Film 15. 『戦場のメリークリスマス』☆

(☆マークはクリスマス映画!🎅)


 1983年の日本映画(英・オーストラリア・ニュージーランドとの合作)。2時間3分。

 軍人と俘虜ふりょ(捕虜)、東側と西側、立場と思想の壁を貫いた性愛とクリスマスの贈りもの。


 二次大戦後期、1942年のジャワ島、日本軍下俘虜収容所にて。英陸軍中佐ロレンスは通訳として、粗暴な軍曹ハラや、自他に厳格な若き所長のヨノイ大尉らと俘虜たちの間を取り持っていた。

 ある時、空挺くうてい作戦の末に新たに俘虜となった英陸軍少佐セリアズを収容する。その反抗的な態度に、ヨノイは苦悩しながらも魅せられていく。しかし後日、セリアズにはロレンスと共に、無線機を隠し持っていた容疑がかかり……。


 邦画ではいまだ珍しい、海外との合作映画。主役のヨノイを演じながら音楽も担当した坂本龍一のテーマソングが有名ですね。

 同じく主役ロレンスを演じたデヴィット・ボウイもロックミュージシャン。助演をビートたけし(ハラ軍曹役)が務めるなど異色のキャスティングが目を引きます。


 こういった作品がなかなか作られない背景には、業界事情もさることながら、旧来の日本的な価値観と西側諸国のそれとの差異を上手に描く必要があるからでしょうか。

 しかし、本作はそれを克明にやってのけ、さらにその上で、繊細で耽美なホモセクシュアル的な性愛を、いかにも鮮烈かつうやうやしく表現しています。難しい背景を巧みに舞台装置へ落とし込みながら、純愛モノとしても成立させているのです。


 武士道と愛国精神の裏側で揺れる思慕の情。意外と日本人なら深く考えずとも読み取れる映画でしょう(よくできた戦争映画でもありますが、野暮ったいメッセージ性とかはあんまりないんです)。一方で、D. ボウイの表現した西側男性らしい魅力は、日本人が撮ったとは思えないとして海外でも絶賛されています。


 これもじっくり観たい人向け。じぃんと静かに感じ入り、感傷に浸るような気持ちになれることでしょう。

 美しいものに触れて年を越しませんか?


 さあ、クリスマスまであと5日ですよ! ファーデル・クリスマスを迎えましょう!

 それではメリークリスマス!


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