第2話年賀状を書くとき
嫁さんが無事に出産して、子供はすくすくと育った。
2月に産まれたので、12月には10ヶ月になっている。
結婚して、家族3人で撮った写真を年賀状を乗せて、親、親類、友達に送るのが恒例となった。
最初の年賀状は、精神安定剤で太った状態の僕の姿は見苦しかった。
しかし、翌年には痩せて普通の体型の写真となる。
子供が2歳くらいになると、
「パパ」、「ママ」が言える様になり、アンパンマンとトーマスに夢中になる。
洗濯と子供のお風呂は僕の役割。
子供に、下品なギャグを言いながら風呂に入るのが常であった。
3歳になると、だいぶ言葉を覚えてきて、
「パパ、かんちょー」
なぞと、自分が教えてあげた言葉をおぼえた。
それを、嫁さんにもしたので、
「かんちょーって、誰から教えてくれたの?」
「パパ」
「ちょっと、ゆう君、子供に変な言葉教えないでよっ!」
僕は、平気でウソをついた。
「え?かんちょー?教えてないよ!保育園で覚えたんじゃない」
夕飯を食べながら嫁さんに尋ねてみた。
「今年の年賀状の写真どうする?」
「まだ、いい家族写真がないの」
「じゃ、動物園に行こう。そこで、写真を撮ろう」
「冬に動物園か~」
「今週末でいい?」
「ま、いいよ。お弁当持ってね」
日曜日はとても寒い日であった。
だが、子供はソフトクリームをねだる。
「寒いのに、大丈夫?冷たいよ!」
「パパ、食べたい」
そうして、家族3人でベンチに座り、子供はソフトクリームを手に持った写真を通りすがりのお姉さんに撮ってもらった。
その日の写真は、年賀状に使われた。
明けて2月には4歳になる子供。
未だに、その写真は部屋に飾ってある。
子供がかわいい時期で仕方なかった時である。
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