第一発見者は釣り人です!

無雲律人

前編:無雲、釣りに行く途中で怪しい人を見付ける

 その日も、いつも通り無雲むうんとおいたん(当時は彼氏・現夫)は、釣りに興じようとEDO川のサイクリングロードを疾走しておりました。


 土手には、日向ぼっこをする人、ピクニックをする人、運動をする人と、結構な人が出ていました。


 いつもの釣りポイントに到着するちょっと手前で、無雲は土手に妙な人を見た気がいたしました。


「ん? 今の人、頭に袋被ってなかった?」


 いやいや、そんな人居たらおかしいでしょ。その人の隣には日焼け目的で上半身裸の男の人が寝そべっていたし、そんな人居たら声を掛けているはずでしょ。


 無雲は自分の見たものは『間違いであった』と自分に言い聞かせました。


 そして、釣りポイントに到着しました。そこは、その妙な人も見える所でした。


 土手には人が沢山います。その人は大の字で寝ているように見えました。頭の袋は確認できません。けっこう遠目だったのと、無雲は近眼でそこまで目が良くないからです。


 一応、おいたんに確認しました。


「ねぇ、あそこで大の字で寝ている人、ちょっと変じゃない?」

「ん? 昼寝でしょ? 良く居る良く居る。気にしないで釣りしようぜ!」


 そうして、無雲は心に引っ掛かりを感じたまま釣りを開始。その日はぼちぼちハゼやテナガエビが釣れました。


***


 無雲とおいたんっていうのは、釣りをしているとけっこうな勢いで知らない人から声を掛けられます。その日もそうでした。


「釣れますか~?」


 初老の男性は、のほほんと無雲達に声を掛け、しばらく雑談に興じていました。ちょっと離れた所に去ってからも、無雲達をずっと見つめていました。

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