復讐を願う強さが足りなくて 天使がくれたセイギに縋った


目が覚めて来世だったらいいのにね 残響の君に銃爪ひきがねを引く


君のこと忘れた来世は要らないから 私の地獄で永遠キスしようよ


包丁の音から伝わる上機嫌 その理由が僕ならいいのに


すれ違う瞬間 何も香らずに 私が貴女に染まったと知る


恋という字の凸凹で火をつけて 煙草をふかす春のベランダ


仰ぎ見るキミの吐息が色づいて 空気の層すらただ愛おしい


腐り落ちただれた恋の投棄先 探して歩く深夜2時半


割れた鏡の断末魔 鼓膜を突き刺す哀言葉 うるせえだまれ


雨上がり 街に染みつく君の跡 舐めて歩く午前2時半


粗大ゴミ置き場の底から見る月夜 塵芥ちりあくたを称するも恥


無能だと自嘲気味に笑う頬 つねって押しつけるフリージア


天気予報 カレンダーと見比べて あなたが去った年月を想う


ビルの底 未だに来ぬ朝日睨み 「まだこれから」とつぶやく深夜


あと一本 貴女が残した思い出は 他のひとでは上書きできない

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

うつらうつらの言葉たち からすば晴 @karasuba_sei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ