第8話 たまには先生に。
金曜日の夜10時。
今週は別に予定もないし…やっぱりぼーっとするしかないんだ。ベッドに横たわってノートパソコンをしている時、俺はふっとあるキーワードに引かれてしまった。
「あっ…」
『初デート』このキーワードを見過ごすのはできなかった。
この前に先生から恥ずかしいことをされた後、俺は先生のことをすごく意識していた。鏡を見る度、思い出してしまう先生の顔に日常生活ができない。この状況は17歳の俺にはとても危険だと思う、俺の中にある好奇心と言う猛獣が生き返るかもしれないからだ。
再び、壁にかけている鏡を見る蓮。
「先生の…口が…」
キスマークを触って目を閉じる蓮はあの時のことを思い出した。さくらに首筋を舐められて、噛まれるような感触が未だに蓮の首に残っている。急に顔を赤めた蓮は鏡に映っている自分の照れる顔から目を逸らした。
「馬鹿馬鹿しい…先生は俺のことを恋愛対象として見ていない。しっかりしろ…蓮。」
と、言った俺は『初デート』のイメージを検索したり、人々の恋愛ブログを見ていた。今更なんだけど、俺の体と心は別行動するのが好きだった。そしてふっと思い出す一つの疑問、先生は俺のことをどう思っているんだろう…
夜はなんか…怖い、一応こんな考えを始めたらなかなか止められない。
「何しているんだろう…俺。」
サクラ
『家にいる?』
いきなり先生からL○NEが届いてびっくりした。
返信、サクラ
『はい、います。』
サクラ
『じゃあ、そっちに行くね。』
「こっちに来るんだと?」
こんな時間に…?
先生がくるなんて、いけない早く家を片付けないと…
そしてそうする暇もなく、家のベルが鳴いた。
「…もう。」
扉を開けたらパジャマ姿の先生がお弁当を持っていた。可愛いピンク色のパジャマと先生の笑顔が見られる夜、先生がうちに来た。
「こんばんは!蓮くん!」
「こんばんは…!」
「これよかったら食べて!」
「はい…?これはなんですか?」
「蓮くん、一人暮らしだからおかずだよ!いっぱいあるの!」
「本当ですか!あ、ありがとうございます!」
やばっ…口角が上がる。
先生からお弁当をもらってうじうじしている間、先生が少し照れる声でこう話した。
「あ、あの…は、入ってもいい…?」
「はい!どうぞ。」
もう時間は11時、こんな時間に先生と一緒にいるなんて…余計なことを思い出してしまう。そしていきなり首が痒くなるのは気のせいかな、先生を見ているとすごく意識していまうから…バレないように一人で緊張していた。
蓮はさくらからもらったおかずを冷蔵庫に入れてコーヒーを淹れる。その間、蓮のベッドに座るさくらは先まで蓮が検索していたノートパソコンに気づいて、ちょっとだけその検索内容を覗き込む。
「雪原さん、コーヒーです。」
「あ、ありが…とう。」
「うん?どうしましたか?」
「別に?」
床に座ってゆっくり時間を過ごす二人、静寂が流れるこの夜に俺は先生の隣に座っていた。
「蓮くん…」
先生は机にコーヒーを置いてこっちを見て話した。
「はい…」
「映画でも見よう!」
「映画!いいですね。じゃあ、明日土曜日だから…」
「今。」
「今…?」
夜11時に深夜映画ってこと…?先生と二人で…?本当…?なんの状況だこれは。
「昨日借りたんだー」
「あ!それは…」
「人気あるもんだってー」
先生が借りたDVDは結構人気あるロマンス映画だった。俺はまだ見てないけど、あの朝陽がすごく面白いって毎日言ってたからタイトルだけはしっかり覚えていた。
「…」
準備を終えて席に戻ってきた俺はすごくドキドキしていた。すると、左側に座っていた先生が何かに気づいたような顔をして俺を見つめていた。
「雪原さん…?」
「ちょっと…動かないで…」
先生は手を伸ばして俺の首を触っていた。
「これ…」
これって…
「私のキスマーク蓮と似合ってるよ…」
その一瞬だけ、先生の目が変わった。
「気に入った…?」
「へっ…?」
そして音楽と共に映画が始まる音が聞こえた。
「…電灯を消します。」
最後の電灯を消した。
暗くなる部屋の中で映画が始まる、さくらはそれを待っていた。蓮のTシャツを自分の方に引っ張ったさくら、そして薄暗い部屋の中から優しい声でこう囁いた。
「次はもっと綺麗な首輪を用意するから…期待してね…」
照れる顔、そして震える指先で自分が付けたキスマークを触った後、言葉でできない満足感を感じるさくらは蓮の枕に顔を埋める。
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