ロミオとジュリエット
一週間が経った。私はいつもよりさらに増して、憂鬱な気分で学校に向かった。というのも、私と彼が会えるのは一週間に一度の授業でだけであるのだから。私にとってはこの一週間に一度は、耐え難いものになるだろう。と勝手に思い込んでしまっているのも悪いが、そんなことになる気がするのだ。
わたしは、いつもより早く教室に入り席に座った。周りは他に人が居らず、私は一人だけだった。もしかしたら、彼がまた声を掛けてくれるかもしれない。そんは甘い発想に少しの希望を信じたのだから。
しかし、現実は違う。妄想は現実になることなく、時間は過ぎてゆく。先生の話を聞き流しながらペンは全く進まない。それとは裏腹に、私の頭の中の話は次の妄想と希望を語り続けていた。彼は授業が終わったら、話しかけてくれる。そして、私たちは和解したあとに、お互いを認め合い、最後には愛おしいほどの口づけをするのだと。
授業が終わり、わたしは待ち続けた。そして、彼の声が響いた。わたしはすぐさま、彼の方にかおをむけた。彼は、他の女と一緒にいた。彼はその女に私に掛けるはずであった、熱い言葉をその女に掛けていた。
「私はロミオであり、あなたはジュリエット。
私は太陽であり、あなたは照らされる月である。
そして、私にとっての太陽は、あなただけだ。」
あなたとあの女がロミオとジュリエットなら私は一体なんなの?オセロー?教えて。私は一体なんなの?なんで、そんなに親しくしてるの?なんで、みんな彼を女を羨望の眼差しでみているの?先生は何も言わなくていいの?どうして彼は、他の女を口説いているの…?
私は次第に思考が停止してゆき、ゆっくりと立ち上がり、荷物をバッグに突っ込み、走って教室をでた。何も聞いてないし、何も見ていなければ、何も知らない。そう自分に言い聞かせながら、涙が頬を伝ってくるのが解る。
学校を飛び出し、家に帰った。自分の部屋に引きこもり、布団にくるまりながら、泣いた。
全部、私が、悪い。
わたしはもう学校へは行けない。
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