第13話 おれの小説を書き継ぐゾw
「…同時的に全時空間に遍在し、瀰漫している、超越者にして究極のターミネーター。絶対的に”
メシスは全ての「善なるもの」、想像しうる、この世界をよりよくしようとする 全てのポジティヴな意志、それらを抹殺すべく暗い怨念の炎を燃やし続けていた。
彼は全てを憎んでいて、調停やら融和やらは不可能だった。
もうすべての物語は終了していて、エピローグとして、壮大な殺戮と破壊が延々と繰り広げられる…それが彼の思い描いている”ハルマゲドン”のシナリオだったのだ。
彼の潜在能力は殆ど「∞」、無限大、無尽蔵だった。すでにエネルギーレベルではブラックホールを凌駕していた。
あらゆる存在物、知的生命体、下等な動植物、鉱物、ファンタジー世界の住人、およそイマジネーションしうるすべての存在しうるメンタリティのマイナスなベクトル、それらすべての「負のエネルギー」、そういうものは即座にメシスのエネルギーとなり、彼はどんどん「成長」していたのだ。
人間やすべての被造物、あらゆる生きとし生ける存在、そうしたすべての森羅万象に潜む、悲しみ、苦しみ、怨念、呪詛、そうしたネガティンヴなパワーを吸収できるだけ吸収して、メシスは古今未曾有、唯一無二、絶対的な、闇の強者になり上がった。
破滅こそが彼の存在目的だった。
あらゆるものは敵で、憎しみの対象だった。
破壊したいから、メシスはメシスだった。
情け容赦はしなかった。
平均して一日に一つの惑星レベルの殺戮をなしていた。
不幸と災厄こそが究極的な理想郷だったのだ。
だから彼は、殺して、殺して、殺しぬいた。
すべてを破壊しなくては、彼の怒りは収まらないのだ。
日々成長しているカタストロフィと惨禍の化身、パラフレーズしようのない究極の悪辣なジョーカー。
自分は醜い。そうして不幸だ。誰にも愛されないし、全く希望などはあり得ない。
殺すしかなかった。殺すことが救いだった。
間然することのない、悪魔の哲学だった。若いころにさんざん悩みぬいた「普通の人間」が、辛酸をなめ続ける幾星霜を経て、邪神の天啓を受けて、途轍もないモンスターにメタモルフォーゼを遂げた…
彼は自分のそういう呪わしい運命も、全宇宙の自分を否定する全存在も、どうしても許せなかった。許せないのが当然だったのだ。
全部破壊してやる。
オボエテイロ。
彼は他人の理解というものを完全に拒否した、黒い独りよがりな嗤いを常に口元に泛べているのだった。」
<続く>
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