♡七海を舐めまわし鯛♡
x頭金x
第1話
奥飛騨にある小料理屋で見た雑誌に載っていたグラビアの女の子がなぜか心に住み着いた。
暇を持て余して全国を適当に舐め回しながら旅をし続けて早10年、梅雨明けとともに訪れたこの場所で青天の霹靂に出会った。彼女の名前は仙波七海。瀬戸内海に浮かぶ島の出身で、17歳の高校2年生だ。記事によるとまだその島で暮らしているという。
私は42歳の投資家で、リーマンショックで世界が混乱する前に危機を察知し、売り抜けて生涯使っても使いきれない程の金を手にした。
そもそもやりたい事などなかった。金を稼ぐことが唯一の目的であり、それ以外にそれで何かをしようなんて子供の頃から考えたこともなかった。ただ親に言われるままに勉強し、教師の言う事を聞き、偏差値重視で大学を選び、周りと同じように大企業に就職した。そこは証券会社で、金を稼ぐことのみが使命だ。まあ、どこもそうだろう。そもそもが誰かのためだとか、自分を犠牲にしてでも守りたいものがあるなんてタイプでもないので、ぴったり測ったように私はそのシステムと調和し、ジャンジャンバリバリ稼いだ。稼いで稼いで稼ぎまって、そして今に至る。ちなみに、会社はリーマンショックによって潰れた。私が稼いだ金は会社の業務で稼いだ金ではない。個人的に稼いだ金だ。
そんなこんなであれから10年、私は何をするでもなく生き、彷徨っている。自分探しと言う人もいる。そうであるとも言えるし、そうでないとも言える。私は自分なんてものに興味がない。他人には、もっと興味がない。そんな日々の中で私は仙波七海に出会ったのだ。ただ何気無く開いた雑誌の一ページによって私の人生は大きく変化することになった。それは大海の鯨がメダカの水槽で蟹として生きるようなものだ。
私は瀬戸内海に浮かぶ島を訪れ、仙波七海を舐め回した。捕まった。海は凪いていた。
♡七海を舐めまわし鯛♡ x頭金x @xzukinx
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます