とある女性より 2通目

 F先生へ


 早々にお返事をいただき恐縮しております。

 前の手紙を出してすぐに、もし主人の勘違いであったらどうしようかと気をもんでおりましたので、ちゃんとF先生のお手元に手紙が届いてほっといたしました。


 やっぱり、F先生が「ルート9」の作者さんだったのですね。お返事を読み、そのことがわかった瞬間、胸がぎゅっと苦しくなりました。もしかすると、三十年来の疑問が解明できるかもしれないからです。すぐにでも質問を書いた手紙を送らせていただきたいのですが、その前に、もう一つだけ確かめさせてください。

 この「ルート9」という小説は、F先生が頭の中だけで考えて(想像で)書かれたものでしょうか。それともF先生が実際に体験されたことが小説として書かれているのでしょうか。あるいは、F先生が誰か別の方から聞いた体験談を小説にされたのでしょうか。

 なぜこのようなことをお聞きするのかと申しますと、どの方法で書かれたのかによって、質問させていただく内容が全然別なものになるからです。

 何度もお手数をおかけして申しわけありませんが、このことについてお返事をいただけると幸いでございます。どうかよろしくお願いいたします。


                          原田さおり

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