「サンタクロース物語」

清ピン

「サンタクロース物語」

これは妖精と盲目の少女との心温まる話です。

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その少女の名前は「真亜子(まあこ)」と言う。先天性(せんてんせい)の眼の病気で手術しても治る見込みはありませんでした。だが真亜子は諦めませんでした。彼女は「サンタクロース」を信じていたからです。

「あたし今年のクリスマスにサンタさんに頼むの眼を治して下さいって」

「真亜子、体に悪いからもうおやすみ」

「はーーーーい」

真亜子は不幸な生い立ちにもかかわらず素直で性格の良い少女に育ちました。

両親は真亜子の事をとても大事に育てています。時には厳(きび)しくする時もありましたが最後は優しい言葉で締(し)めくくります。

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ある日の事です。

盲導犬と散歩に出掛けた真亜子の前に老人が倒れていました。

「あのう!大丈夫ですか?」

と真亜子は老人に声をかけた。

「君はわしが見えるのか?」

「はい見えます。」

その時、真亜子はハッとしました。そうです。真亜子は眼の光を失い物を見ることが出来ないはずでした。

「なぜ、私見えるの?」

老人は言いました。

「わしはの!妖精なのじゃ!普通の人には、わしは見えんだが君には見えた。心が綺麗(きれい)な証拠(しょうこ)じゃ!お主は盲目の子じゃな。」

何の事か真亜子には最初は理解できませんでした。が老人はこう言いました。

「明日はクリスマスイブじゃプレゼントしよう楽しみにしているが良い」

と、この言葉だけ残して老人は去りました。真亜子は家に帰ってこの事を両親に話ました。両親は「それは楽しみだね!」と喜(よろこ)んでくれました。真亜子は明日を楽しみに眠りにつきました!

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その頃、老人の妖精は妖精の国にいた。

「大長老お願いがあります」

「なんじゃい」

「妖精の雫石(しずく)を私に下さい。人間の少女の眼を治してあげたいのです。」

妖精の雫石とはどんな病気にも効(き)く妖精たちお薬でした。

大長老は老人の妖精にこう言いました。

「妖精の雫石を人間に使うと言う事の意味をお主はわかっておるのか?」

「はい!消滅(しょうめつ)は覚悟(かくご)の上です。私は少女の心の清らかさに助けてもらいました。今度は私の番です」

「なら何も言うまいて。少女を助けておあげ。ただし、その姿のままでは使えんぞ何かに潜(もぐ)り込んでな」

「はい!大長老ありがとうございます」

こうして老人の妖精は命をかけて少女の眼の病気を治す事にしました。

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クリスマスイブの日が来ました!その日は朝から大雪で街は大混雑(だいこんざつ)していました。雪かきをする者もいればソリに乗り込んで遊んでいる者、雪だるまを作っている者など色々な人がいます。街はホワイトクリスマスの状態でした。そう老人の妖精は雪の妖精でした。雪は消える運命にあります。妖精も同じでした。妖精の老人は妖精の命をかけるつもりでした。街には人が溢れていました!とてもにぎわっていましたが老人の妖精さんはサンタクロースの衣装を着けた雪だるに目をつけました。この場所から「真亜子」の家まではかなりの距離がありますが仕方なくここから歩く事にしたのです。街にはマスコミも出ていてテレビ中継もしてました。

「曙(あけぼの)テレビの佐久間(さくま)です。ご覧下さい。この雪だるまは世界中の子供たちにサンタクロースが来る様に地元の人が作り上げました。巨大なサンタクロースです。」

テレビ中継しているその時です。雪だるまが光だしました。

「テレビをご覧の皆様、大変な事が起きています。なんと雪だるまが青白く光だしました。何が起きているのでしょうか?」

光終わったあと、なんと雪だるまから手と脚が出てきました。これには周りの人々も声が出てきません。そう、老人の妖精は雪だるまの中に入って雪だるまに命を吹き込んだのです。

「わっしょいっと」雪だるまはそう言うと真亜子の家の方向に向けて歩き始めました。

「曙テレビの佐久間です。テレビをご覧の皆様今我々は夢を見ているのでしょうか?2mを越える雪だるまがなんとなんと歩いています。こんな事は見た事がありません。雪だるまは何処に向かのか?付いて行こうと思います。でも一旦CMです。」

妖精は最後の力を振り絞り(ふりしぼり)歩いて行きます。周りの大人たちをよそに子供たちは集まってきます。

「ねぇ、雪だるまのサンタクロースさん何か頂戴(ちょうだい)よ」子供たちは雪だるまに集まってきます。雪だるまのサンタクロースは一旦立ち止まりこう子供たちに言いました

「ぼうやたち、よいこだからこれをあげよう。」そう言うとお菓子の詰め合わせを子供たちにあげて行きました。子供たちは大喜びです。雪だるまのサンタクロースはまた真亜子の家に向かって歩いて行きます。

「曙テレビの佐久間です。雪だるまのサンタクロースが子供たちにお菓子をあげながらまだ歩いて行ってます。一体何処に向かうのでしょうか?この中継は時間を変更してこの雪だるまのサンタクロースを追いかけ様と思います。」

雪だるまのサンタクロースは歩く度に徐々に痩せて溶けて行っています。その時です。ついに真亜子の家に着きました。

「真亜子ちゃん居ますか?」雪だるまのサンタクロースは言いました。すると玄関から真亜子が出てきます。周りの大人たちは静かに事の成り行きを見ています。

「君の待ち望んでいた物を持ってきたよ。」

「あなたは誰?」と真亜子は雪だるまのサンタクロースに聞きます。

「昨日約束したよね。クリスマスプレゼントを持って来ると!」

「じゃあ、あなたは昨日の妖精さん」

「そうじゃ!これが約束のプレゼントじゃあ」

そう言うと妖精の雫石(しずく)を真亜子に手渡し

「その雫石を眼に入れてごらん」と雪だるまのサンタクロースは真亜子に伝えました。

真亜子は恐る恐るその妖精の雫石を眼に入れて見ました。すると真亜子の眼が光だしました。光るのが終わり真亜子は眼を開くと、今まで見えなかった景色が見える様になりました。「わ・た・し・見・え・る。」真亜子の眼に涙が溢れ出します。「妖精さんありがとう。」と、振り向いたその時です。雪だるまのサンタクロースは大半が溶けて居ました。

「妖精さーーーん」真亜子は雪だるまのサンタクロース向かって叫びました。「妖精さん溶けないで、ずーっと側にいてよ」と叫び続けます。すると妖精は真亜子に、こう言いました。「雪はの消えるから美しいのじゃ!我々雪の妖精も消えて新しい妖精に生まれ変わるのじゃ、その美しい心を忘れずにな!」そう伝えると、雪だるまのサンタクロースは衣装だけを残し消えて行きました。

「曙テレビの佐久間です。皆様ごらん頂いたでしょうか?雪だるまのサンタクロースが持って来た薬で少女の眼に光が戻りました。我々はこの雪だるまのサンタクロースに美しい心を教えられた気がします。以上中継を終わります。」

雪だるまのサンタクロースが消えてしばらく時間がたつと周りの雪も消えてゆき何でもない日常が戻って来ました。

眼に光が戻って来た真亜子はその後この話を将来に残すべく、小説家になり、その美しい話を童話として残しましたとさ

・・・終わり


あなたはサンタクロースを信じますか?

信じる心は奇跡を起こすと僕は思っています。優しい心をずーっと持ち続けよう

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「サンタクロース物語」 清ピン @kiyotani

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