♡ゲッコウした♡

x頭金x

第1話

 太陽を蜜柑みたいに剥いて食べようとしたら、お月様に怒られた。


「私の輝きが失われちゃうじゃない」


 お月様はゲッコウしている。


「でも他に食べるものがないんです」


「そんなこと知らないわよ」


「そんな無責任な」


「何よ!わがままな恥知らず!」


「僕たちの自由を制限するなら何か代案を出して頂きたいのですが」


「そんなことしちゃいけないってのが何でわからないの!?常識でしょ!?」


「わからないです…だって僕たちにとってはごく自然な行為ですから」


「あぁヤラシイ!!最低ね!!」


「何がですか…そうやって僕たちは生きてきたんです…」


「そんなにまでして生きていきたいのかしら!!」


「何ですか…僕たちは食べなきゃ死んじゃうんです…君はただ輝きが失われるだけじゃないですか」


「話を逸らさないで!!あなた常識あるの!?」


「常識は立場によって変わりますよ」


「変わらないわよ!!」


「変わりますよ。A国では食事の時お皿を持ち上げて食べるのが常識でも、B国では持ち上げるのは非常識…」


「あー言えばこう言う!!屁理屈ばっかり!!」


「真っ当な理屈だと思うんですけど…」


「あー頭痛い!あなたと話していると頭が痛くなるわ」


「でも…」


「でもでもって言い訳ばっかり!ちゃんと人と話ができないの!?」


「僕はずっとちゃんと話してるつもりですけど…」


「ほら!!つもりの時点でダメでしょ!」


「そう言う意味じゃないですよ」


「じゃあどう言う意味よ!!」


「えっと…僕はずっとまともに話をしています…話を逸らしたり、言い訳ばかりしているのはあなただと言う意味です」


「何よ!!人のせいにするつもり!?本当に最低ね!!」


「人のせいというか、事実というか…」


「何が事実なのよ!!」


「さっき言いましたよ…」


「大体あんたが太陽を食べなければ良いだけの話でしょ!!」


「でもそれは僕たちが生きるためには必要な行為なんです…それは仕方がないことで、それは確かに誇れる行為じゃないかもしれないけど、それをしなければ僕たちは死んじゃうんだです…君は別に死にはしないでしょう?」


「だから何よ!!私たちはどうでも良いっていうの!?」


「そういう意味じゃないよ…ていうか太陽さんにも許可は頂いてるし…」


「太陽なんてどうでも良いのよ!私の許可はどうするのよ!?」


「許可くださいよ」


「あげる訳ないじゃない!!何言ってんのよ!!屁理屈ばかり!!あ、お皿洗わなきゃ」


「まだ話が…」


「本当にしつこいわね!!だからモテないのよ!!」


「……」

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