Film 16. 『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』
2019年のアメリカ映画。1時間36分。
追い詰められた漁師とダウン症の青年の、ワイルドでやさしい珍道中。
ザックは若者だが、老人用の養護施設に入れられている。彼がダウン症だからだ。
しかしプロレスラーになりたいザックは、ある日一念発起する。憧れのレスラー=ソルトウォーター・レッドネックの養成所に入るため、パンイチで脱走した。
道端でザックを拾ったのは貧乏漁師のタイラー。よその網に手を出した彼は追われる身となっていた。
逃亡者同士なかよくやろうと言って、ザックを子分扱いするタイラー。しかし、理屈の通じないザックを相手に、タイラーはむしろ世話を焼くことになり……。
イェス! ハートフル! 愛しさにあふれてる、近年最高級の逸品!
障害だとか貧困だとか、難しいことも読み取れますがあまり考え込まなくてもいい元気な作品。へんてこな二人の気の抜けたロードムービー。
自由を楽しんで、少し過去の傷に触れて、ほっこり癒されて、最後にやっぱりへんてこななにかを成し遂げる。さわやかで愛くるしいバディものです。
単純だけれど、意外と沁みて泣けるんですね。それは主役の二人がとことんやさしくて、パッシブで、映画もそれにこたえるように穏やかながら確かな熱量があるからでしょう。
ダウン症のザックに対するタイラーの初期の扱いは、それはひどいものです。わからないと思って、丸め込んで自分の手下にしようとします。
しかし、レスラーになるというザックの夢は否定しません(ザックは体格に恵まれているとは言えません)。あまつさえ、ザックのスパークリング相手をしてあげるなどしています。自分がある人から優しくしてもらった記憶がタイラーにはありました。
そうやってザックを助けるようになっていくうち、助けることで孤独に疲れ切ったタイラー自身が徐々に救われていく。現代人に刺さりやすいドラマが、二人のやさしい時間の中で紡がれます。
クリスマス映画ではありませんが、どうしてもここで紹介したかった作品。今、人が一番癒されるべき“孤独”に寄り添ってくれる物語です。
元気な気持ちで新年を迎えませんか?
さてさて、クリスマスまであと4日! それではメリークリスマス! イエー!
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