第3話



私たちが打ち解けるのに、そう時間はかからなかった。



お互いにアニメや漫画が好きで、音楽の趣味も似ていて。




そして、お芝居が好きだった。








「……そういえば、高校卒業して以来だな」



あんなに仲が良かったのに、卒業してからは一度も会ってない。


それどころか、連絡さえまともに取っていなかった。


忘れていたわけではないの。

でも忙しくて。

日々を、その日を生きるのに精一杯だったから。


……そんな、誰に向けてか分からない言い訳をしながら、私はトーク画面を開いた。



〝久しぶり! 元気だよ、桜子は?〟


〝私も元気! 絢香は今何してるの?〟


〝一応事務所に所属してる〟


〝え、すごいじゃん! 私は専門学校に通ってるんだ〜〟




それから私たちは、空白の時間を埋めるように。



近況報告から何から、今まで連絡を取らなかったのが嘘のようにたくさんメッセージを交わした。


日々を追われるように過ごしていた私にとって、彼女とのメッセージは心の支えになっていった。


まだ見ぬ世界へ、希望と憧れを夢々ゆめゆめ思い描いていた。


あなたと過ごした、青い春。


まるでその時に戻ったような、そんな心地だった。



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