第46話 学級委員。−2
「やったー!俺たち4人で学級委員になったぞ!」
「フフッ。」
調子に乗って浮かれている朝陽とそれを見て笑う白川。
そういえば…俺は2年生になってから他の人とあんまり話したことがない、でも白川は明るくていい人だと思った。うまくできるかもしれない…
俺がとやかく何かを言う立場じゃないから、これからみんなで1年間頑張ろう。
「そうだ。蓮くん…先雪原先生が呼んでない…?」
「あ、そうだよな。うん…?」
いきなり、下の名前…?さりげなくそれを言うから違和感すらしなかった。なんか陽キャラってこんな感じなのか、先生にしか言われてなかったからどんな反応をすればいいのかよく分からなかった。
すごくびっくりした…
「うん…?」
「え…?」
首を傾げて「何?」って顔をする白川。
多分…朝陽と今田も俺と同じ反応をしている、二人も白川と話したことがないからびっくりしていた。もしかして以前にどっかで会ったのか俺たち、あるいは…いや思い出せない。なんだろう…この子は。
「蓮くん、一緒に行く…?」
「うん?いや…一人でいいけど…あのさ。」
「うん?」
「あ、やっぱりいい。なんでもない、俺が行ってくるから休んで。」
下の名前で呼ぶのをやめてもらいたかったけど、別に親しい人じゃないからほっておけばいつか辞めるんだろう。そうやって教室の扉を開ける時、ちょうど教室に入ろうとした山口とぶつかってしまった。
「あっ…!」
いきなり出てくる山口にびっくりした俺は倒れそうな山口の手首を掴んだ。
「大丈夫…?ごめん。」
「秋泉くん…ううん…私が悪かった。ごめん…」
「こっちこそごめん、山口。」
「あの…秋…」
「おーい!今田、山口きたぞー」
「あの…」
「じゃあ、俺職員室行くから。また後で。」
そして教室を出ようとする蓮を呼び止める結菜。
「蓮くん!一緒に行こう!」
「いや、いいけど…貴重な休み時間だろう…」
「ううん!大丈夫ー行こう行こう!」
「…分かった。」
何を考えているのか分からない結菜と一緒に職員室に向かう蓮。一方、教室の中では蓮にだけ積極的に話をかける結菜のことで慌てる3人。教室を出る時の話を聞いたみゆき、下の名前で呼ぶのを聞いた香奈と朝陽は疑問を抱く、そして3人は今田の席に着いて話を続けた。
「何…今の…」
「こっちのセリフよ…白川ってそんなキャラだったの…?」
「俺…初めて知ったけど…蓮のやつ、もしかしてモテ期…?」
「何変なことを!」
と、香奈に頭を叩かれた朝陽。
「…はい。」
「蓮くんって…なんなの…?あの子は秋泉くんのことが好きなの…?」
「お、落ち着いて!みゆきちゃん…落ち着いて!」
「あっ…ごめん。」
「でもさ、前にも考えたことなんだけど…あっさり告白した方がいいんじゃない?こうやって慌てることより気持ちを伝えた方が…っ!」
と、香奈にまた頭を叩かれた朝陽。
「…はい。」
「そんなに簡単なことじゃないよ!」
「よく分かんないな…」
「あの…香奈ちゃん、もしかして4組の学級委員は決まったの…?」
うじうじして下を向いていたみゆきが香奈と目を合わせた。
「あ、うん。そうだよ。」
「誰…?」
「私たち3人と先の白川で学級委員になってるけど…?」
「本当…?」
少しテンションが上がるように見えたみゆきが香奈の手を両手で握った。朝陽の方を見て首を傾げる香奈、でもわけ分からないのは朝陽も同じだった。そして朝陽は何かに喜んでいるみゆきに話をかけた。
「学級委員がどうした…?」
「今週の土曜日にリーダーズ研修があるから…」
「うん?何それ…?」
「聞いてない…?」
「だから…蓮のやつ呼ばれたのか。」
「まだ聞いてないならそうかもね…」
———廊下。
なぜ俺が白川と一緒に廊下を歩いている…よく知らない人と歩くの苦手なんだけど、ちょっと離れてくれないかな。距離も近いから余計に気になるんだろう…
「蓮くん、蓮くん!」
「うん。」
「私のこと覚えていない?」
「白川…」
「うん!」
俺を知っている人、白川結菜。
やはり何も思い出せない、俺とどっかで会ったのかな…よく考えてみてもやはり俺は白川結菜って人と話をしたこともないし、会ったこともない。
「ごめん…初対面だ。」
「そう…?」
そして職員室に入る二人はさくらの席に向かう。
「お!来たよねー秋泉くんと白川ちゃん、今週の週末にはリーダーズ研修会があるからこのプリントを渡しておくね。」
「リーダーズ研修…?」
「そうよ。各クラスの学級委員が集まって何かをすること!先生も初めてだからよく分からない、それだけ!」
「は、はい。」
何それ…とにかく今週の週末はのんびりできないってことだよな。
この4人でリーダーズ研修か、変なことは起こらないように祈るだけだ。そして先生からプリントをもらって職員室を出る時、隣の白川が笑っていることに気づいた。
リーダーズ研修に期待をしているのか…
「…へえ。」
そして職員室を出る前にさくらの方を見つめる結菜。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます