第5話
桜子からメッセージが届いてから一年が経った。
私は仕事が。
桜子は学校が。
お互いに私生活が忙しくなり、次第に連絡の頻度も減りつつあった。
本当は、久しぶり会えたら……なんて考えもした。
けれど、テストだったり、卒業に向けてだったり。
何かにつけて、会うのは断られるのが現状だった。
嘘を吐くような子ではないから、きっとどれも本当なのだろうけれど。
ここまで断られると、もしかして会いたくないのでは、と考えてしまう。
いくら仲がいいと言えど、私は仕事の話もよくしていたから、自慢話のように聞こえてしまったかもしれない。
そういえば、メッセージを送るのだって私からのことの方が多いように感じる。
……浮かれすぎていたのかもしれない。
桜子の優しさに甘え過ぎていたのかもしれない。
〝最近忙しくて、ちょっと連絡取れなくなるかも!〟
本当は桜子からのメッセージなら、どんなに忙しくたって絶対に返す。
だけど、彼女もそうとは限らないから。
だから私は嘘を吐いた。
桜子から返信が来ることはなかった。
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