第36話 最終日
三日目。最後だ。この日が終われば恵空に会える。
襲撃は朝から始まった。山のような砦が動いているのが見える。特大の砲身が前の左右に二つ。超特大の砲身が真ん中に一つある。
三つの砲身がこちらを向く。……やっぱ遠距離攻撃あった方がよかったな。恵空は要らないと判断したみたいだが、やっぱあった方がよかったと思う。ここからじゃあの砦みたいなのに届かない。敵に一方的に攻撃されるのは嫌だな。
特大の砲身二つが弾を発射する。
俺は弾に向かってロケットパンチを発射する。見事に命中したが予想外なことに弾が破裂してスライムみたいなのがロボットアームに張り付いてしまった。
このままロボットアームを戻すのは嫌なので地面になすりつける。
するとスライムみたいなものは地面に張り付き、そのままロボットアームが離れなくなってしまう。そしてそのせいで一瞬動けなくなった。
その隙を見計らったかのように超特大の砲身から弾が発射される。その弾は今までのものとは比較にならないほど早く、しかも俺の乗ってるロボとは少し離れた位置を狙われたので、動揺した俺は反応できない。
弾は、恵空が羽化をしている場所に直撃した。
今まで全ての弾をはじいてきたわけではない。いくらかは恵空が羽化している場所に当たっている。今までは無傷だったが、今回は違った。恵空が羽化している半球状の場所、その一番外側がへこんでいる。
落ち着け。大丈夫だ。半球状の殻は層となっており、まだまだ恵空のいる場所には程遠い。恵空には全然届いていない。
でも、もう三日目だし奥の手使ってもいいよな?
地面にくっついているロボットアームを力ずくで引き戻す。巨大ロボを逆立ちさせる。尻尾を砦の方に向ける。そして地面にロケットパンチを発射する。反動で砦の方に向かっていく。そして一直線に尻尾から砦に突っ込む。砦は油断したのか全く反応していない。好都合だ。
尻尾を砦から引き抜くときに一番最後の尻尾にあたる節を切り離す。そうすれば一節分短くなるだけで元の巨大ロボットとほぼ変わらない姿になる。
ロケットパンチを引き戻す力を利用して砦から離れる。その途中、砦に残された節が爆発する。砦は木端微塵となった。
「はっ!! ざまあ見やがれ!! ダメージ与えられて油断したか? ちょっとダメージ与えたからって、いい気になってんじゃねえぞ!!」
少し興奮して声がでた。まあ、恵空に攻撃したんだから似合いの末路だな。
そんなことを思いながら元の場所に戻ろうとしているとき。空を覆っていた雲が引き裂かれ、巨大な複数の弾が恵空が羽化している巨大な半球状の殻に直撃した。――え?
半球状の殻はさきほどより大きくへこんでいる。中心に近づくほど頑丈になると聞いているが、さきほどの攻撃を一日中されたらまず間違いなく恵空は死んでしまうだろう。
腹の底からこみあげる怒りを感じながら、急いで恵空のところへ戻る。
殻の中心に行き、ロケットパンチを発射して節を回転させる。こうすれば上からは扇風機のように見えており、殻を覆っている。なので、また弾を撃たれても殻に当たる前に軽くでき、被害を抑えられる。
しかしここからが問題だ。俺には上から撃ってくるやつに対する攻撃手段がない。しかもさっきの砦のような超特大の砲身がついているやつがまた来たら本当にまずい。明らかに俺だけでは手がまわらない。……じり貧だ。
悩んでいる間にまた上から撃たれた。今度は能力を発動して、弾を軽くできた。……まずいな。殻にダメージは入ることはなかったが、最初に弾を受けたロボットアームはワイヤーがちぎれて使えなくなっている。このまま攻撃され続けるとやがて全てのロボットアームが使い物にならなくなり恵空を守りきれないかもしれない。だが、対処法が思いつかない。どうすればいいんだ?
悩んでいるうちに数多くの砲撃を受ける。なんとか恵空に直撃させるのは防げている。しかしこの状況を打破する手が思いつかない。敵に反撃しようにも、まず敵の位置がわからない。巨大ロボが位置を特定しようとしているのだが、できていない。そして位置が特定できたとしても、そこに届く攻撃手段をこちらは持っていない。……やっぱ遠距離攻撃強いわ。
そして、最悪なことに、敵の増援がやってきた。戦車みたいなのがぞろぞろと見える。
戦車達はこちらに向かってなにかを発射してくる。かなり遠くから撃ったので一発しかこちらに命中しなかった。しかし、発射の中身が最悪だ。砦みたいなやつが発射してきた粘着力抜群の弾だった。
まずい。このまま攻撃され続けたらやがて動けなくなる。しかし戦車達を潰そうにも遠くてできない。上から攻撃されているのでここを離れるわけにはいかないのでどうしようもない。いやでもこのままでは確実に死ぬ。間に合う可能性を信じて、さきにあの戦車達を潰すしかない。
そう判断して恵空から離れようとしたそのとき。ミサイルが飛んできて戦車達を爆発させた。
どうなってる? なぜ? というか誰が? ミサイルが飛んできた方向を見ると、五人の人影が見える。拡大すると皆黒いパワードスーツのようなものを着ている。五人のうち四人は二人二組に別れていて空飛ぶバイクみたいなのに乗っている。一人だけ直径が人ぐらいありそうな円盤を一輪車みたいに乗ってるやつがいる。
五人がミサイルを乱射しているのを見ていたら、巨大ロボに通信が入った。今はテレパシーとかが使えないはずなので、電気による通信のはずだが、一体誰だ? というよりなんでこっちを知っている? 疑問はあるが助けてくれたみたいなので通信にでることにする。普段は知らないやつからの電話とか絶対受けないが。なぜなら俺に電話してくるやつとかいないから。
「お待たせいたしましたぞ!」
「え? 誰?」
なんか聞き覚えある声だ。
「ポポピケですぞ! 流石にわからないのは酷くありませんか? せっかく助力に参りましたのに」
ポポピケ? あの巨大カタツムリの? じゃあ、あの円盤がポポピケ?
「え? そうなの? ごめんごめん。結構変わってて気づかなかったわ……髪切った?」
「某に髪の毛はありませんぞ! ですがまだ大丈夫のようで安心しましたぞ。待っていてくだされ。すぐに御友人達とともに戦車を殲滅いたしますぞ」
御友人? 誰? 誰の? 俺の? ……そう言えば一人なんか頭が出っ張ってるのがいるな。
「全く水臭いぜ、天麩羅! 恵空ちゃんを狙うやつらと戦うんだろう? 助けにきたぜ」
「リーゼン」
「先生もいるぜ。まあ、思ってたよりかなり規模がでかくて正直あんま役に立たなそうだがな」
成程。頭が出っ張ってる方の二人組がリーゼンとシェル先生か。
「いや、正直戦車を壊してくれるのはかなり助かる。ありがとう。困ってたんだ」
初めて他人に感謝した気がする。
通信から別の声が聞こえる。
「そうかい? 役に立ってよかったよ。これで恩が返せるね」
この声と話し方は……コミナミ? なぜ? 恩ってなに?
「コミナミ? 恩っていうのは?」
「なに言っているんだい? 私が探していた犯罪者のことだよ。君たちが見つけてくれたお礼に、今度は僕たちが力を貸そう」
「そういうことさ。コミナミが行くなら私も行かないわけにはいかないからね」
ハインドもいる。
てか、どういうこと!? そんなやつのことなんて知らないよ!? ……待てよ。なんかこの知らないところで重大なことが進行しているこの感じ、恵空の匂いがする。
巨大ロボにあるデータベースでコミナミについて調べてみる。……ほうほう成程。……ブルー!! 犯人はお前かあああ!! お前がコミナミが探してたやつだったんかい! そういやなんか犯罪繰り返してるっていってたな。いやでもブルーがクズだったおかげで俺が助かっているんだからいいのか? てか恵空はどうして俺に大事なことを言わないのか。いや、まあ、興味あるかないかで言えば、なかったんだけれども。確かにブルーのそのごの処遇については聞いたこともなかったけども。
まあ、こうやって助力にきてくれたのは非常にありがたい。ぶっちゃけ上からの砲撃だけなら防ぎきる自信があるからな。
「助かる」
だがここで一つ気になるのはリーゼンだ。リーゼンは俺が倉橋病院の院長もろともゾンビ達を成仏させようとしたときに、なんか乗り気じゃなかったくらいのやつだ。さっきから遠慮なく戦車にミサイル撃ってるのが信じられない。
「ところでリーゼンはさっきからミサイル乱射してるけど、いいの? なんかゾンビ達のときはもっと平和的な感じを望んでなかった?」
「あん? なに言ってんだ? あんときはこっちを殺そうとしてないゾンビごと殺す可能性もあったから悩んだだけだ。院長や高笑いロンゲはぶっ殺すのは反対してねえだろう?」
「……そう言われればそうか」
「おう! だから天麩羅や恵空ちゃん殺そうとするやつには容赦なんてしないぜ」
リーゼン達のおかげで戦車達は全滅した。あとは上にいるやつだけだ。
「助かった。ところでポポピケ、上空の敵の位置ってわからないもんかな?」
「すみません。味方の者が攻めてくれているのですが、なかなか敵も手ごわいようでしてわかっておりません」
「そうか、他にも味方いるんだ?」
「もちろんですぞ。某の星の者達です」
「それは助かるな、ありがとう」
「いえいえ」
「ちょっといいかい? もしかしたら僕がわかるかも知れないよ?」
「どういうことだ? コミナミ」
「敵は弾を撃ってきているんだよね? なら、その弾に僕の能力を使えば敵の写真が撮れるかも知れない。その写真から位置を把握できないものかな?」
成程。最初は弾が保管されてる部屋が写って、今度はその部屋全体を写るように撮って、とかを繰り返したら最終的に敵の宇宙船の全体を写せる? それならできそうだな。
「そのようなことができるのですか!? ……それならいけそうですな。しかし、天麩羅殿、位置を特定してどうなさるので? 生憎、某達はもう余力はありませんぞ?」
「いや、たぶんいける。気がする」
なんども使えないが、敵にダメージを与えられる方法は思いついた。
「……では某達が散らばった弾を回収しましょう。こちらに弾を飛ばさぬように気をつけてくだされ!」
「わかった。頼むわ」
リーゼンが影からドローンのようなものを取り出す。取り出したものは大きくなり、それを操ってポポピケが弾を回収していく。ここまでは、うまくいったみたいだ。
コミナミが念写を試している。
「んー。ダメだ。なんだか全然映らない」
そうか。ダメだったか。まあ敵も位置がばれないように妨害……ん?
「コミナミ? もしかしてここだと能力がうまく使えなくないか?」
「ん? あれ? 本当だ。今ハインドを念写しようとしてもできない」
「やっぱりか。ポポピケ、ここは恵空がテレパシーとかを妨害しているからコミナミが能力をうまく発動できないんだろう」
「そうでした。妨害の範囲外までお連れしますぞ」
「頼んだ。皆も行ってくれ」
「また戦車とか来たときのために残った方がいいんじゃねえか?」
「それはそうだが、上空の敵が落ちてきたときのこと考えるとな」
せっかく助けに来てくれた人間を危険にさらすのは流石に心にくる。
「では恵空殿から教えていただいた隠れ家が近くにあるので、そちらに避難するというのはどうですかな? 近くなのでもし地上の敵が来ても打って出られますぞ」
「それならいいぜ」
「じゃあそれでいこう」
リーゼン達が去っていく。
待っている間にもまだまだ弾は降ってくる。どうしようか迷っていたときのことを思うと精神が比べものにならないくらいに楽だ。あのときはどうすればいいのか全然思いついてない状態だったからな。今はポポピケから連絡が入るのが待ち遠しい。
戦車などの地上の追加戦力がこないうちにポポピケから連絡が入った。敵の位置が判明した。ラッキーなことに宇宙じゃなくて地球にいるらしい。
巨大ロボに敵の位置を入力して、やろうとしていることを計算してもらう。
計算結果は可能。実験のためロケットパンチでそこいらの木々をもいで試す。十回ほど試してみて、いけると確信する。
集中する。巨大ロボに思念波をこれでもかというほど集める。相手は本気で恵空を殺せる相手だと思うと簡単に集まる。上から降ってくる弾のせいで難しいが、なんとかできた。これで上空の敵をぶっ殺せる歓喜のせいでパワーアップでもしたのかも知れない。
タイミングは撃たれた直後。今だ!
巨大ロボを逆さにし、殻を頭の爪で全力で掴む。へこんでいるおかげで掴みやすくていい。へこましたことに対しては責任を取って死んでもらうけど。いや違うな。責任云々じゃない。
俺は、お前達が、生きてることは、許さない。
尻尾を地面の方にしてから全力で一回まわす。あふれる思念波で無理矢理な力をだし尻尾はトップスピードになる。
その尻尾が真上にくる直前。尻尾から四節だけ軽くして切り離す。
切り離された四節は目標の敵に一直線に向かっていく。
途中まで行ったとき、尻尾から四節目が爆発する。これで尻尾はさらに加速する。あとはこれを繰り返して敵に尻尾を突っ込ませる。
俺はモニターで確認する。たとえ尻尾が直撃しても、それだけで敵を落とせるとは限らないので俺の能力で敵の船を落とす。
集中して自分の思念波を感じ取る。あれほど思念波を込めたんだ。しっかりと尻尾に込めた思念波を感じ取れる。
モニターを見る。示されているのはカウントダウン。計算どおりなら尻尾が敵にぶつかる時間を示している。
俺は自分の思念波を込めたロケットパンチを起点に能力を発動できる。なら、それがロケットパンチのように繋がっているものでなくてもできるはずだ。なぜなら最初に思念波を発動するときにすでに離れたところに発動できているんだから。そう考えてさっき木で実験したらできた。
時間だ。俺は尻尾を起点に能力を発動する。そして思念波が俺以外の物が存在しないように意識する。
……たぶん成功かな?
肉眼では見えないが巨大ロボは敵の船を捉えることができたようだ。モニターに映し出されている。俺の思念波により一日目の宇宙船と同じことが起こったのだろう。
ゆっくりと見えるが、確実に敵の宇宙船は落ちてきている。成功だな。
宇宙船が墜落する。激しい振動と爆音が伝わってくる。素晴らしい断末魔だ。
まあ、まだなんかあるかも知れないから油断せずにいこう。
「流石ですぞ、天麩羅殿。敵はもう諦めたようですな。逃げ帰ったと報告がきましたぞ」
ポポピケから連絡が入った。だからと言って油断はできないがいい報告だ。
「そうか。あとは恵空を待つだけだな」
「待ち遠しいでしょうな」
「ああ」
それからは助けに来てくれた六人と話しながら恵空を待った。そわそわして落ち着かなかったからありがたかった。
「え? じゃあ昨日暇だったの皆のおかげだったの?」
「おう。ミサイル発射するの止めたりするために基地とかまわったんだ」
どうやら俺達を助けるために敵の基地に侵入したりしてくれたらしい。
「知らなかったわ。本当ありがとう」
今まで相手しただけでも大変だったのにさらに増援とか相手してたら、しんどくて堪らなかったと思う。
「いいってことよ。ここにはいねえが、ムラサキも手伝ってくれたんだぜ?」
「あいつが? マジで?」
「ああ。侵入すんのに役立ったぜ? 魔法少女に変身してのポルターガイストは見ものだったぜ。ここには怖くて来たくないとか言ってたが」
「そうか。……お礼の品はどうすればいいのか思い浮かばんな。シェル先生、ムラサキの好物とか知ってる? てかゾンビはなんか食べるの?」
「食べるよ。紅茶とかよく飲んでるみたいだけど」
「じゃあ紅茶の詰め合わせにしとくか。シェル先生とリーゼンはなにがいい? 恵空のやつは色々な便利道具もってるからファンタジーなものでもいけるかも知れない」
「私は、寒くなくなる保湿クリームとかあるならほしいな」
成程。非常によくわかります。てかここで思いつくくらい寒いんだ。それなのにその格好をやめないと? 感動した。
「恵空ちゃんは宇宙人だよな? 宇宙製のバイクとかいけるか?」
「保湿クリームはわかんないけど、バイクは確実にいけるな。クリームもたぶんいける。コミナミ達は?」
「私達はお礼だから気にしなくていいよ?」
「しかし助かったからな。宇宙産のコーヒー豆的なのはどうだ?」
「いいね! それはほしい」
「じゃあ、それで。ポポピケは恵空によしなに言っとくとして、スガクセは?」
「ポポたんにお礼二回分でお願いするッス」
「な!?」
スガクセの解答にポポピケが驚いてる。
「わかった」
これでお礼のことは決まったな。しかし知らないうちに助けられてるとはな。……ん? てことは俺は昨日リーゼン達が危険を冒して助けてくれているときに、ゲームのタッチ機能が使えなくて、くノ一の服が脱げないことに怒って拗ねてたの? ……クズかな?
そうして昨日のことに落ち込んでいるとようやく動きがあった。
地面が揺れたかと思うと、恵空が羽化している殻が開いていく。幾重にもなっている殻が開き終わると、そこには変わらぬ恵空の姿が、円柱に半球がくっついた姿があった。……変わってなくない?
「おい? 無事羽化したんだよな?」
「はい、ですが少々失念していたことに思い至りまして」
「なんだよ?」
「やっぱ今は三日間命がけであなたが私を守り抜いてくれた感動の場面じゃないですか? ですので、こう、抱き合いたいわけですよ。でもあなた今、三日もお風呂入ってないばっちい状態でしょう?」
「三日間必死こいて頑張った俺にばっちい!? もっと言葉を考えてくれよ!」
「
「ばっちいの表現方法に怒ってるんじゃない!」
扱いが酷すぎるだろう。
「なのでお風呂入ってください。感動の対面はそれからです」
「お前マジ酷いな。まあいい。俺も早く風呂入りたかったし。……帰るか」
「はい」
リーゼン達にお礼を言ってから帰宅することにした。
●
帰宅して即、風呂に入る。
体の汚れと心の疲れがとれるようだ。
「さあ恵空! 風呂から上がったぞ。これでばっちくないだろう?」
「スキャン中……んー、許容範囲内」
「普通にきれいになりましたねとか言えない!?」
「いやお風呂入って汚くなって出てくるわけないじゃないですか?」
「そうだけども!」
「まあまあ、ちゃんとお披露目しますから。では……いきますよ!」
「おう!」
恵空の声とともに円柱部分がぱっくり横に線が入る。そして上下に別れ、中から一糸纏わぬ姿の恵空が出てくる。
「登場の仕方が海産物一家のオープニングスタイル!!」
アイアンメイデンみたいに開くのかと思ったら違うのか。
「ここはツッコミをいれるのでなく鼻血吹いて倒れるところだと思います!」
「いや、気になってつい……というよりそんな反応現実だと無理だよ。怪盗ダイヴがせいぜいだ」
「まあ、パン一なのでそれが似合っていると言えばそうですが……ところで新たな姿になった私になにか言うことはないんですか? 『ゲヘヘヘ、良い体してるなお嬢ちゃん』とか」
「どこのゴロツキ!?」
「では、『俺の凸とお前の凹を合わせてみないか?』とか」
「日本神話! あと恵空は俺の妹じゃないし、第一俺の妹にそんなにいかがわしいこと言うわけがない!!」
なんか人から下ネタ振られると結構反応に困るな。
「ではなんと言うんですか?」
「え? ……まるで芸術品のようにきれいだ。もっとよく見てもいいか?」
「ダメです! もう騙されませんよ! 前回はつっこむの忘れましたが、どこら辺が芸術品みたいですか?」
「おっぱいがでてるところとか?」
なんか女神の絵画とか結構でちゃってるイメージがある。
「前回はでてませんでしたよ!? というよりさっきからエロ系しか言ってないじゃないですか! もっと違う感じのこと言ってください」
「いや、俺もそうしたいのはやまやまなんだが、三日間戦ったあとに理想の美女の全裸見たらエロいこと以外頭に浮かばないんだ。これはもはや不可抗力。飢えた虎の前に生肉を差し出すようなもんだよ」
「成程。では私を褒めるのはあとでいいです。まずは言っていたとおり、感動の対面といきましょう」
「……ん? もう対面してるのよな?」
「はあ……。わかっていませんね」
恵空はやれやれといった感じでこちらに歩いてくる。そしてそのまま俺に抱き着いてくる。あばばばば。
「感動の対面はやはり抱き合うことですよね! 生肉ではありませんが据え膳はあります。……おあがりよ!」
「それ食べると裸になるやつ!」
このあと滅茶苦茶据え膳食べた。
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