまくった大量の目玉焼きを一旦 《ディメイション・バック》に収納し、証拠隠滅を計ろうとしていたのだが…

アーシュにばれて、彼女はプチお説教を受けていたのだった…


こっちはこっちで『ごめんちゃ~い♪』である(笑)



場面が変わって~

アーシュのお説教から5分後…

※フローラは罰として正座中(笑)


「おっは~♪みんなオゲンコ~♪」

※訳:お元気ですか?である…

なんだろう…

このお間抜けだけど、有無を言わせぬ問答無用な挨拶は…?


唐突に店のドアが開き、この場所に一番居てはならない人物が参上した♪


確かにダメだろうな…

何故なら、この店にはまだ《シルビー》がいるからである。


何故ダメなのか?

読者の方々には唐突過ぎて解らないだろうが…

まぁ~例えて言うならば、指名手配の犯人があろう事か、何事も無かったかのように警察署に遊びに行くようなものだと思って欲しい。


「いらっしゃいマ・ザー♪」

それでも流石アーシュである。

流れる様な接客スマイルだ♪


すると彼女の背後から…

「そしてさようなら…迷惑ババァー(怒)!」

背中に業火を背負ったシルビーが、今まさに自慢の愛剣で彼女に切りかかろうとしていたのだった!


「酷いわシルビーオネーちゃん!こんなにか弱い幼女を捕まえて《バハァ》だなんて!シクシク…」

…あの~自分で言うか…?


ここでちょっと補足♪

この幼女こそが先程から名前が上がっていた《マ・ザー》その人であった!

・年齢を含む全てが不明

・普段は幼女だが時々艶っぽいお姉さんになる

・性格は一言で言えば《悪魔》である(怖)

・王都科学省最高責任者であり、王室最高顧問&相談役、軍務最高補佐官!等々…

実質王都におけるNO2の権力者なのであった。

それと…

自称 《宇宙一の天才科学者》だと自画自賛してたりする(笑)。

以上…


では本題に戻ろう♪


「戯れ言は聞きあきたわ(怒)!今日という今日はミリ単位で刻んでくれる!」

何故か怒り心頭のシルビーなのだが、相手が一枚上手である。

「まあまあ、落ち着きなって♪アーシュ~ナポリタンセットお願いね~♪」

「了解♪」


ここで余談なのだが…

マ・ザーは普段滅多に外出しない。

いつも変な研究に没頭してラボから出ようとしないから《影(ミラージュ)》が代理で執務をこなしていたりする。

何故なら科学者(主にMADな方)だから(笑)♪


「シルビーってば~いつまでも怒んないの♪ランチ食べたらダンジョンに湧いて出たモンスターをせん滅に行くからね」

「へ?」

何時もなら部下に尻拭いをさせるマ・ザー。なのに今日に限って前向きな行動を取ろうとする。

その態度にシルビーは拍子抜けしてしまい、思わず変な声をあげてしまった。

「う、うん…承知した」

あ、またはぐらかされている(笑)

これで何度目何だろう?


その一連の光景を見て、今まで正座して反省してたフローラが足の痺れに悶絶しながら呟いた。

「…シルビーてばちょろ過ぎる……」

と…


そして…

マ・ザーの大好きな甘酸っぱいナポリタンを彼女に提供しながら、アーシュもフローラも同じ事を考えていた…


おそらくモンスターの大量発生はマ・ザーの仕業だと…


それなのに、

モンスターの大量発生の原因を作った当事者(マ・ザー)が目の前にいるのに…

その事をキレ~さっぱり忘れてる…

むしろ、マ・ザーのリアクションを嬉しく思ってさえいるかもしれない…

と……















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