どこへでも

 あなたとの初めての週末。私はあなたを自分の部屋へ招き入れ束縛した。

 まず最初にあなたと熱い口づけををしたあと、あなたに熱い言葉を投げかけ、また口づけをした。その後はあなたと、楽しく談笑して時間の過ぎ去りを忘れてしまった。

 あなたといると、気分が落ち着く。なんて言うのだろう。一年を、流れゆく四季を、ずっと感じられるような、春や秋の匂いを感じながら夏の暑さを体感し、冬の年末年始を日々送るような、そんな感じだ。でもそこには、花粉にやられ、蒸し暑さににやられ、突風にやられ、雪に埋もれるような感覚は決してない。とても懐かしい感じと表現するべきなのかな。

 あなたは私のことを瞳をおっきくして見つめてくれる。そこにあなたの純粋を感じる。

 私と付き合って良かったのか聴くと、あなたは驚いた顔で、逆に聴き返してきた。私はもちろんと言うと、あなたは一瞬、悲しい顔をみせたあと微笑んでだ。

 私はそのことを考えないようにした。あなたにも辛いことがあるのだろうから。

 あなたの顔に首巻きを軽く巻きつけた。するとあなたの姿は、赤ずきんの少女みたいだった。

 あぁ、あなたが愛おしい。あなたが心地良い。あなたが懐かしい。あなたの全てが。

 あなたは私のもの。もう他の誰にも渡さない。渡すものか。あなたはもう他の誰にも愛されてはならない。私だけに愛されて、私だけを愛して。あなたを守るから。

 どこへでも連れてゆく。あなたを。だからずっとそばにいて。私をひとりにしないで。あなたしかいない。私を守ってくれる人は。私の胸の奥の痛みを消せるのはあなただけ。ガラスのようなあなたと、ガラスのような私。割れ物同士、お互い求め合いましょう。

 他の人と一緒にいることなんて絶対に許さない。

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